後漢王朝末期に出現した暴虐な政権運営者・董卓(とうたく)。
彼は皆さんが知っているとおり非常に冷徹非道で自らに逆らう者は片っ端から殺害していき、
財宝を蓄え、酒色に溺れて後漢王朝を滅亡寸前まで追い込んだ人物として、
知られていると思います。
しかし今回、実は董卓は政権をしっかりと安定させようと努力していた人物であったことを
皆さんご存知ですか。
暴虐で知られた董卓の意外な一面をお伝えしたいと思います。
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やりたい放題な董卓
董卓は皇帝の後見役として君臨すると、皇帝が幼いことをいいことにやりたい放題行います。
まず自分に逆らった人物に対しては容赦なく殺害し、洛陽にいる豪商から金銭を奪い貯蓄。
さらに美女をかき集めて酒色に溺れたり、祭りに参加していた農民を全て殺害したりと
やりたい放題行います。
さらに反董卓連合軍が結成されると洛陽の住民を全て強制的に連行して、
長安へ向かわせると共に洛陽の街に火を付けて燃やしてしまいます。
このようにとんでもないことを行い続けていた董卓。
しかし彼は後漢王朝の権力を握った時に政権を安定させるためにある事を行っております。
名士達を積極的に登用
董卓は暴虐な政権運営者として知られておりますが、
自らの政権を安定させるために名士と呼ばれる人々を積極的に登用しておりました。
政権を安定させるためには名士達を登用することが非常に大切でした。
名士は地元の豪族達や有力者達から推挙されて役人となっているため、
彼らと非常に密接な関係性を持っておりました。
彼ら名士を登用することで地方の豪族達や有力者達を味方につけることができ、
兵力を増強するために必要な募兵や徴兵などをスムーズに行うことができるなど
様々な利点があります。
そのため政権を安定的に運営するためにはこれら名士を味方につける
(=地元の豪族達を味方にする)事で政権を安定に運営させることができておりました。
これら名士を味方に付けるため、三国志の英雄である曹操や孫権、劉備達も積極的に
名士を自らの陣営に取り込んでおりました。
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董卓が自らの陣営に取り込んだ名士達
さて董卓はどのような人物達を自らの運営する政権に取り込んだのでしょうか。
代表的な人物として曹操の謀略面での軍師や曹操の支配する地域での行政を行ってきた
荀彧(じゅんいく)のおじさんである荀爽(じゅんそう)を登用して、
三公の位である司空(しくう)へ就任させます。
また後漢王朝を代表する文学者である蔡邕(さいよう)を取り込むことに成功します。
さらに彼は各地の名士である劉岱(りゅうたい)や張邈(ちょうばく)、曹操、袁紹達へ官位を与えて
懐柔しようと試みますが、彼らは董卓の登用に応じることはありませんでした。
董卓に反発した袁紹ら名士は袁紹を盟主に仰いで反董卓連合軍を結成したことによって、
各地の名士達は董卓の陣営に参加することをしないで、袁紹達の元へ集まっていくことになります。
こうして董卓が行った政策は失敗に終わってしまうのでした。
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三国志ライター黒田レンの独り言
董卓が行った政策は安定に政権を運営するためには非常に重要でした。
董卓が天下を狙っていたかどうかはわかりませんが、
もし彼が天下を狙って後漢王朝を打倒し自らの王朝を樹立しようと企んでいたのであれば、
名士達の協力は絶対に必要でした。
彼ら名士達が董卓に協力することを表明することで兵力や人材が集まってくることになるからです。
董卓の地元である涼州から全兵力を持ってきて天下統一を行おうとしても、
各地を占領して守備兵を残したり、各地の有力者達と戦えば必ず兵力が足りなくなります。
占領した土地をしっかりと統治したり傷ついた兵士達の代わりに兵隊を補充するためには、
その土地の名士や実力者達の協力がなければ占領地の統治は上手くいかず、
兵力補充もできないからです。
これらを考えると董卓が暴虐な政治を行わずに後漢王朝を復興するような政治を行っていれば、
名士達も彼に味方してもしかしたら後漢王朝は復活を遂げていたかもしれません。
そのように考えると董卓が暴虐な恐怖政治を行ったことが、
群雄割拠時代成立の起因であり三国時代のきっかけであったかもしれないと考えると
董卓の歴史的な役割は非常に重要であったのではないのでしょうか。
参考文献 朝倉書店 十八史略で見る三国志 渡邉義浩著など
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