三国志平話が面白いのにすたれた理由


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桃園三兄弟の劉備と張飛と関羽

 

三国志平話は、中国四大奇書(よんだいきしょ)の一つの「三国志演義(さんごくしえんぎ)」よりも前に刊行された三国志物語本です。

そこに記されているエピソードは三国志演義にもたくさん採用されており、三国志演義の元ネタになっていることは明らかですが、

三国志演義が大いに流行してずっと読み継がれてきたのに対し、三国志平話のほうはすっかりすたれてしまいました。

 

三国志平話は三国志演義よりも登場人物が生き生きとしており、たいへん魅力的な本なのですが、どうしてすたれてしまったのでしょうか。

 

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三国志平話の魅力とすたれっぷり

周瑜を取られて嫉妬する小喬

小喬

 

三国志平話には、三国志演義より優れている点があります。それは登場人物が一人一人魅力的であることです

例えば、三国志演義では女性の登場人物が感情をあらわにするシーンはあまりありませんが、三国志平話では諸葛亮(しょかつりょう)周瑜(しゅうゆ)を戦いに駆り立てようと

するのを見て周瑜の妻の小喬(しょうきょう)が怒るシーンや、孫権(そんけん)の妹が兄にとっての邪魔者である劉備(りゅうび)を暗殺しようとしながら劉備の魅力にぽーっとなって

暗殺を思いとどまるシーンがあり、登場人物に感情移入できるようになっています。

 

三国志演義では忠臣で天才で隙がないため可愛げに欠ける諸葛亮も、三国志平話では戸惑ったり口ごもったりするシーンがあり、人間らしく面白みがあ

ります。

 

このように、一面では三国志演義をしのぐ面白さのある三国志平話ですが、本場中国では三国志演義に淘汰され絶滅してしまい、現存している版本は

日本に渡ってきたものです。

(本場では無価値だと思われても日本では舶来ものだから大事にされたのでしょう)

 


 

すたれた理由1: 時代考証がめちゃくちゃ

関羽

 

三国志平話がすたれた大きな原因として考えられるのは、時代考証がめちゃくちゃすぎることです

 

年号もめちゃくちゃ、出来事もめちゃくちゃ。

ざっくりとしたところではいちおう三国志の流れに沿っていますが、史実に忠実であることは重視されておらず、三国志の人物や時代を利用して面白い

お話ができればそれでよいというような書かれ方をされています。

地名や人名には当て字が多く、地理的な知識もめちゃくちゃです。

 

群雄がいちいち「王」を名乗っていたり、劉備が水滸伝の宋江(そうこう)のようなアウトロー集団の親玉で朝廷に懐柔されたりと、世界観は三国時代ではなく

宋の時代のようになっています。

 

そこらへんを、歴史書を参照しながら三国時代に寄せて書いた三国志演義と比べてしまうと、三国志平話は子供の落書きのように見えてしまって、

人々から顧みられなくなるのももっともかなという感じがいたします。

 

古代中国・超科学の世界に挑戦する HMR

HMR  

すたれた理由2: ストーリー性に欠ける

閻魔大王

 

三国志平話は、漢の建国の功臣でありながら建国後に殺された彭越(ほうえつ)韓信(かんしん)英布(えいふ)が劉備・曹操(そうそう)・孫権に生まれ変わって人生をやり直す(?)

ところから始まり、漢王朝の後裔を名乗る劉淵(りゅうえん)が漢を再興する(?)というハッピーエンド(?)のストーリーです。

 

いちおう、無理くりストーリーはありますが、人間ドラマとか歴史ドラマとかいう感じではなく、形式だけでつじつまをあわせた感じで、

読後感が「???……キョトン」となります。

 

一方、三国志演義は、劉備・関羽(かんう)張飛(ちょうひ)が世の中をよくしたいという情熱だけで裸一貫で挙兵して、成功と挫折を繰り返しながら勢力を増し、

ライバルと戦いながら天下の三分の一を手に入れ、最後には自分たちもライバルもみな滅んでしまうという、盛り上げて泣かせて締めるストーリーで

す。

ドラマ的な盛り上がり方は申し分なく、この点でも三国志平話は勝ち目がありません。


 

すたれた理由3: 思想がない

呂布

呂布

 

三国志平話には思想がありません

三国志の舞台で、三国志の人物がダイナミックにわちゃわちゃ動いているのを楽しむだけの作品です。

ひたすら日常ドタバタコメディに終始して唐突に終わるギャク漫画のような印象で、読んでいる間は楽しいのですが、終わったあとに

「なんの話を読んでいたんだか? はにゃ?」となってしまいます。

 

一方、三国志演義は「演義(義を演ずる)」というだけあり、儒教思想で一本筋が通っています。

関羽の義、諸葛亮の忠、劉備の仁。こういう儒教っぽいところを見せつけられるので、儒教=インテリというイメージのあった前近代の人たちは

読んだあとに「読んだー!」という充実感を覚えることができたはずです。

 

曹操、逆賊、悪い奴、という価値観を身体に刻み込めば、自分も儒教的な意味での正義の味方になりきることができます。

読んでもなんにも残らない三国志平話よりウケたのは当然です。


  

 

三国志ライター よかミカンの独り言

三国志ライター よかミカンの独り言

 

ライトノベルの書き方が紹介されているウェブサイトを参照すると、キャラが動いているだけじゃなくてカタルシスやテーマがないといけない

というようなことが言われているのですが、三国志平話には断片的なカタルシスしかなく、テーマは皆無です。

キャラクターが魅力的でも、それだけではやはり生き残れなかったのでしょう。

 

しかし、三国志演義を見慣れた目から見ると、三国志平話の自由な書きっぷりにはとても魅力を感じます。

思想的に自由なので、どの登場人物のことも悪く書く必要がないところが素敵です。

 

三国志演義で忠臣の諸葛亮をすごい人にみせるために魯粛(ろしゅく)が道化のようになってしまっていたり義の人・関羽を神々しくするために呂蒙(りょもう)が呪い殺され

たりするのを見ると、とても残念な気がするのです。

 

なんの縛りもなく、読者の興味のおもむくままに魅力的な登場人物を描いた三国志平話。

ご興味のある方は、ぜひお読みになってみて下さい!

 

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