76話:孔明による材料も手間もなく矢を造る方法

2015年4月29日


周瑜くやしい 呉

 

孔明(こうめい)に次々と自分の計略を見破られた周瑜(しゅうゆ)は、

合法的に孔明を葬ろうと作戦にかこつけて罪に陥れようとします。

 

ある時、周瑜は、水上戦で一番大事な武器は何か?と

いう質問を孔明にしました。

 

すると孔明は、「水上では矢が重要になりましょう、、」と答えます。

 

それを聴いた周瑜は内心喜び、孔明に相談を持ち掛けます。

 

周瑜:「仰しゃる通りですが、残念な事に呉軍には矢が足りません、、

なんとか、10万本の矢を10日間の間に孔明殿の力で調達

できないものでしょうか?」

 

大量生産が確立できていない当時、10日間で10万本の矢を

作るのは事実上不可能でした。

 

周瑜は、それを承知で無理難題を伝え、出来なかったら、

孔明を処罰するつもりだったのです。

 

しかし孔明は涼しい顔をします。

孔明:「それはお困りでしょう、、しかし10日間とは悠長な、、

戦いは明日にでも起きるかも知れないのですから、

3日間で矢を10万本用意しましょう」(ドヤ顔)

 

周瑜は驚きますが、平静を装い、

「これは有り難い、では3日間でお願い致します」と言います。

 

もちろん周瑜は、もし孔明が矢を造る為に人手を貸してくれと

言っても理由をつけて妨害するつもりです。

 

(ふっふ、、いかに孔明でも3日間で10万本の矢を得るのは無理だ、、

出来ない時は、責任を取らせてやるぞ)

 

前回記事:75話:周瑜の計略で曹操の水軍が弱体化

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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矢について心配になった魯粛が孔明に会いに行く

孔明と魯粛

 

魯粛(ろしゅく)は、心配して孔明に言います。

 

魯粛:「大丈夫なのですか?自分から条件を厳しくして、、

周都督は、出来なければあなたを処罰しますよ」

 

しかし、孔明は笑うばかりで、何も言いません。

 

こうして、一日目が過ぎ、二日目が過ぎました、、

この間、孔明は矢を得るような行動は何も起こしません。

 



3日目の夜に孔明が取った行動とは?

 

そして、期限の3日目の夜、、強い霧が掛かる日です。

 

孔明は、魯粛を誘ってこれから船を出そうと言います。

 

「矢も造れないのに、船を出してどうするのです!!」

魯粛は呆れ、半分怒って言いました。

 

「はっはっは、、大丈夫、これから矢を造りに行くのですよ」

 

孔明は、小舟を20隻用意すると、それに大量の藁人形を詰めて

いかにも夜襲をかけるように見せ掛けます。

 

そのまま、孔明と魯粛と僅かな兵力を乗せた船は、

曹操軍の陣営に向かっていきました。

 

(まさか、、周瑜に処罰される事を恐れて、このまま

曹操に降伏するつもりなのか、、)

 

魯粛はノコノコ着いて来たのを後悔しますが、

もうどうしようもありません。

 

曹操軍の陣営に近付くと孔明は、兵士に鬨(とき)の声を上げさせます。

 

「すわっ!敵襲か!!」

 

曹操軍は呉の夜襲と思い一斉射撃

 

曹操軍は、呉から夜襲を掛けにきたと思って、一斉に矢を射かけます。

矢は、次々と藁人形に突き刺さります。

 

「よし、船を反転させよ、、、」

 

孔明が指示した通りに船は反転し、矢が刺さっていない部分に

再び矢が突き刺さります。

 

「もう、良かろう、追撃軍が来る前に引き上げだ、、」

 

孔明の合図で兵達は、大きな声で叫びます。

 

曹操(そうそう)様、沢山の矢を有難う御座います!!」

 

孔明は、大量の矢が刺さった船をお土産に悠々と呉に引き上げました。

 

呉に帰還する頃には、夜は白々と明けていました。

 

矢を調達して帰ってきた孔明

孔明 矢

 

20隻の船を調べると、一隻について8000本の矢が刺さっており、

10万本をゆうに超える矢が一夜で手に入ったのです。

 

「周瑜殿、これが材料も時間も使わずに矢を造る方法で御座います」

 

周瑜は、孔明の才知に感服し、とても敵わないと脱帽、、

孔明に対して師の礼を取ったそうです。

 

この話も三国志演義にしかない話ですが、創作とは言え、

とんちの利いた矢を得る方法は聞いていても小気味良く、

原作でも人気の高いエピソードとなっています。

 

耳で聞いて覚える三国志

次回記事:77話:老将黄蓋、身体を痛めつけて曹操を欺く

 

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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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