曹操(そうそう)に抵抗して、豊かな荊州を地盤に
独立王国を築いてきた劉表(りゅうひょう)ですが、
もう、60歳を過ぎていて、病気がちになっていました。
しかし、劉表には、大きな問題が未解決で横たわっていました。
それが後継者の問題です。
前回記事:54話:劉備、再び曹操に敗れる
劉表の後継者問題
劉表には、前妻との間に出来た劉埼(りゅうき)と現在の蔡夫人の
間に生まれた劉琮(りゅうそう)の両名です。
いづれも優秀な人物ですが、劉埼は病気がちである事が玉に傷でした。
劉埼は、劉備に好意を持っていたようです。
仕方がありません、すでに父の気持ちは、現妻である蔡(さい)夫人に移り、
後継者争いも、弟の劉琮が有利だったからです。
劉埼は、親しく劉備と付き合っていたようですが、
それが、部外者である劉備を思わぬ危機に陥れます。
劉表軍の実権を握っている蔡瑁(さいぼう)
劉表軍の実権を握っているのは、蔡瑁(さいぼう)という男で、
荊州の豪族であり、蔡夫人の兄でした。
もちろん、蔡瑁にとっては、劉埼は邪魔で妹の蔡夫人が産んだ
劉琮が後継者になってくれた方が有り難いのです。
が、今は劉備という他所者の実力者が、劉表に取り入り、
何やかやと劉表の相談に預かっているばかりか、、
あろうことか、もう一人の後継者候補である劉埼の相談に
預かっているではありませんか、、
蔡瑁に取って、これが面白い筈はありません、、
「劉備は、曹操にも睨まれている実力者、、
放置しておいて、劉埼を後継者に、などと言われては堪らん
今の内に殺しておこうか、、」
蔡瑁(さいぼう)は、劉備を宴会に招いて美食を振舞います。
こうして、したたかに酩酊させてから刺客を放って、劉備を暗殺する
という筋立てが出来ていました。
しかし、劉表の配下である伊籍(いせき)という男がこれを聞きつけます。
「劉備殿、蔡瑁は、城門に兵を伏せてあなたを殺そうとしています。
幸いに南門には兵が配置されていない様子、そこからお逃げなさい」
劉備は驚き、直ぐに愛馬、的盧(てきろ)に乗って、南門を逃げ出します。
それに気が付いた蔡瑁は、追っ手を差し向けて追います。
劉備は、逃げますが、行きついたのは檀渓(だんけい)という激流でした。
しかし、躊躇う暇はありません、もうじき、蔡瑁の追手が、
劉備を殺しにやってきます。
「ええい、ままよ、的盧よ、ワシを助けてくれ!!」
劉備は、激流に飛び込みます、、的盧は名馬で、
この激流を泳ぎ切り、見事に劉備を向こう岸に渡してくれたのです。
こうして劉備は、とばっちりの暗殺の手から逃れました。
それにしても、危機一髪の窮地には、必ず味方を得て、
脱出に成功する劉備の悪運の強さは一級品ですね、、
耳で聞いて覚える三国志
次回記事:56話:水鏡先生との出会い。劉備に足りない人材って誰の事?
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歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。
もちろん、食べるのはサーモンです。