214年、鳳雛(ほうすう)と称された龐統(ほうとう)が
張任(ちょうじん)の伏兵作戦により亡くなります。
このとき張任は、本当は劉備を狙っていました。
劉備の乗る馬が的盧(てきろ)という白馬だと知っていたので、
それを目印に矢を射かけさせたのです。
しかし、的盧に乗馬していたのは、龐統でした。
進軍中に龐統の馬(胭脂馬)が暴れたため、
劉備から的盧を借りていたのです。
この的盧という馬、実は「凶馬」として知られていました。
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劉備の愛馬、的盧(てきろ)ってどんな馬?
「かわいい的盧や、こっちにおいで♪」
↑このセリフは間違いです。
的盧というのは馬の名前ではなく、馬相、つまり馬の見た目について
あらわした言葉です。
額から口まで白い模様がある馬のことです。
……単なる白馬ではないのですね。
的盧は、「盧をあてる」という言葉です。
盧は、ばくちの最高の勝ち手のこと。
最高を極めてしまうと、さらに上を目指すことはできません。
つまり、これ以上よいことは起こらない=凶という意味になります。
的盧の評判
的盧は、趙雲(ちょううん)から劉備に献上された馬でした。
劉備が荊州にいたとき、
謀叛を起こした張武から手に入れました。
荊州の主、劉表がそれを「いいなー」と羨望の眼で見つめます。
劉備は、劉表に的盧を献上しました。
しかし、「この馬は凶馬ですぞ! 乗るのはおやめください!」
と声を上げるものがいたため、
劉表は劉備に的盧を返すことにしました。
またあるものは、劉備にこんなことを言いました。
「厄落としのために、気に喰わないやつを乗せたらどうです?」
劉備は即座に答えます。
「そんな卑怯なまねはしない!」
……数年後、図らずして劉備は龐統に的盧を貸し、
龐統は劉備の代わりに亡くなってしまいます。
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劉備の命を救う的盧
とはいっても、的盧を凶馬だと決めつけるのは短絡です。
的盧は、厄落とし以前に、劉備の命を救ったこともあったのです。
劉備はある日、曹操の命を受けた蔡瑁(さいぼう)に
命を狙われます。
そのとき、劉備を乗せた的盧は、檀渓の水中にはまってしまいますが、
「的盧、ガンバ!」
という劉備の励ましに、跳びあがり、
無事に劉備の危機を救いました。
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この記事を書いた人:東方明珠
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