どんな会社も求人を出す際には「優秀な人材が来てくれますように」と願っているものです。
しかし、待ち人来たらず…
という結果に終わることがほとんど。
そんなわけで、優秀な人材を積極的に探し出して他社から引き抜いてしまえ!
とヘッドハンティングが行われることが多々あります。
実はそんなヘッドハンティング、三国時代にもよく行われていたことなのです。
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ヘッドハンター・曹操に見出された徐晃
三国時代のヘッドハンターといえば曹操。
そんな目利きの曹操に見出された人材として有名なのが、
魏の五大将軍の一角をなす徐晃でしょう。
徐晃は元々楊奉という人物に仕えていました。
楊奉は勇猛果敢ではありましたが、思慮が浅いことで部下の頭を悩ませていました。
そんな楊奉は李傕に仕えており、その李傕は董卓に仕えていました。
董卓を頂点に据えてみれば、徐晃はその部下の部下の部下に当たります。
しかし、ピラミッドの頂点・董卓が王允に謀られて死亡。
李傕が王允を始末したのですが、以後、李傕の傲慢さに拍車がかかります。
そんな李傕を何とかしようと考えた楊奉は安直にも李傕を暗殺しようとして失敗。
事を仕損じた楊奉は徐晃の進言を受けてなんとか献帝を連れ出して洛陽まで逃げ切ります。
ところが、そこは安住の地ではなく、度々小競り合いが勃発。
最終的には曹操が楊奉を騙して献帝を許に掻っ攫って行ってしまいました。
途中で騙されたことに気づいた楊奉は憤慨して徐晃を曹操に差し向けます。
一方、曹操も猛将・許褚を繰り出して応戦。
両者は死闘を演じますが、結局その決着はお預けに。
これを見ていた曹操は「徐晃が欲しい!」と目を輝かせます。
曹操が徐晃をどうやって引き抜こうかと悩んでいると、満寵が次のように申し出ました。
「私は徐晃と昔馴染みです。この私が徐晃を説得してみましょう。」
曹操は大いに喜んで満寵を送り出します。
満寵が早速敵陣にいる徐晃を訪ねると、徐晃は大変驚いた様子を見せましたが、
満寵をあたたかく迎え入れました。
話に花が咲きはじめた頃に満寵は自分の身の上を語り、
曹操がいかに素晴らしい主君であるかを語った上で徐晃に対して次のようにすすめます。
「楊奉の元にいては、その才能も宝の持ち腐れというもの。
楊奉などにはさっさと見切りをつけて共に曹操様に仕えてその手腕を発揮しようではないか。」
ところが徐晃は簡単には首を縦に振れません。
やはり長く使えている主君を裏切るのは忍びないと考えたのですね。
それでも満寵は引きません。
「徐晃、賢い猛禽というのは、良い木を選んで棲んでいるものだ。
せっかく良い木が目の前にあるというのに、わざわざ今にも折れそうな木に棲むなんていうことは
真に優れた臣のすることだろうか?」
『春秋左氏伝』に見える「良禽択木」のたとえ話を持ち出す満寵。
この言葉を受けて徐晃もハッと気づきます。
次の日には支度を整えて満寵と共に曹操の元に向かった徐晃は、
楊奉軍を退けた後も魏きっての猛将として華々しい活躍を見せたのでした。
たなぼた!ヘッドハンター・李恢降臨
このとき、劉璋の元を去って劉備を訪ねてきた者がありました。
それは、李恢です。
突然現れた李恢に劉備もびっくり。
当然、なぜこちらに降ってきたのかと李恢に尋ねます。
すると李恢は次のように答えたのでした。
「賢い猛禽は良い木を選んで棲家にするというわけです。
劉璋は私の諫言に耳を貸さずに敗北の道を突き進んでいます。
どうしてそんな主君に仕え続けることができるでしょうか。」
李恢も満寵が使った「良禽択木」を例に挙げて自分の正当性を訴えたのです。
そして李恢は次のように続けます。
「ところで劉備様は馬超と争っているのだとか…。
馬超が破滅してしまう前に、この私が彼を説得して見せましょう。」
李恢は自分の有能さをアピールすべく、
劉備が手を焼いているという馬超をスカウトすると申し出ました。
五虎将馬超を李恢がスカウト
馬超はその頃、曹操への憎しみを胸に抱きながら張魯の元で我武者羅に暴れまくっていました。
馬超の暴れっぷりは同じく暴れん坊として名高い張飛と
日が落ちて暗くなってからも戦い続けてしまうほど。
劉備は馬超の強さに目を見張ると同時に、
何とかして馬超を退けられないかと策を巡らせていましたが、
どうにもうまくいかずに手をこまねいている状態でした。
そんな劉備にとって李恢からの申し出はまさに渡りに船だったのです。
李恢はさっそく馬超を説得しに行きますが、馬超は猛烈に警戒しています。
それでも李恢は馬超に次のように投げかけます。
「馬超殿の真の敵は曹操ではなかったのか?
もしも劉備様を破ったならば、その真の敵を喜ばせてしまうことになるぞ。」
この言葉を聞いて目から鱗が落ちた思いがした馬超は、
すぐに劉備に降伏を申し入れ、以後、劉備のために死力を尽くしたのでした。
三国志ライターchopsticksの独り言
君、君足らずんば臣、臣足らず、
自分を一番高くかってくれる君主を探して
ヘッドハンティングに応じた武将達の話でした。
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