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曹操 生涯最大の苦戦 烏桓討伐|完結編

この記事の所要時間: 347

郭嘉

 

官渡の戦いの後、後継者争いを演じた、袁尚(えんしょう)は

兄弟の袁煕(えんき)と共に烏桓族を頼って北方に逃げていきます。

 

郭嘉

 

曹操(そうそう)は、善後策を協議しますが、郭嘉(かくか)

「北方の憂いを断つために断固、烏桓を討伐すべし」という

意見に賛成して軍を出します。

 

しかし、それは、想像を絶する過酷な自然との戦いでした。

前回の記事:曹操、生涯最大の苦戦 白狼山の戦い|烏桓討伐編(前編)

 

 

曹操自ら、行軍の苦しさを詠んだ 苦寒行(くかんこう)

曹操

 

この遠征の途中、曹操は過酷な自然環境を詩人の目で観察して、

後世に残る名詩を詠んでいます、その名も苦寒行です。

 

北上太行山 艱哉何巍巍 羊腸坂詰屈 車輪爲之摧

樹木何蕭瑟 北風聲正悲 熊羆對我蹲 虎豹夾路啼

谿谷少人民 雪落何霏霏 延頸長歎息 遠行多所懷

 

この詩の意味は、以下のようなものです。

 

北の大行山に登れば道は険しく山は高々とそびえている。

道路は羊の腸のように曲がりくねり、その為に車輪は砕けそうになる。

 

樹木はどことなく寂し気で風の音はひどくうら哀しい。

 

熊や羆は私の前でうずくまり、虎や彪は道の両側から吠えかかる。

 

渓谷には人家は少なく、雪はしんしんと降り積もる。

首を伸ばして、長いため息をつく、これまでの行軍の長さを考えると

より一層、私の憂いは増すばかりだ。

 

曹操は烏桓よりも、過酷な自然環境の脅威に恐れおののき、

さらに畏敬の念さえ覚えているように受け取れます。

 

曹操、ついに烏桓族と交戦する

烏桓

 

ひたすらに長く、地獄のような行軍を続けた曹操軍は西暦207年、

ついに、柳城に近い大凌河の渓谷に出現しました。

 

斥候兵の報告を信じていた蹋頓(とうとん)や

袁尚(えんしょう)袁煕(えんき)は突然の曹操軍の奇襲に動揺しました。

 

この時、曹操軍は、軽騎兵だけの数万騎に対して

烏桓の兵力は、未だに整っていない有様だったのです。

 

曹操は、小高い丘に駆け上がり、情勢を判断しながら、

張遼(ちょうりょう)に命じて騎兵を繰り出し

烏桓の軍勢を散々に打ち破ります。

 

これを白狼山の戦いといい、敗れた烏桓の単于、蹋頓は戦死して、

烏桓の主だった名将は、すべて討ち取られました。

 

ただ、袁尚と袁煕は、逸早く脱出しさらに落ちのびて

遼東太守の公孫康(こうそんこう)を頼っていきました。

 

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白狼山の戦いで烏桓の勢力は壊滅

郭嘉

白狼山の大勝利で、烏桓の勢力は殆ど壊滅しました。

曹操軍の中には、この大勝利に気を良くして、さらに遼東の

公孫康まで攻めようという者もいましたが、郭嘉がこれを制止します。

 

郭嘉:「公孫康は、我が軍を恐れているので、禍を受ける前に、

袁尚と袁煕の首を届けにくるでしょう。

それよりも、長く、本拠地を空けて南が心配です」

 

郭嘉

 

そのように発言した郭嘉も、健康を害して咳き込んでいました。

 

すでに季節は冬を迎えており、曹操軍に取っての帰路は、

来る時に劣らない過酷な旅になりました。

 

食糧は足りず、大事な軍馬を数千頭も殺して喰う程になり、

雨が降らない為に、雪の地面を掘り70メートルも掘り下げて

ようやく水を得るというような具合だったようです。

 

郭嘉の予言通り、公孫康は、曹操を恐れて、袁尚、袁煕と、

烏桓の武将を軒並み捕えて斬首しました。

 

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曹操は北方を平定する、しかし代償は大きかった・・

郭嘉

 

烏桓は、曹操に帰順して、曹操は数万という優秀な騎兵を確保し

軍事力を強化する事が出来ました。

 

同時に、北方の袁家を完全に滅ぼし、荊州や呉に侵攻するのに、

憂いが消滅したのも大きな収穫でした。

 

郭嘉

 

ですが、一方で曹操は軍師の郭嘉を許都に帰還して間もなく失います。

体が丈夫ではない郭嘉に、烏桓の従軍は無理だったのです。

 

曹操は、郭嘉と休養を欠いたまま、荊州を併合し、やがて、

呉と劉備の連合軍と赤壁の戦いを起しますが呉の周瑜の前に

大敗北を喫して、つかみ掛けた天下を逃します。

 

郭嘉

 

曹操は「郭嘉さえいれば、赤壁の大敗は無かった」と悔しがった

そうですから、なおさら烏桓の代償は大きかったと言えるでしょう。

 

 

三国志ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

白狼山の戦いは、曹操に自然の脅威というものを意識させた

戦いだったと思います。

 

溢れるような知略を持つ、曹操や郭嘉でも寒さ、飢え、渇き、

長雨、悪路というような単純だけど、強力な自然の脅威の前には

殆ど無力であるという事を曹操に理解させたのが、

この白狼山の戦いだったのでしょう。

 

「俺達は一体、誰と戦っているのか?」

 

敵と遭遇する事なく、ただ、寒さに凍え、飢えに倒れる兵士を見た時に、

曹操は何度も自問自答を繰り返し、それが皮肉にも詩人としての

曹操の才能に深みを加えたのではないかと個人としては思います。

 

今日も三国志の話題をご馳走様・・

 

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