

さて戦乱の世、多くの武将たちが戦い続けました。戦場に出ていればその間、家政を切り盛りするのは妻、主に女性の役目でした。
女性は子供を産み、家を繋いでいくだけでなく、家長のいない間であっても、家を守ることが重要だったのです。だとするなら女性はただ美しいだけでなく、賢さも重要……かと思うとそうでもなくて?
今回はそんな、女性のお話をしたいと思います。
この記事の目次
呂布の正
さてまずはちょっと三国志演義のお話を。三国志にも記録されている天下無双、猛将中の猛将、人中の呂布(そして馬中の赤兎)。三国志演義で貂蝉とのラブロマンスが注目されていますが、この呂布の正室に厳氏という女性がいます。
貂蝉が出てくる三国志演義でも呂布の正室はこの厳氏なのですが、どうにも呂布のヒロインとなると貂蝉が注目されてしまうためかちょっと目立たない女性ですね。
呂布はボクシングが出来た?
-
-
今週もお疲れ様。古代ギリシャから伝わった?呂布は拳闘士だった説
続きを見る
陳宮の策に反対し呂布を敗北させた厳氏
この厳氏、悪妻として名を残してしまっています。その理由が、曹操と呂布の下ヒの戦いでのこと。窮地に陥った呂布軍で軍才を奮うのは、陳宮その人。ここで陳宮は城からうって出て戦うことを進言します。
が、ここで厳氏が反対したために、呂布は陳宮のこの作戦を取り上げませんでした。
結果、呂布は曹操に敗北し、処刑されます。厳氏たちは家族と共に許都に送られたとされていますが、その後は分かっていません。
呂布の愛馬赤兎馬とは?
-
-
赤兎馬ってどんなウマ?呂布も関羽も愛した名馬
続きを見る
なぜ呂布の敗北が厳氏の責任に?
はてさて、陳宮の作戦は成功していたでしょうか?
それは誰にも分かりません。もしかしたら成功したかもしれないし、失敗して終わったのかもしれません。呂布がこの策を取り入れて、実行していない時点で「勝ったかもしれない」は「しれない」話なのです。
なので厳氏が反対したから呂布が滅んだという訳では決してありません。しかし結果として呂布は陳宮の意見を取り入れ図に負けた、として、厳氏が反対したから呂布が滅んだ=厳氏は悪妻、と言われるようになってしまいました。
呂布の最期
-
-
36話:6人の英傑を裏切り最後を迎えた呂布
続きを見る
代替案がなく反対したから厳氏は悪妻なのか?
さて、厳氏はどの辺が悪妻なのでしょうか?
「女の浅知恵で名軍師、陳宮の策を退けるなんて愚かな!しかも代替え案を出す訳でもないなんて!これは悪妻!」
そう、歴史上に夫にアドバイスする女性は数多くいます。三国志にもかなりいますよね。ですが厳氏は彼女たちとは違い、具体的な案を出す訳でもなく、陳宮の策に反対しました。解決策を提示した彼女たちよりは、厳氏は愚かであった、とも言えるかもしれません。
ですが愚か=悪妻でもなさそうなのが、歴史の面白い所です。
呂布はビーフバーガーを食べていた
-
-
1800年前に呂布がビーフバーガーを食べていた?気になる漢時代の食生活
続きを見る
賢くても愚かでも旦那に口を出す女はダメ!
さて「哲婦城を傾く」とは詩経に出てくる言葉。「おっ?傾国傾城の何かかな?」と思うかもしれませんが、これが当たらからずも遠からず。哲婦とは哲、つまり賢く知恵がある、婦とはそのまま婦人、つまり賢くて知恵がある婦人は城を傾ける、ということなのです。
意味する所は「賢い女性は色々と口出しをするから、国は衰えて家を潰えさせる元である」という感じになりますが……えっ、賢くても女性は駄目なの!?
とか思いませんか?私は思いました(暴露)
呂布を動かした言葉
-
-
【呂布の心に響いた名言】その肉を飽かしむべし。飽かざれば人を咬まんとす
続きを見る
妻が旦那を家を切り盛りすると家は滅びるぞ!って事
さてさて、こちらは書経に出てくる言葉。牝鶏とは雌鶏のこと、晨とは夜明けのことであり、鶏が夜明けを告げることに通じます。そして索くるはここでは「尽」くる、つまり尽きるということ。
なので意味としては「雌鶏が夜明けを告げるのは、家が亡びる前兆だ」ということになります。これを前述した二つの言葉と合わせてみると、考えられるものがあります。
こちらもCHECK
-
-
【袁術の戦いを振り返る】徐州・豫州の戦いには人間ドラマが盛り沢山
続きを見る
女は黙って旦那の命令に従えという男尊女卑
さて、実際に鶏が雄雌どっちが朝を告げようとも、そんなことは関係ありません。しかし当時として、鶏の最大のお仕事、朝告げは雄の鶏の仕事、と考えると、そこに雌鶏がでしゃばってくるのは好ましくない、処が家が亡びる、とまで言われています。
よって、賢かろうが愚かであろうが、女性が男性の仕事に口出しをするのはそもそも女性としてあってはならないことであったのです。
そう考えると厳氏が悪妻と呼ばれ、「哲婦城を傾く」と言われていたのも何となく理解できるかと思います。当時としては、賢く貞淑でありつつ、何よりも慎ましい女性が好まれたのでしょうね。
こちらもCHECK
-
-
思わず「やりすぎだろ」と声が出る!脳筋・呂布が袁術にたかる方法が現代でも使える【ビジネス三国志】
続きを見る
三国志ライター センのひとりごと
個人的な意見を言うと、厳氏が口出しをしたから、というよりも、呂布がそれを聞き入れてしまったことがある種、呂布の命運を決めたのだと思います。妻が口出ししようと、それを聞き入れるかどうかは夫の采配ですからね。
それを思うと傾国の美女云々同じく、そもそも滅ぼしたのは男性なのにその理由に女性を使うなんて……なんてもんもんしてしまう筆者でした。
ちゃぽーん。
参考文献:後漢書呂布伝
呂布の年齢
-
-
【三国志の素朴な疑問】呂布は何歳だったの?
続きを見る



















