え!張飛が主人公?三国志平話はどうやって日本に伝わってきたの?

2020年11月21日

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kawauso編集長(石原 昌光)

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kawauso編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務めるほか、紙媒体やWebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者・おとぼけ(田畑 雄貴)

コンテンツ制作責任者

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月に「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感していただけることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。

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騎馬兵にあこがれる歩兵

 

良く言われている、分かりやすい例として「正史三国志は歴史書、それを面白く小説にしたのが三国志演義」と言われます。これは間違いではありません。

 

封神伝(書類)

 

ただ厳密に言うと正史三国志から三国志演義の合間に色々なお話が生まれて、三国志演義はそちらの影響をかなり受けているのです。その一つが、三国志平話(さんごくしへいわ)ですね。

 

そういう訳で今回は、三国志平話について、色々なお話をさせて頂きたいと思います。

 

三国志演義のベース

三国志(歴史)を誇張しまくる羅貫中 ver2

 

まず三国志演義の作者は羅貫中(らかんちゅう)とされていますが、例えばある作品を0から全て生み出したという意味での作者ではなく、後漢末期から三国統一、そして晋(しん)の時代へ……までの長い年月の間をテーマとした講談などを一つの物語としてまとめたという意味での作者、というのが羅貫中です。

 

三国志演義の作家 羅貫中

 

このため三国志演義は正史三国志をただなぞっただけではなく、色々な逸話や話を組み込んでいるのですが、その大きな一つとして挙げられるのが三国志平話です。

 

三国志平話とは?

三国志平話

 

さて三国志平話は、三国志演義の原型とも言える存在であり、色々な逸話が盛り込まれています。。

 

朝まで三国志2017 観客 モブ

 

ただし三国志演義よりももっと「えー!?」とか「そんな馬鹿な……」と思うようなお話も多いのはご愛敬。何せ初っ端から飛ばしてきているのですから。それは後漢代、司馬仲相(しばちゅうそう)という名前の書生が、天帝(てんてい)の命令である裁判を行うことになったことから始まりました。

 

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三国志平話はまさかの転生もの!?

韓信

 

この裁判の原告は前漢(ぜんかん)の功臣でありながら、謀略で殺された韓信(かんしん)、彭越(ほうえつ
)
、英布(えいふ
)
。

 

呂雉(りょち)

 

そして被告は劉邦(りゅうほう)とその妻である呂后(りょこう)。

 

曹操

 

ここで司馬仲相は、韓信を曹操(そうそう)、彭越を劉備(りゅうび)、英布を孫権(そんけん)に転生させ、劉邦夫婦を献帝(けんてい)と伏皇后(ふくこうごう)に転生させることによって彼らに復讐をさせるという判決を下しました。もう何を言っているのか分からないと思いますが、曹操が伏皇后を殺害するのは復讐であり、呂后の罪のためです。

 

異議ありと叫ぶ司馬懿

 

なお名前から察せることと思いますが司馬仲相も司馬懿(しばい)に転生します。

 

漢王朝として独立した劉淵

 

最終的に晋が三国統一した後に漢の血を引く(引いていない)劉淵(りゅうえん
)
が晋に勝って終わります。

 

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三国志平話は張飛が主人公?

太行山に入り山賊になる劉備三兄弟

 

前述したように、三国志平話は転生ものとは言っても各々が復讐を果たす、という筋書きであり、ちょっと荒唐無稽すぎる所はあるものの面白く、サッと読めてしまう良くできた物語です。そして面白いのが、三国志平話では張飛(ちょうひ)の出番が多いこと。

 

張飛にボコボコにされる魏続(ぎぞく)と宋憲(そうけん)

 

荒っぽく、乱暴で、失敗もして……それでも必死に義兄弟に付いていく張飛……そう、正に三国志演義の張飛を良く表したような存在で、ここからあの張飛が生まれたんだなぁと思いますね。

 

孔明の留守宅の壁に長々と漢詩を書いて汚す劉備

 

と、張飛だけに関わらず、色々な逸話が盛り込まれているのが三国志平話なのです。

三国志演義までの流れ

晋蜀の産まれ 陳寿

 

ここで少し、時系列的に三国志を見ていきましょう。まず中国統一後の280年以降とされる時期に、正史「三国志」が陳寿(ちんじゅ)の手によって編纂されます。

 

歴史書をつくる裴松之

 

そして五胡十六国時代(ごこじゅうろっこくじだい
)
から南北朝時代(なんぼくちょう じだい
)
頃に裴松之(はいしょうし
)
が注釈を入れました。

 

三国志(歴史)を誇張しまくる羅貫中

 

そして明(みん)の時代頃に、羅貫中によって正史三国志を元にしつつ、三国志平話を併せた「三国志演義」が生まれたのです。

 

裴松之(歴史作家)

 

このことから考えると、裴松之が注釈を入れた頃にはいくつか民間で娯楽とした三国志が生まれており、三国志平話が生まれたのだと思われます。民間娯楽とあって、親しみ深い張飛の出番が多かったのかもしれませんね。

 

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正史三国志寄り?三国志平話寄り?

正史三国志_書類

 

ただ三国志演義は、三国志平話の原型といいつつも、正史三国志の注釈、記述などが大量に含まれているのもポイントです。というよりも、かなり正史三国志を取り込んで書いていると言っても良いでしょう。

 

四輪車に乗る孔明

 

なので原型といっても丸々そのままではなく、かなり歴史に沿って書かれている部分が大きいですね。ここら辺のこともあって、張飛の出番ではなく諸葛亮(しょかつりょう)の出番が増えたのではないかと思います。

 

諸葛孔明を自分のもとに入れたくて堪らない劉備

 

もしかしたら時代は荒っぽいけど良いやつ系よりも、クレバー何でもできちゃう系を好んでいたのかもしれない……と妄想すると、時代の移り変わりも見えて面白いところ。とは言え三国志平話の要素は色々と三国志演義に取り入れられており、ぜひ一度は見てみて欲しい作品です。もし興味を持たれましたら、翻訳された本を一読されて見て下さいね。

 

日本への浸透

日本に目指さした孫権

 

ちょっとここで今回の小話を。歌舞伎の演目に、白波物(しらなみもの
)
、という分類があります。これは盗賊を主題にした演目であり、白波というのは盗賊のことです。

 

黄巾賊

 

そしてこちらがどこから来たかというと、黄巾賊の残党が立てこもったのが「白波谷(はくはこく)」であるとして生まれた言葉。これは「通俗三国志(つうぞくさんごくし)」という元禄初年に刊行された三国志演義の訳本から生まれました。

 

にぎわう市(楽市・楽座)

 

そう、江戸時代から既に三国志は日本に浸透していたのです。こう考えると日本での三国志人気、決して昨日今日始まったものではないんだなぁ、と、改めて思いますね。

 

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三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

今回は三国志平話、三国志演義の繋がりについて拙いながらご紹介させて頂きました。序盤から飛ばしてくる三国志平話ですが、後の展開は結構するすると頭に入ってくる内容です。原型とはしても、その魅力は三国志演義のものとはまた別の魅力。三国志の世界をより深めてくれる作品です。

 

参考文献:三国志平話 立間 祥介「全相三国志平話」

 

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三国志平話

 

 

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両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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