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曹操の使者が下邳城へ来るが…。
陳登は下邳城へ帰ると呂布に報告します。
呂布は徐州刺史の任命の使者が来るのを待っておりましたが、一向にやってきません。
ついに曹操の使者が下邳城にやってきます。
呂布は曹操の使者に会うと「貴殿の臣下である陳登と陳珪親子に領地を加増せよ」と伝えます。
呂布は「承知仕った。他に私に伝える事はないのか」と曹操の使者に尋ねます。
使者は「ありません。それではこれで。」と呂布に挨拶し、帰っていきます。
呂布の逆鱗に触れる
呂布は曹操の使者が陳登と陳珪親子の加増のみを知らされただけで帰った事に激怒。
すぐに陳登を呼びます。
呂布は陳登が来ると「曹操の使者が先ほど来て貴様に加増せよと伝えに来た。しかし俺への徐州刺史任命の話はなかったぞ。どうなってんだ」と言いながら机をたたき割ります。
陳登は水のように静まり返り呂布に向かってゆっくりと言い返します。
その時、歴史に名を残す
陳登は息を整え、歴史に残る名言を呂布に言います。
彼は「私は曹操にこのように申し上げました。
『(虎を飼うなら)その肉を飽かしむべし。飽かざれば人を咬まんとす(そのにくをあかしむべし。あかざればひとをかまんとす)』と伝えました。」と伝えます。
この名言の意味は呂布を遇するのは虎を飼うようなものです。
そのため飽きるほど肉を与えなければ噛みついてくるでしょう。
曹操殿どうか彼に十分な官位と俸禄を与えてくださいますようお願いしますと言う意味です。
この陳登の言葉を聞くと呂布の機嫌は一変し「そうか。曹操は我を虎と称したか。大いに結構だ」と機嫌を直し、その場を離れます。
この名言の本当の意味は呂布が喜ぶような意味ではない
陳登は名言を残して、呂布の逆鱗を躱しましたが、実は呂布が喜ぶような意味の言葉ではありませんでした。
それどころかこの話は全て陳登の作り話です。
曹操は呂布を虎に例えた話など残っていません。
それどころかこの作り話は呂布を持ち上げる名言ではなく彼を大いに貶めた評価をした内容なのです。
まず「虎を飼うならその肉を飽かしむべし」の前半部分は貪欲で物欲の強い呂布を現しております。
後半部分の「飽かざれば人を咬まんとす」は厚遇しても、今以上の厚遇の話が舞い込んできたら厚遇された恩を忘れてその人物を咬み殺すであろうと言う意味です。
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三国志ライター黒田廉の独り言
陳登は激怒した呂布の前で作り話し、危機を脱します。
彼は瞬間的に作り話をつくることができる機転の持ち主です。
さらに三国志の中でも最強と称される呂布の逆鱗を前にしても作り話をサラッと話すことのできる彼は普通では考えられない胆力の持ち主であったのでしょう。
今回のお話はこれでおしまいにゃ。
次回もまた初めての三国志でお会いしましょう。それじゃまたにゃ~
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