三国志の時代も現在も、人間は組織として動いています。
それは、組織を纏める要諦を持つ人が勝ち残り、ただ散漫に組織を運営する人が
敗れるという一つの真理を示しているのです。
見た目には大きな組織が、突然、倒産してしまう、或いは、急激に、
業績を落してしまうのは、この組織を纏める要諦を失っている事が、
大きな要因になっています。
この記事の目次
曹操は袁紹と対決することを決意
曹操(そうそう)は、呂布(りょふ)と袁術(えんじゅつ)を滅ぼした後、
北方で勢力を伸ばす袁紹(えんしょう)との対決を決意します。
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しかし、袁紹は強大で隣接する敵も少なく、一方で曹操は、
敵対者が多く、兵力も遥かに劣りました。
不安になった、曹操は、軍師である郭嘉(かくか)に、
曹操:「自分は袁紹を打ち破る事が出来るだろうか?」と質問します。
袁紹の十敗、曹操の十勝
郭嘉は、小さくうなずき、そして、曹操には袁紹に勝つ10の理由があると
断言して、述べ始めたのです。
1 袁紹は面倒な儀礼を重んじるが曹操は自然のままでいる事。
2 袁紹は天子に逆らっているが曹操は天子に従っている事。
3 袁紹はただ、心が広いだけだが曹操は厳しさを持ってルールを守る事。
4 袁紹は疑り深く親戚ばかりを用いるが曹操は親戚を特別扱いしない事。
5 袁紹は色々策謀を使うが決断力がない、しかし曹操は臨機応変で決断が素早い事。
6 袁紹は先祖の功績を元に親の七光と謙虚さで人を集めた。
だから、配下には、地位に惹かれ議論好きで上辺を飾っただけの者が集まるが、
曹操は、真心と誠意を持って人に当り功績には惜しみなく恩賞を与える事。
7 袁紹は目で見て困っている人には哀れみを持って対処するが、
目に触れない問題には考えが及ばない、曹操は目で見える小さな問題を無視する事が
あるが、大きな問題を無視する事なく、どこまでも解決策を講じる事。
8 袁紹の部下は派閥争いがひどくお互いを中傷しているが、曹操の陣営では
ルールが守られ、一致団結して組織が運営されている事。
9 袁紹の判断は、時によってブレて一定しないが曹操は、
一貫していて、ブレる事がないという事。
10 袁紹は勢いを頼んで威張るが、軍事の要点を知らない、
曹操は、少なきを持って多きに勝ち部下はそれを信じ、敵はそれを恐れる事。
郭嘉の10の勝因を分析してみた
郭嘉の10の勝因は、そのまま勝てる組織のモデルと見て間違いありません。
心が広いが部下を叱れない
3などは、心が広い「だけ」で部下のミスを適切に叱れない駄目上司に
当てはまりますし4は、創業者一族がワンマン経営をする企業には多々見られます。
親の七光で人材収集
6は大手会社と呼ばれる企業の悪弊でしょう、
○社は安定しているからと高学歴の求人が来るのでそればかりを採用すると
彼等はプレゼンは立派でも新鮮味もないし実行力もない。
元が安定志向で、会社を持ちあげようという意欲がないのですね。
目に見える出来事を心配ばかり
7は、目先の社員の不満を解消しようとして給料を上げたりし、
モチベーションを上げたつもりでも、新分野開拓や、組織の機能性向上や
人事の刷新は棚上げしている間に、会社そのものが斜陽になるという典型例です。
無用な派閥争いが起こっている
8は派閥争いが酷い会社には全て当てはまります。
内側で争うなら、外との競争には勝てませんし、そもそも、
派閥争い自体がウチは安泰という慢心から出るのです。
一貫性のない理念
9は、毎年会社のスローガンが変わる会社の典型です。
今年を深く総括しないで、新しいスローガンを建てても無意味です。
このように三国志は、1800年前の物語とは思えない程に、
生々しく、人間組織というものの本質を言い当てているのです。
今日も三国志の話題をご馳走様でした。
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