董卓(とうたく)に荒らされた洛陽の復旧に当たっていた孫堅(そんけん)は、城南の井戸の中から、伝国の玉璽を発見します。伝国の玉璽は、「皇帝の証」です。日本でいえばきっと三種の神器に当たるのではないでしょうか。
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日本の三種の神器
・八咫鏡(やたのかがみ)
・八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)
・草薙剣(くさなぎのつるぎ)
天皇の践祚の際に、この三種の宝物を持っていることで、皇室の正統を証明します。日本神話の中で、天照大神が瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に授けた鏡と勾玉と剣のことです。
こんな重要なものを、孫堅は手に入れたわけです!なぜ、曹操でも劉備でもなく、孫堅の手に渡ったのでしょうか。
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三国の力が均衡していなくては面白くない
言わずもがな、魏の曹操は華北一帯を治めていて、蜀や呉と比べて圧倒的な国力を誇りました。最終的に、三国を統一したのもある意味、魏です。三国と言えば、魏が筆頭に来るのは、誰もが認めることでしょう。
魏の王朝としての正統性は「献帝」を手に入れていたことです。董卓が洛陽を占拠したように、皇帝を掌握することは、この時代、天下を取ったも同然なのです。
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三国志演義では蜀が主人公
そして、『三国志演義』では、蜀の劉備(りゅうび)らが主人公として描かれました。三国の中では小規模でありながらも、優れた人材に恵まれたところも、人々を惹きつける魅力となっています。
劉備は中山王の後裔を名乗り、漢室と親戚関係であることを主張しています。また、劉備は一貫して漢王朝の再興を望んでいます。蜀の王朝としての正統性は、「漢の血筋」と言えるかもしれません。では、呉はどうでしょうか。
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呉にも光を!
海賊討伐をしていた孫堅がひょっこり現れて、死後は息子たちが継いで大きくなっていった国。……なにか足りない。魏と蜀と並ぶ、劇的な正統性がほしいところです。そんなところに、現れました、「伝国の玉璽」が。こうして、三国とも、正統性を主張するタネができました。
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