西暦200年、許貢(きょこう)の仇討ちを狙う食客の手によって深傷を負った孫策(そんさく)は日に日に病が重くなり、ついに自身の最期を悟ります。26歳の孫策(そんさく)は、主だった重臣を集め、そこで、このように告げました。
「弟の孫権(そんけん)をここに呼んでくれ、ワシはもう長くない、、」
孫策(そんさく)の言葉に重臣からはすすり泣く声が漏れていました。連戦、連勝、敵なしの強さで小覇王と恐れられた孫策(そんさく)が、名もなき食客の襲撃により人生の幕を閉じようとしているのです。
当時19歳だった孫権
兄の危篤を聞いてやってきた孫権(そんけん)は、当時19歳、少年の面影が残る人物です。
「権よ、、よく聴け、ワシはもう駄目だ、、後の事は弟であるお前に託す事にする、皆も聴いたな、新しい呉の主は権だ、、よろしく盛り立てて、呉を繁栄に導いてくれ、、」
重臣は、ひれ伏して孫策の遺言に従います、、しかし、孫権(そんけん)は突然の事に、明確な返事が出来ないでいました。すると孫策(そんさく)は、厳しい表情を崩して頬笑み、孫権(そんけん)の手を取って穏やかな調子で語り始めました。
「権よ、、お前の不安はよく分かる、、ワシも父が死んだ時、17歳で後を継いだ時は味方も少なく不安だったものだ、、だが、お前には頼りとすべき人材が沢山いる、、内政面で困った事は、張紘、張昭、外交で困った時には、周瑜を頼り、国を盛り立てて呉を守り、民を安心させよ、、
大丈夫、、お前は戦で領土を奪い合うにはワシには劣るが、国を一つに纏めて発展させる事においてはワシより上だ。いつかこの乱れた世の中を纏め、天下に呉の旗を翻してくれ、、」
孫策(そんさく)は、言い終わると、疲れたように目を閉じ、二度と目覚める事はありませんでした。こうして、弱冠19歳の少年孫権(そんけん)は、呉の大黒柱としての巨大な重責を担い、争乱の中国に立つ事になります。
次回記事:44話:複雑な官渡の戦いを時系列で紹介