84話:龐統登場と同時に左遷(笑)

2015年5月18日


周瑜逝く

 

劉備(りゅうび)が荊州を手中に収めた頃、

呉の重臣、周瑜(しゅうゆ)が死にます。

 

孔明(こうめい)は劉備の名代で、その葬儀に参加しますが、

この時に周瑜の柩を運んできた人物の中に龐統(ほうとう)を発見します。

 

前回記事:83話:劉備は荊州四郡をゲット!怒涛の快進撃

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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孔明と龐統の関係性

孔明 龐統 軍師

 

二人は荊州で司馬徽(しば・き)に学んでいた頃からの同門であり、

孔明は龐統の才能を高く評価していました。

 

孔明:「今は、どうしているのだ龐統、呉に仕えているのか?」

 

龐統:「いやあ、、残念ながら俺は必要ではないらしい、、

今でも仕官もせずブラブラしているさ」

 

孔明は、それを聞くと、すかさず紹介状を書いて、

龐統に劉備に仕官するように言いました。

 

龐統は、この紹介状を懐に、荊州に渡り、劉備に面会を願い出ています。

 

劉備に対しても横柄な龐統

龐統

 

ところが、この龐統、身なりも構わず、言葉使いも横柄で

相手が劉備だろうと少しも態度を改めません。

 

しかも、龐統は折角、孔明から貰った紹介状も、

懐に仕舞ったまま、劉備に見せませんでした。

 

劉備:(なんじゃ、こいつは、、

これが人に雇ってもらおうという態度か気にいらんのう)

 

龐統を仕方なく採用した劉備

龐統 ガチャポン

 

劉備は、不採用にしようかとも思いましたが、

荊州を領有したばかりで人手が必要だったので、

学者だという龐統の事務処理能力を買って、

ド田舎の来陽県に飛ばしてしまいます。

 

龐統は反論もせずに来陽県に赴任したものの、

それからは仕事もせず、朝から晩まで執務室で酒ばかり

飲んで時間になったら帰るというグータラ生活を送ります。

 

まったく仕事をしない龐統

龐統2

 

仕事が山のように溜まっても放置している龐統に来陽県の

県民は我慢できなくなり、劉備に直訴しました。

 

「県令が仕事をしてくれません、何とかして下さい」

 

劉備は驚き、かつ怒りましたが、真相を確かめようと

監督官として張飛(ちょうひ)を来陽県に派遣しました。

 

張飛を派遣した劉備

長坂の戦い 張飛

 

来陽県に就くと、裁判所の前には、訴訟の決済を求める

人々が列を造り、役所では、役人達が仕事もできずに

困っていました。

 

張飛:「やい!県令、お前、どういう料簡(りょうけん)でいやがる!」

 

張飛は龐統の執務室に怒鳴りこむと、龐統は、

昼寝の真っ最中です。

 

「やあ、これは、張将軍、こんなド田舎へ、何用だね?」

 

張飛:「やあ!じゃねえんだ、お前、仕事もしないで

酒ばかり飲んでいるようだな!!

一体、何が気に喰わないで、こんな事をする!」

 

すると、龐統は大あくびをして答えました。

 

龐統:「ああ、仕事の催促ですか、あほらしい、

こんな田舎の仕事なぞ半日あれば片付く、、

どおれ、、やってみましょうか」

 

龐統は、顔を洗って歯を磨き、

衣服を整えると、裁判所に向かいました。

 

すると、どうでしょう、龐統は起訴状を一読するだけで、

テキパキと判決を下していきます。

法律書も読まないのに、その判決は的を射ていて、

妥当で、役人達も目を丸くしています。

 

列を成していた訴訟人達は、あっと言う間にいなくなりました。

 

龐統:「さて、次は役所だな、、ああ、退屈だ、、」

 

今度は、役所に入ると、机に山のように積まれた書類を

流れるように見て、印を押し、担当の役人に正確な指示を出して

いきました。

 

それまで、死んだようだった役所は、一気に忙しくなり

役人は対応にてんてこまいです。

 

結局、なんだかんだでお昼前には、来陽県の仕事は、

全て、片付いてしまいました。

 

張飛:「すげえ、、あんた、一体、何者なんだ!」

 

龐統:「荊州、襄陽の出身で龐統士元と申す、、

あだ名は鳳雛(ほうすう)、、ああ、そう言えば、

孔明と魯粛(ろしゅく)からの紹介状があったな、、」

 

張飛は紹介状を受け取るとびっくり仰天、

すぐに襄陽の劉備に、この事を連絡しました。

 

劉備もまさか龐統があの鳳雛に驚き

雷怖くない 能ある劉備

 

劉備も張飛からの連絡を受けて大慌て、、

劉備:「あの横柄な男が、水鏡先生が言われた鳳雛だったのか!

こうしてはいられぬ、来陽県から呼び戻さなければ」

 

こうして、龐統は、左遷された来陽県から戻されて、

孔明と同様に軍師として劉備に仕える事になります。

 

かつて、水鏡が、臥龍(ふくりゅう)と鳳雛、

一人でも得れば天下は手の中にあると言われた双璧を

劉備は、二人とも手にいれたのです。

 

しかし、いかに龐統が横柄でも、孔明の手紙を見せなかったのは

やや作為的なニオイを感じてしまいます。

 

何で龐統は劉備に紹介所を見せなかったの?

劉備 人望

 

龐統は恐らく、孔明の紹介という色眼鏡で劉備が自分を見るのを

気に入らず、劉備を試すつもりもあって、わざと紹介状を見せず

自分を飾らず、劉備と面会したのでしょう。

 

世慣れた苦労人劉備も、横柄で身なりの良くない龐統の才を見抜けず

これを左遷してしまうのですから、、

孫権(そんけん)や曹操(そうそう)では、

矢張り龐統を見抜くのは難しかったかも知れません。

 

 

耳で聞いて覚える三国志

 

次回記事:85話:曹操を油断させた潼関(どうかん)の大勝利

 

 

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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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