ログイン | 無料ユーザー登録


法正特集
徐庶


はじめての三国志

menu

三国志の雑学

黄巾賊は格差社会のセーフティネットだった!

曹操と黄巾賊



はじめての三国志コメント機能バナー115-11_bnr1枠なし暴れる黄巾党と張角

 

漢王朝に崩壊に繋がるダメージを与えた黄巾(こうきん)の乱。

その反乱の中心になったのは、太平道(たいへいどう)という教えを説く新興宗教の教祖張角(ちょうかく)でした。

 

張角は歴史の表舞台に登場

 

当初は、まるで流行しなかった太平道ですが、幾つかの要因が重なり百万以上の信徒を抱える大教団になっていきます。

巨大教団に成長した太平道ですが、その成功要因には、(しいた)げられた弱者を救済する太平道のセーフティネットがあったのです。

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:【シミルボン】本当は凄い!黄巾賊を滅ぼし後漢を支えた三将軍とは?

関連記事:黄巾賊の組織体制はどうなっていたの?太平道を布教させた宗教団体をミエルカしてみるよ

 

 

 

後漢を崩壊に導いた2つの要因

洛陽城

 

従来、後漢王朝の崩壊には、霊帝期に始まる売官や党錮(とうこ)の禁によって行政システムが宦官(かんがん)の手中に入り、貧官汚吏(どんかんおり)蔓延(はび)った事が言われてきました。

しかし王朝というのは多かれ少なかれ腐敗しているものであり、そればかりを理由にして後漢が倒れた理由にするのは無理があります。

 

水滸伝って何? 書類や本

 

最近の研究では、後漢王朝を崩壊に導いたのは、以下の2つの要因が影響していたようです。

 

①異常気象

②豪族による土地の専有化

 

このたった二つの要因が後漢の崩壊に繋がったというのです。

では、詳しく見ていきましょう。

 

 

 

地球の寒冷化が社会不安を煽った

 

①の異常気象は、地球の寒冷化で紀元100年頃、後漢の中期頃から顕在化してきたようです。

後漢書には、永初4年(西暦107年)の記述として、

 

天下に飢餓が蔓延している。

人々は競うようにして盗賊になっている。

豫州では食い詰めた人間が万余も盗賊になっている。

 

このように記述しています。

 

kawausoと曹操

 

それが辺境の涼州や幽州なら何も不思議はありませんが、豫州(よしゅう)というのは、曹操(そうそう)の生誕地である礁県(しょうけん)がある中原の中心地であり

袁紹(えんしょう)袁術(えんじゅつ)張魯(ちょうろ)陳羣(ちんぐん)呂蒙(りょもう)荀彧(じゅんいく)許靖(きょせい)等、三国志を彩る人々を輩出。そして、生産と物流の拠点を周辺に持つ土地です。

 

疫病が蔓延した村と民人

 

そこに飢餓が蔓延し、万余の人々が盗賊になったというのですから異常気象は凄まじいものでした。

長安(俯瞰で見た漢の時代の大都市)

 

三国志の登場人物がまだ影も形もない頃から始まった寒冷化は、それから80年以上経過しても止まらず、

河北の袁紹は兵士に食糧を配給できず桑の実を食べて飢えをしのいだり、淮河に駐屯していた袁術も、食糧調達がままならずに、

ハマグリやタニシを兵士に支給していると正史三国志には記録されている有様でした。

 

 

袁紹袁術の軍でさえ、そうなのですから一般の農民となれば土地にしがみついてもどうにもならず、土地を捨て盗賊になったり、

豪族の使用人に身を落としたり、都市に仕事を求めるなどして土地を離れていき、増々食糧生産能力が低下する悪循環が繰り返されていったのです。

 

まだ漢王朝で消耗してるの?

まだ漢王朝で消耗しているの

 

異常気象の中で富を増やしていく豪族達

賈詡

 

多くのケースでは貧困国というのは全ての国民が貧しい事を意味しません。

富が極端に偏在して、一部が巨万の富を積んで大多数の人々が喰うや食わずそのような状況が固定している国を貧しいというのです。

 

商人で成功する糜竺

 

後漢王朝の場合もまさにそうであり、寒冷化によって土地を離れた農民がいる一方で、豪族層は、こうして手放された土地、

あるいは農民を借金のカタに取り上げて土地の収奪を進めていったのです。

疫病が蔓延している村と民人

 

それが②の豪族による土地の専有化です。

 

王莽

王莽

 

前漢時代、豪族は秦末の動乱で多くの豪族が生まれた事で危険視され、法によって権力を制限されていた豪族ですが、

王莽(おうもう)による新末の動乱ではこれら豪族が、王莽軍や農民の反徒である赤眉軍を倒す兵力を供出する事になります。

 

後漢を建国した光武帝劉秀(りゅうしゅう)自身がその豪族の出身者であり彼は極力豪族と協調した政権運営を心掛けたので豪族は勢力を伸ばし

後漢が異常気象で衰えると、土地を拡大し零細(れいさい)農民を支配下において私兵化して行ったのです。

 

豪族が地縁社会を壊し太平道は疑似血縁共同体を組織

樊城の戦い

 

後漢の学者、崔寔(さいしょくによると豪族の横暴は以下のようでした。

 

豪族どもは莫大な財産を貯めこんでいる。

屋敷は広大で領地も広く、まるで王侯のような豪勢な暮らしだ。

連中は無頼漢を金で用心棒として雇い弱い人々を脅し、そればかりか用心棒どもは、

俺達は自由に人を殺してもいいのだと怪しからぬ言葉を吹聴してまわっている。

 

餓えた農民(水滸伝)

 

このような豪族の横暴に後漢王朝はまるっきり無策であり、自ら土地を捨てたり、土地を追われた人々は家族もバラバラになり

地縁・血縁社会から切り離される事になります。

無縁のままで彷徨(さまよ)う弱い人々にセーフティネットを提供したのが外ならぬ太平道だったのです。

 

張角が共同体を再編成し強力な黄巾賊が誕生

黄巾賊を率いて暴れまわる何儀(かぎ)

 

後漢書皇甫嵩(こうほすう)伝によると、張角の所業として以下の記述があります。

 

遂置三十六方 方猶將軍號也 大方萬餘人 小方六七千各立渠帥(きょし)

 

つまり、中華八州に三十六万の拠点を置いて、それぞれを方と名付けて大きいものでは万人余、小さいものでは六七千を率いさせて

渠帥(リーダー)を任命して統率させています。

これは、信者同士が元々共同生活を送っていたのを軍に再編したと考えられ張角は、太平道の教義を核に、

信者を一カ所に集めて共同生活をさせ疑似血縁家族を作り出したと考えられます。

曹操と黄巾賊

 

太平道には、貧しい人々ばかりではなく、死や病気の恐怖におびえる大商人や洛陽の宦官まで入信していたので、

彼らの寄進が、貧しい信者を食べさせる原資になったのでしょう。

 

黄巾賊

 

本来なら、後漢王朝が敷くべきセーフティネットを太平道が用意した、それこそ太平道が黄巾として後漢に対抗しえた秘密でした。

太平道の教えを信じた信徒達は、同じく教義を信じる仲間を家族と信じて漢王朝に叛いたのです。

 

三国志ライターkawausoの独り言

 

黄巾賊は本格的な戦争を長年経験していない正規軍相手に当初連勝します。

それを受けて朝廷は党錮の禁を解き、軟禁状態の豪族名士を呼び戻すと共に地方豪族からの義勇兵を集って兵力を強化しました。

 

黄巾を装着する黄巾賊

 

しかし、皮肉な事に、これら豪族の私兵も元は土地を追われた農民達でした。

黄巾の乱の主体は、黄巾賊へと流れた農民と豪族の私兵になった農民との理不尽な激突でもあったのです。

 

参考文献:史実三国志「演義」「正史」さらに最新発掘で読み解く、魏・呉・蜀

 

はじめての三国志全記事一覧はこちら

関連記事:黄巾賊はいったいどの辺を支配していたの?【素朴な疑問】

関連記事:劉備も孫権も黄巾賊と変わらない!三国志の蜀の皇帝劉備と呉の皇帝孫権は魏王朝から見たら黄巾賊と同じだった!?

【世界よ、これが黄巾賊だ】
黄巾賊

 

 

kawauso

kawauso

投稿者の記事一覧

三度の飯の次位に歴史が大好き

10歳の頃に横山光輝「三国志」を読んで衝撃を受け
まずは中国歴史オタクになる。
以来、日本史、世界史、中東、欧州など
世界中の歴史に興味を持ち、
時代の幅も紀元前から20世紀までと広い。
最近は故郷沖縄の歴史に中毒中、、

好きな歴史人物:

西郷隆盛、勝海舟、劉邦、韓信、、etc

何か一言:

歴史は現在進行形、常に最新のジャンルです。

関連記事

  1. 媧燐(かりん)は実在した?ベトナムの女桀と呉の陸胤の戦いの意外な…
  2. 陸遜 剣と刀 剣と刀ってどう違うの?【いまさら聞けない三国志の大疑問】
  3. 三国志ライター よかミカンさん 三国志演義の「卵」登場シーンとピータン豆腐の作り方
  4. 高順(こうじゅん)ってどんな人?張遼と双壁を為す呂布軍の名将
  5. 陶淵明は変態さん?閑情賦のエロ妄想が止まらない!
  6. 龐統 「連環の計を見破った以上、龐統よりも徐庶のほうが上じゃね?」とい…
  7. 成廉、魏越、呂布 呂布の配下、八健将(はちけんしょう)とはどんな人たち?
  8. 軍略にも才能を発揮した蒋済(しょうさい)の進言集

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (1)

    • 寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

    自民党に潰されて、創価学会や共産党の力にすがるのも似ていますね。

CAPTCHA


google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

  1. 林冲(水滸伝)
  2. はじめての三国志 画像準備中
  3. 合戦シーン
  4. 顔良と関羽
  5. 関羽が殺されキレる劉備

おすすめ記事

  1. これはヒドイ!流浪していた献帝の悲惨な生活
  2. 信ってどんな人?キングダムの主人公は史実が少ない謎多き人物 信(キングダム風)
  3. 後漢王朝の王族・劉曄の若かりし頃はどのような人物だったの? 曹丕に進言をする劉曄
  4. キングダム最新614話ネタバレ予想vol2「桓騎軍は何故大人しいのか?」 暴れまわる異民族に困る梁習
  5. 【シミルボン】カルトの手法は変わらない太平道の信者獲得法 太平道の祖・張角(黄巾賊)
  6. 荀攸(じゅんゆう)とはどんな人?曹操と生涯仲良し綺麗事を言わない荀彧の甥 荀攸

三國志雑学

  1. 龐統
  2. 馬超の兜にフォーカス
  3. 周瑜、陸遜


“ながら三国志音声コンテンツ開始" “はじめての三国志コメント機能" “はじめての三国志150万PV" “はじめての三国志Youtubeチャンネル" “広告募集" “誤字・脱字・誤植などの報告フォーム"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

  1. 環夫人
  2. 曹操のお墓(曹操高陵)
  3. 秦の始皇帝
  4. 源義経 鎌倉時代
  5. 曹操軍の輸送車を襲う趙雲
  6. 魯粛

おすすめ記事

祝融 祝融とはどんな人?赤兎馬を乗りこなす女戦士は夫よりも強かった? 女と金 「篤姫」経済効果はどの位?町おこしのヒントが満載 三国志の名将・鄧艾の栄光が終わることになった出過ぎた発言とは!? 夏侯覇 夏侯覇は郭淮とチョー仲が悪かったから蜀へ逃げたってホント!? 袁燿(袁耀)えんよう 自称皇帝、袁術のトホホな部下列伝 Part.1 異議ありと叫ぶ司馬懿 司馬懿(しばい)ってどんな人?実は列伝が無い孔明のライバル 魯粛 魯粛が孫権を煽ったから○○の戦いを決断することができた 魏の曹操孟徳 曹操へ祖父曹騰から与えられた人脈遺産とは?

はじさん企画

“if三国志" 英雄の死因 “三国志とお金" “はじめての漢王朝" “はじめての列子" “はじめての諸子百家" “龍の少年" “読者の声" 袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志

ながら三国志音声コンテンツ
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
英雄の武器 編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志" 英雄の墓特集 誤字・脱字・誤植などの報告フォーム はじめての三国志コメント機能
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

“ながら三国志音声コンテンツ"
PAGE TOP