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この記事の目次
奪われた献帝
董卓は初平3年(192年)に王允と呂布により暗殺されました。
時は流れて、興平2年(195年)に董卓の残党である李傕と郭汜が激しい権力争いを行ったので嫌気がさした献帝は長安を脱出。
献帝は董卓が即位させた皇帝だったので袁紹は好んでいませんでしたが、とりあえず郭図を派遣して様子を見にいかせます。
帰ってきた郭図は献帝を鄴に迎えることを提案しました。だが、袁紹は首を縦に振りません。当時の袁紹は公孫瓚との決着がついていません。沮授が提案した四州制圧の途中だったのです。
とてもじゃないですが、皇帝を迎える余裕なんてありません。結局、郭図の提案を断ってしまいます。ところが、そうしている間に献帝は曹操により保護。沮授のプランの1つである皇帝保護は欠けてしまったのです。
公孫瓚を撃破!しかし・・・・・・
建安4年(199年)に袁紹は長年の宿敵である公孫瓚を滅ぼすことに成功。ここに沮授のプランである四州の制圧は出来上がりました。
しかし、袁紹は長男の袁譚を青州刺史、次男の袁煕を幽州刺史に任命。袁譚は後継者であるにも関わらず外に出されてしまったのです。こういうことは、沮授のプランには入っていません。実は袁紹は三男の袁尚に家督をつがせたいので2人に外に出てもらうことにしたのです。
沮授は「必ず禍の始まりとなります!」とお家騒動の危険性を袁紹に伝えます。だが袁紹は、「私は息子たちに州の統治を任せようと思っているんだ!」と反論。結局、袁紹は沮授の意見には耳を貸してくれずに袁譚・袁煕を外に出しました。
しかし袁譚には問題がありました。袁譚は性格は優しく乱世の後継者というよりも平和な世の後継者に向く体質です。彼が派遣された青州は、凶暴な青州黄巾軍が跋扈していた土地であり当時は荒廃しています。統治レベルはかなり難しい場所でした。
袁譚は着任すると孔融・田階などの人気がある名士を追い払い、新しい名士を登用していきます。ところが、これらはゴマすりに来た連中であり何の役にも立ちません。袁譚は人を見る目に欠けていたのです。また、袁譚は妻の弟に軍を任せましたが、彼らは街で大暴れ!やっていることは、青州黄巾軍と大差無し。沮授の言うことを聞かないで勝手なプランを立てた袁紹はどうなるのでしょうか?
曹操との決戦に反対する沮授
建安5年(200年)に袁紹は長年の宿敵である曹操と天下分け目の戦を行うことにしました。そこで先鋒として白馬に顔良を派遣することにします。
ところが沮授は「顔良は強いですが心が狭いです。1人では危険です」と反対しました。しかし袁紹は沮授の忠告を聞き入れませんでした。沮授の悪い予感は的中しました。顔良は曹操の客将であった関羽の奇襲にあって討ち死にします。
袁紹は初戦で敗走しますが、今度は官渡で決着をつけようとします。だが、沮授はこれにも反対。公孫瓚との数年間に及ぶ戦や初戦で顔良を討たれたので袁紹軍は疲弊しています。そこで沮授はしばらく戦をストップして、農業振興をすすめました。残念ながら曹操との決着を優先した袁紹は、沮授の意見に耳を貸してくれません。かつて、自分のプランを採用してくれた主人の姿は沮授の目の前には無かったのでした。
家族のもとへ帰ろうとするも・・・・・・
官渡の戦いは曹操が烏巣の兵糧庫を襲撃したので曹操軍の勝利に終わります。沮授はこの戦いで曹操軍の捕虜になりました。連行された沮授は「降伏したわけではない。捕まっただけだ!」と叫びます。曹操は沮授の才能が惜しくなり、自分の部下にしようと考えました。
「家族が袁紹のもとにいるんだ。早く殺せ!」と沮授は叫ぶばかりです。放っておいたら気が変わるしれないと思った曹操は、陣中で手厚くもてなしました。
しばらくすると、沮授は突然脱走します。家族のもとに戻ろうとしたのでした。ところが、兵士に見つかってしまい殺されました。享年不明。才能を活かせずに散った無念の生涯でした。
三国志ライター 晃の独り言
沮授は主人運が悪い人でした。最初の主人である韓馥は平気な顔で領地を差し出すし、次の袁紹は調子の良い時はプランを受け入れてくれるが、悪い時は全く意に介してもくれない。
沮授も相当苦労したことでしょう。沮授が死ぬ間際に曹操軍から脱走を図ったのも、あくまで家族のもとに戻るためであり、袁紹に忠義を貫くためではないと私は考えています。
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