キングダム889話ネタバレ考察|李牧の最初の命令は「不戦逃避」

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「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務めるほか、紙媒体やWebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者・おとぼけ(田畑 雄貴)

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おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月に「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感していただけることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。

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キングダム889話ネタバレ考察

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パソコンを指さしながら深読み考察をする、おとぼけのイラスト

 

ここから最新話889話の考察に入ります。まずは、予想記事の答え合わせから。

 

李牧

 

889話の予想記事では、本命を「雁門の回想が続き、北の守りに就いたころの李牧が描かれる」としていました。ここは当たりです。

 

『キングダム』889話予想で李牧と史実上の評価を考察する記事用アイキャッチ。左側に李牧、右側に「889話予想」「史実の李牧は臆病者」の文字を配置

『キングダム』889話予想。李牧の行動をめぐり、「史実の李牧は臆病者だったのか」という視点から作品描写と史実の違いを考察します。

 

しかも、タイトルで「臆病者」と書いた、あの戦わない李牧がそのまま出てきました。『史記』の李牧が雁門で取った守り方が、889話では「不戦逃避」の四文字に。これは、うれぴー!

 

前回記事:キングダム889話予想考察|史実の李牧は「臆病者」と呼ばれていた

 

外れもあります。カイネと李牧の出会いは、砦に逃げ込んで救われた子どもか、妹を失ったあとに李牧の軍に拾われたか、の二択で予想していました。ところが実際のカイネは、李牧が来る前から守備隊で匈奴と戦っていた兵士。二択とも外れました。予想記事の第2弾で本命にした「戻ってきた趙忽が河了貂を尋問する」も、889話では描かれていません。

 

「申し訳ございませんでした」と土下座して謝るおとぼけのイラスト

 

いやー、今週も当たりと外れが半々。外した分は、ここでお詫び申し上げます(もう毎週謝っており、謝り慣れている自分が怖い)

 

関連記事:キングダム889話予想考察|史実の李牧は「臆病者」と呼ばれていた

関連記事:キングダム889話展開予想|趙忽は史実では李牧の後任?

 

キングダム人物名図鑑

 

この記事の目次

キングダム889話考察|李牧の「不戦逃避」は、匈奴を知っているから立てられた策なのか

 

不戦逃避と聞いて、カイネたちと一緒に「え?」となった方も多いと思います。

 

ただ、889話の前半を読み返すと、見え方が少し変わります。描かれていた匈奴は、広い範囲を馬で動き、どの集団がいつ来るのか分かりません。一つを追い払っても、山の向こうには次の騎馬集団。カイネの記憶の場面が、まさにそうでした。

 

追えば追うほど、こちらがすり減っていく相手。鬼ごっこで言えば、足の速い鬼を追いかけ回すより、先に陣地へ入ってしまうほうが捕まりません。李牧の命令は、その陣地を砦に置き換えたもの、と読めます。

 

『史記』によれば、史実の李牧も雁門でのろしと物見を整え、匈奴が来たらすぐ砦に入るよう兵に命じていました。捕虜を取ろうとした者は斬る、という厳しさまで同じ。そのやり方で、数年のあいだ損害をほとんど出していません。

 

羊と家財まで持って逃げろ、というところも気になりました。匈奴から見れば、襲った先に奪うものが残っていません。泥棒に入ったら、家具も冷蔵庫もまとめて引っ越したあとだった、という状態。命だけでなく、住民の暮らしごと守ろうとしているのではないか、と思うのです。

 

李牧がここまで言い切れるのは、相手の匈奴をよく知っているからではないでしょうか。それを描いている原先生も、匈奴のことをかなり調べているはずです。あれだけ李牧に思い入れのある原先生なら、なおさら。正直に言うと、おとぼけは匈奴のことをあまり知りませんでした。今週の雁門の場面を読んで、匈奴はどんな暮らしをしていて、どんな戦い方をする人たちだったのか、知りたくなっています。どうですかね。

 

関連記事:匈奴とは何?彼らと三国志の繋がりについて解説

 

史実版の春秋戦国時代の年表

 

キングダム889話考察|カイネはなぜ新司令官の李牧に食ってかかったのか

 

たしかに、着任したばかりの総司令官に食ってかかるのは、兵士としては無茶です。ただ、カイネの側から見ると、ほかに言いようがなかったのかもしれません。

 

カイネが剣を取ったのは、妹カイヤに手が届かなかったあの日があったからです。匈奴と戦うことが、カイネにとっては雁門を守ることそのもの。そこへ新しく来た若い将軍が、苦労を軽く見るようなことを言い、さらに戦うなと命じます。戦う理由ごと取り上げられたように感じたのだと思います。

 

ところが、889話はもう一つの事実も描いていました。カイネたちが戦っても、襲撃と報復は止まらなかったこと。敵を討つことと、住民が安心して暮らせることは、同じではありませんでした。李牧は、この繰り返しを断とうとしているように見えます。

 

カイネの怒りも、李牧の命令も、雁門のためです。向いている方向が違うだけで。

 

889話の予想記事に、こんなコメントをいただきました。

 

「59巻に『雁門以来』という話がありますね。(中略)李牧がカイネに『雁門ではカイネとは喧嘩ばかりでしたね』という、殺伐としたシーンとは場違いなセリフがあり、将来このあたりが延々と描かれるのではと暗澹たる気持ちになったものですが、まさに当たりました(涙)」

 

ありがとうございます。今週の二人は、まさにけんかから始まりました。けんかばかりだったという雁門の日々の、一回目。ここから二人の関係がどう変わっていくのか。カイネは、不戦逃避に従えると思いますか。

 

キングダム武将の哀しすぎる最期

 

キングダム889話考察|サブタイトル「見捨てられた地」。北を見捨てたのは誰なのか

 

読み終えてから、タイトルの重さがじわじわ来ましたよ。

 

北を見捨てた側は、作中ではっきりしています。六国との争いに追われ、北を十分に守らなかった王都。カイネの「見捨てられた」という思いも、そこから来ています。引っかかるのは、李牧もその王都から来た人間だということです。中央から来た将軍に、雁門の人々がまず向けたのは疑いの目。そこへ出てきた言葉が「戦うな」なら、「また見捨てるのか」と聞こえても不思議ではありません。

 

馬超と羊

 

ただ、羊と家財まで守らせる命令は、北を放っておく側の発想とは逆に見えます。原先生は、この土地に本気で向き合った最初の中央の人間として、李牧を置いたのかもしれません。このタイトル、みなさんにはどう響きましたか。

 

キングダムと三国志の違い

 

キングダム890話予想|回想は何話続く?李牧は「臆病者」と呼ばれるのか

 

ここからは、890話考察の予想です。

 

本命は、回想の続き。889話は、李牧が命令を出したところで終わりました。実際に匈奴が攻めてくる場面は、まだありません。890話では、不戦逃避が初めて試される場面が描かれると思います。

 

『史記』の流れに沿うなら、その先に待つのが「臆病者」の評判。匈奴が来るたびに砦にこもる李牧は、匈奴からも味方の兵からも臆病だと思われます。趙王に責められてもやり方を変えず、とうとう呼び戻されて、別の将軍に代えられてしまいました。代わりの将軍は出撃しては負け、辺境では田畑も牧畜もできなくなったとされています。

 

作中でも、「臆病者」の声はきっと出てくるはず。いちばん大きな声で言いそうなのはカイネだと予想しています。命令に従えずに、匈奴と戦ってしまう兵の一人になる可能性もあります。そうなれば、李牧は自分で決めた斬首の命令と向き合うことになります。

 

では、回想は何話続くのか。888話の記事には「カイネの過去編1話で終わってほしいけど2話くらいはやりそうだな~」、予想記事には「二話は確実、三話半分ぐらいから場面は河了貂の牢に戻る、でしょうか」という読みをいただいていました。

 

889話では終わらなかったので、2話以上は確定しました。予想は3話前後。不戦逃避の我慢の時期から、十余万騎を破ったという『史記』の大勝までを描くなら、もっと延びるはずです。

 

キングダム年表

 

キングダム890話予想|匈奴はどこまで描かれる?李牧の最期につながる伏線

 

ここは、書くかどうか迷ったところです。

 

不戦逃避を読んでから、匈奴を深く知れば、李牧という人物がもっと具体的に見えてくると考えるようになりました。李牧の戦い方は、北で匈奴と向き合った時間から生まれています。その戦い方を知ることが、李牧の最期を読むことにもつながるのでは、と。

 

『史記』によれば、李牧は最後に、秦の軍ではなく自分の国の王の命令で斬られます。きっかけは、秦から金を受け取った郭開の讒言でした。北を守った将軍が、最後は王都に見捨てられるという皮肉。雁門の回想は、この最期に向けた長い前振りなのかもしれません。

 

ただ、心配もあります。888話の記事には「河了貂のこのパートも蛇足だと思っているのに、来週から李牧の過去の話なんて・・・」というコメントもいただいていました。回想編を歓迎していない方がいることは、よく分かっているつもり。そこへ、おとぼけが匈奴の記事まで書き始めたら、さらに追い打ちになるのではないか、と。

 

対抗は、回想が早めに切り上げられる展開です。匈奴を破る大勝までを一気に描き、河了貂の牢へ戻る形。牢の中の河了貂には、まだ朝が来ていません。

 

関連記事:李牧は、いつ誰にどのように誅殺される?趙の滅亡やカイネのその後を簡単に解説

 

キングダム武将の哀しすぎる最期

 

みなさんはキングダム889話はどう読みましたか

 

今週の分かれ目は二つあると思います。

 

一つは、カイネは不戦逃避に従えるのか。従わずに匈奴と戦ってしまい、李牧に斬首を突きつけられる展開を読む方もいそうですね。もう一つは、正直に聞かせてください。匈奴について掘り下げた記事、読みたいですか。回想はもういいから本筋を、という声も含めて、遠慮なく書いてもらえるとうれしいです。

 

コメントで教えてください。次回の記事で紹介させていただきます。

 

 

キングダムライターおとぼけの独り言

 

はじめての三国志主宰 おとぼけ(田畑雄貴)

 

今週いちばん笑ったのは、李牧の着任のあいさつでした。

 

長く匈奴に苦しめられてきた人たちの前に立って、北はそれほど難しい場所ではない、ですからね。本人に煽っているつもりがなさそうなところが、またいいんですよね。天然で初対面の仲間を煽っていく新司令官。家族を失う話が続いた重い回だったので、この緩さに救われました。

 

そして、おとぼけ、実は李牧が好きになってきたかもしれません。

 

予想記事の第2弾で、李牧が好きな方はいますかと呼びかけてみたのですが、「自分は李牧が好き」という声は届きませんでした。いただいたのは「恐らく李牧を一番好きなのは原先生自身かも知れません」というコメント。たしかに、と笑ってしまいました。ここまで李牧を丁寧に描く原先生の気持ちが、今週は少し分かった気がします。あの緩い李牧が、いつか王都に斬られると思うと、胸がきゅっとなりますね。

 

それでは兄弟たちよ、また来週は休載のようですので、後ほど仮眠を取って予想考察を執筆して記載します(現在深夜1時)

 

▶次回予想記事:キングダム890話予想考察|史実の匈奴はどんな相手?史実で読む李牧の戦術

 

関連記事:キングダム888話ネタバレ考察|カイネが涙した理由

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おとぼけ(田畑雄貴)

数々のブレストと思いつきで場を散らかした後、権限委譲と言い放ち、kawauso編集長に丸投げし去っていく。インターネットの不特定多数無限大の可能性にロマンと情熱を捧げる「はじめての三国志」の創設者。創造的で自由な発想が称賛や批判を創発し、心をつかむコンテンツになると信じている。各メンバーのパーソナリティを尊重し、全員の得意分野を活かし、補完し合うチーム作りを目指している。

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