龐統(ほうとう)の死を知り、片腕をもがれたような
苦痛を覚えた孔明(こうめい)ですが、
親友の死を悼んでいるヒマさえ歴史は孔明に与えてはくれません。
龐統を射殺した蜀将張任(ちょうじん)は、地の利を活かして、
劉備を涪水城に包囲猛攻撃を仕掛けていたのです。
前回記事:90話:張任によって龐統討たれる
この記事の目次
孔明は張飛と趙雲を引き連れて荊州を出陣
孔明は、関羽(かんう)を荊州の守備に残すと、趙雲(ちょううん)、
張飛(ちょうひ)を引きつれて荊州を出陣します。
そして、軍を二手に分けて、孔明と趙雲は、1万五千の兵力を率いて
海路を、張飛には一万の兵力を与えて陸路を進みます。
張飛は孔明や趙雲よりも先に手柄を取りたい
陸路を任された張飛は、性格上、孔明や趙雲より先に、
涪水城に到着してやろうと陸路を急ぎます。
そこに立ち塞がったのが巴郡の太守をしている厳顔(げんがん)でした。
名将 厳顔に手こずる張飛
厳顔は、老将でしたので、いつもの如く、張飛は侮り、
一息で踏みつぶせると豪語しますが、
厳顔は強く、簡単には、巴郡を抜けそうにありません。
通常なら、ここで張飛はキ――――ッとなり酒をあおって
MH5(M(マジで)H(人殴る)5(秒前))になり
味方の被害を大きくする所ですが、今回の張飛は違います。
珍しく頭を使う張飛
張飛:「ここは、力攻めで行っても被害を増やすだけだ、、
よし、偽の情報で、俺達が巴郡の攻略を諦めて
雒城を落そうと迂回して間道を通りぬけると触れ回れ」
おお!どうした張飛、熱でもあるのか(笑)
ともかく、張飛らしからぬ計略を厳顔に仕掛けます。
厳顔は、張飛軍が巴郡を迂回して、間道を通ると聞いて
勝機と捉えました。
厳顔:「巴郡を迂回するなら、食糧部隊は、一番最後になる筈だ、、
よし、これを襲って奪い、張飛の軍勢を強制的に荊州に退却させてやる」
厳顔は、間道を通りぬける張飛軍を追い、城を出て食糧部隊を襲います。
しかし、ここまでが張飛の罠でした。
張飛の罠にハマる厳顔
ジャーンジャーンジャーン
銅鑼が鳴り響き、囮の食糧部隊の左右から伏兵が出てきたのです。
厳顔:「げえっ!!張飛」
張飛:「ふっふっふ城から出てこりゃあ、こっちのもんよ!!」
張飛の一万の軍勢は、あっという間に、厳顔軍を撃破し、
厳顔は、捕らわれてしまいます。
張飛:「どうだあ、我が軍の強さに恐れいったか?
これに懲りたら、劉備玄徳に降伏するんだ」
張飛は、縄で縛りあげた厳顔の前でふんぞり返り、
傲岸な態度で迫ります。
厳顔:「元はと言えば、平和な益州に泥棒同然に押し入ったのが
劉備ではないか、盗人猛々しいとは正にこの事。
我が蜀軍には、貴様達に首を斬られる将はいても、
降伏する将などおらぬわ!!」
厳顔は、毅然とした態度で言ってのけます。
厳顔の縄を解いた張飛、その理由とは?
すると張飛は暫く考えて、厳顔の縄を解きました。
張飛:「いや、、あんたの言う通りだ、、、
勝ったからって、横暴に振る舞っては、俺達も
山賊と違いはねぇ、、
厳顔将軍、改めて頼む、俺の兄貴、いや劉備玄徳にはこの益州が
どうしても必要なんだ。
漢王朝の再興の為、逆臣曹操を討つ為にあんたの力を貸して
くれねえか?」
張飛が一転して、頭を下げて厳顔に降伏を願い出たので、
厳顔にも思う所があったのか、これを承諾したのです。
こうして張飛は巴郡を落し、さらに先を急ぐ事になります。
厳顔と黄忠の老人コンビは本当なの?
さて、厳顔と言えば、黄忠(こうちゅう)と老人コンビで活躍したと
演義には記録されていますが、正史には、厳顔が老将であると
書いた記述はありません。
おそらく、老成した言葉と落ち着き払った態度が、
老将の雰囲気だったので演義の原作者達は、厳顔を老将として、
黄忠を降した関羽、厳顔を降した張飛と並べて手柄を立てさせたかった
そういう事なのではないでしょうか?
耳で聞いて覚える三国志
次回記事:92話:劉備を徹底的に追い詰める張任
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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。
もちろん、食べるのはサーモンです。