関羽といえばどんなことがあっても
主君・劉備一筋!
といったイメージの男の中の男。
武に生きた彼は、
女っ気を全くと言っていいほど感じさせません。
ところが、そんなストイックな彼の心を
射止めた女性が存在したのです。
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秦宜禄の妻・杜夫人
呂布に仕えた秦宜禄という男には
杜夫人というそれはそれは美しい妻がおりました。
しかし、その2人を引き裂く悲劇が起こります。
下邳で曹操によって崖っぷちに追い込まれた呂布は、
助けを求めて秦宜禄を袁術の元へ送ります。
ところが、袁術は助けに応じるどころか
イケメンの秦宜禄を監禁、「私には妻が!」と抗議する秦宜禄を無視し
自分の親族として無理矢理政略結婚させてしまうのです。
なんと重婚、はちみつオジサン相変わらず無茶苦茶です・・
そんなこととはつゆ知らず、
息子と共に下邳で夫の無事を祈る杜夫人…。
しかし、呂布が曹操に投降。
杜夫人も捕虜として曹操に捕まってしまったのでした。
関羽の目に留まった杜夫人
曹爽が呂布を捕らえたとき、
ちょうど劉備は曹操に身を寄せていました。
当然、劉備と共に曹操に身を寄せていた関羽。
ぞろぞろと連れてこられる捕虜を
なんとなくぼやーっと眺めていたのですが、
その目にある女性を映した瞬間、
関羽の心臓がドキッと跳ね上がったのです。
ある女性とは、秦宜禄の妻・杜夫人。
生まれて初めてわき上がるその感情に動揺しながら、
このままではあの女性も処刑されてしまう!
と思った関羽は急いで曹操の元に走ったのでした。
杜夫人を娶りたい!
関羽は曹操に今回の戦での自らの功績を告げ、
その褒賞として杜夫人を自分に下賜するように願い出ます。
このままでは杜夫人が殺されてしまうと思った彼は
それはもう必死で懇願したのでした。
いつもと違う様子で興奮しまくっている
関羽に若干ビビりながらも
関羽が杜夫人を娶ることを承諾した曹操。
無事、杜夫人を手に入れてホクホクの関羽。
それにしても、
あの関羽がここまで夢中になるなんて、
一体どんな女なんだ?
関羽の尋常ではない様子を見て、
曹操も杜夫人が気になりはじめたのでした。
曹操も一目惚れ
どれどれ…。
関羽の心を射止めた女性に興味を持った曹操は、
さっそく杜夫人を覗きに行きます。
ふと目があった瞬間、
曹操の胸も急に高鳴りはじめます。
なんて美しい女なのだ…!
なんと曹操も杜夫人の美しさに
一撃でやられてしまったのでした。
杜夫人が好きになってしまった曹操は、
関羽にくれてやるのが惜しくなり、
杜夫人を自分の妻として迎えてしまったのでした。
夫と引き離された杜夫人のその後
秦宜禄と無理矢理引き離された杜夫人。
泣き暮らしていたかといわれると、
決してそうでは無かった様子。
曹操から存分に愛され、
その後3人の子どもを授かりました。
そのうち2人の男子、曹林・曹袞は王侯として封ぜられ、
1人の女子は、『論語集解』という『論語』の注釈書を著したことで
名高い何晏に嫁いでいます。
皆それぞれ幸せな人生を送ったといいます。
また、曹操は杜夫人の連れ子も自分の子のように可愛がったそう。
これらのことに鑑みると、
彼女は決して不幸ではなかったのではないでしょうか。
妻を奪われた秦宜禄のその後…
曹操の妻として幸せな生涯を送った杜夫人でしたが、
妻を奪われた秦宜禄はその後どのような余生を送ったのでしょうか。
袁術の元からようやく帰ってきたものの、
主君の呂布が処刑されたと知った秦宜禄は、
あろうことか自分の妻を奪った曹操を主君と仰ぐことになってしまいます。
その後、小沛に封ぜられていた劉備が曹操に謀反を起こすと、
秦宜禄の元に張飛が訪ねてきます。
「お前、自分の嫁を略奪した男に仕え続けるなんて
馬鹿馬鹿しいことしてないで俺について来い!」
確かにそうだな…
と思った秦宜禄は張飛にホイホイついていきます。
ところが、先のことを考えると恐ろしくなってきたのか、
秦宜禄は弱音を吐いて帰りたいとごね始めました。
これには気が短い張飛もイライラ。
「何女の腐ったようなこと言ってんだ!」
それでもウジウジしている秦宜禄にブチギレた張飛は、
秦宜禄を殺してしまったのでした…。
妻を略奪された挙句、哀れな死を遂げた秦宜禄…。
来世では幸せになっていてほしいものです。
※この記事は、はじめての三国志に投稿された記事を再構成したものです。
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