三国志・はちみつ皇帝から読み取る三国時代の料理とは?

2022年7月15日

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kawauso編集長(石原 昌光)

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kawauso編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務めるほか、紙媒体やWebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者・おとぼけ(田畑 雄貴)

コンテンツ制作責任者

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月に「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感していただけることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。

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はてなマークな劉備と袁術

 

さあ皆さん、今回はどなたのお話だと思いましたか?

 

恐らく数多くの読者の方が、タイトルの「はちみつ皇帝」でかの大皇帝(?)袁術(えんじゅつ)様のお話と思われたことと思います。しかしそれは大きなミステイク、実は蜂蜜の……というか、蜜のお話をなさった皇帝はもう一人おられるのです。

 

皇帝に就任した曹丕

 

それこそ魏(ぎ)の初代皇帝、文帝(ぶんてい)様!と今回はお料理の小話を交わしたいと思います。

 

 

孟達らびゅー☆

孟達が魏に寝返って歓喜する曹丕

 

それはある年のこと、蜀(しょく)から孟達(もうたつ)が降ってきました。この孟達のことを曹丕(そうひ)は大変気に入って、それはもう厚遇します。何せ外出する時には一緒の車に乗せちゃうほどで、魏の諸将はさぞやそんな孟達のことをよろしくは思ってなかったでしょう。

 

孟達を討伐する司馬懿

 

まあ最終的に孟達は司馬懿(しばい)にやられてしまうのですが……。そんな孟達と曹丕は、このようなお話をしたと言われています。

 

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お肉のお話(ひにくに非ず)

孟達に恋文を送る曹丕

 

ある日孟達は曹丕に「蜀の肉は味が薄いので、蜜や飴をかけて味わいをプラスしています」とか何とか述べました。それを聞いた曹丕が何故かこれを詔にして部下に話しちゃうので、これが記録されてしまうのです。

 

曹丕

 

果物が好きな曹丕のこと、もしかしたら飴やら蜜やらをかける肉料理が気になったのかもしれません。とは言え、こちらがその後魏の料理に影響を及ぼしたのかどうかまでは歴史に記録されていないので、この話はここまで。

 

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はちみつちょーだい

袁術に捕まってしまう華歆(華キン)

 

さてここで少し蜂蜜のお話を。蜂蜜とは主にミツバチが集めてきた花やらの蜜で、とても甘いものですね。これは一度ミツバチが蜜を体内に取り込み、巣に持って帰って「ぺっ」とするからです。

 

ミツバチの体内に取り込まれることで、そして素で保存されることで蜜の水分が抜け、より蜜の濃度が高まるため甘くなる、と言われています。このため、現代でも砂糖の代わりの甘味料としても使われます。

 

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蜂蜜×肉

伊尹 料理人

 

では蜂蜜を肉に使った理由、それは一つに「味わいの補い」があります。蜀の土地はそこまで豊かではありませんから、動物もエサ不足で味わいに欠けたものであったのかもしれません。

 

そしてそういった「味の薄い肉」にコクをプラスするために蜂蜜、もしくは糖蜜や飴などをかけた、というのは考えられますね。現代でも煮物などに蜂蜜を足すことで味に深みを出すことは良く利用されている手法です。

 

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更にもう一つ「肉の柔らかさ」

 

そしてここでもう一つ、蜂蜜を肉料理に使った理由を考察してみました。それは「やわらかさ」です。皆さんは自家製の鳥ハム、良く知られる所ではヘルシーな鶏むね肉を利用した鳥ハムを食べたことは、もしくは作ったことはあるでしょうか?

 

この鳥ハムのレシピには基本的にお肉に砂糖、もしくは蜂蜜を塗り込みます。「えっ」と思われるかもしれませんが、こうすることでパサつきやすい鶏肉が柔らかく、美味しく仕上がるのです。

 

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蜂蜜の効能

袁術と一緒にはちみつを楽しむ袁燿(えんよう)

 

一体どうしてかと言うと、まず糖には「親水性」があります。簡単に言うと水分と仲良くしやすい性質ですね、砂糖が保存していると固まるのは、この性質によるものです。このため肉の内部に浸透した糖分が、肉の保水性を高め、料理に使うとしっとり、柔らかく仕上がるのです。

 

更に火を通すことでカラメル化すると、肉の表面が覆われて旨味も逃がさず閉じ込めることができます。なので、蜂蜜を料理に使うというのは化学的にもプラスなポイントということになりますね。

 

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袁術祭り

 

 

蜀の地

祁山、街亭

 

さて、動物は脂がのっていない、つまり痩せているとどうしても肉質が固くなります。調理すれば肉の水分が飛び、更に固くなって食べにくくなるでしょう。なのでそういう蜀の土地の動物の肉質を補うために、蜜や飴を使うことを蜀の土地の料理人は考えたのではないでしょうか。

 

木牛流馬を使用する蜀兵士

 

そもそも蜀は立地からして外から物資を運ぶのも大変ですし、これが悪ければ代用を、という訳にもいきません。そういった条件の悪さが生み出した料理人の叡智、更に言うと蜀の土地の特色。これを曹丕は詔によって部下たちに伝えた……のかも、しれませんね?

 

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法正

 

 

三国志ライター センのひとりごと

三国志ライター セン

 

筆者は鶏肉が大好きなので鳥ハムは良く作ります。しかし砂糖をまぶさずに作ってみると、不思議とパサパサ。最初はそういうものか……と思って調べてみると、親水性という化学の領域であったか……と反省。

 

しかし三国志(さんごくし)の時代には「親水性」というものは発見されていなかったことでしょう。それを考えると蜀の料理人たちはその土地で、旨味が薄く、固い肉を何とか美味しくしようと頑張っていたのでは、なんて考えてしまいました。

 

そういうバイタリティと食の追求性の高さは、魏と違って余り国土に恵まれていなかったから、と思うと、当時の人々の暮らしに何となく触れたような、そんな気がした筆者でした。

 

センさんのとぷんver2

 

ちゃぷり。

 

参考文献:太平御覧

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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