曹操を挙兵当時から支えてきた夏侯淵と夏侯惇。そして三国志後期に活躍した夏侯覇。彼ら三人は三国志の中でもかなり有名人で知っている方は多いと思います。そこで今回はこの夏侯トリオの活躍を紹介したいと思います。
夏侯淵率いる軍勢の速さは魏軍一!!
曹操の挙兵時から支えてきた夏侯淵。彼は最古参の武将の割にはあまりぱっとした活躍を戦場でしていません。それはなぜか。曹操は彼を主戦場で活躍させるよりも拡大した領土の反乱分子や賊徒を討伐させることを夏侯淵に任せていました。
そのため夏侯淵は張遼や曹仁らの将軍達が活躍したような戦にあまり参加するとはありませんでした。しかし夏侯淵は敵を急襲する戦を得意としています。なぜ夏侯淵は敵を急襲する戦を得意としたのか。それは夏侯淵の軍勢が速さを重んじていたからです。
夏侯淵率いる軍勢はとてつもない速さで移動することを得意としており、三日で三百里程をかけ通していたそうです。現在で言うと120キロ程の距離を三日で到着することができたそうです。もっとイメージしやすくすると夏侯淵の軍勢は東京から銚子までを三日で到着することができるそうです(約東京~銚子までがだいたい120キロ)。マジでやばくないですか。
歩きの歩兵と騎兵だけで120キロの距離を三日で到着することなんて、現代人には確実に無理だと言えます。夏侯淵率いる軍勢がとんでも無い速さを持っていたのがお分かりになったと思います。そしてこの速さを持った夏侯淵率いる軍だからこそ敵軍を急襲することができ、魏軍一の速さを誇っていたと言えます。
戦は下手だけど司令官向きの夏侯惇
夏侯惇は夏侯淵のような速さを持った軍勢を率いていたわけではありません。また張郃や徐晃のように戦がうまいわけでもありません。更に張遼のような武力を持っている人でもありません。え!?夏侯惇イイ所ないじゃんと思われるかもしれません。しかし夏侯惇には誰にも真似できない能力があります。それは人を率いる力を持った将軍です。
夏侯惇は曹操が遠征に行っている間、重要な拠点の司令官や軍勢を率いて戦っていることが多くあります。例えば曹操が徐州へ遠征に行っている時に呂布が反乱を起こして兗州のほぼ全域を手に入れた時がありました。この時夏侯惇は軍勢を率いて兗州の少ない曹操の領土を守りきることに成功しています。他にも夏侯惇は孫権の抑えとして軍を率いていたこともあります。
このように多くの将軍を率いる統率力に優れていた司令官向きの将軍と言えるのでしょう。また彼は政治にも目配りできる将軍で旱魃で民衆の食料が無くなりかけたとき、堤を作るため自ら土を運んで労働していたそうです。このように将軍を率いる統率力や政治力を発揮した夏侯惇の活躍もかなりやばいと思いませんか。
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軍事においても活躍し、人を見る目を持っていた夏侯覇
夏侯覇は夏侯淵の息子で蜀に復讐しようと考えて、修練を積んでいたそうです。しかし司馬懿のクーデター後に自らの命の危険性を知って、蜀へ降伏して蜀の将軍として活躍することになります。魏軍の将軍時代にも夏侯一族の中で戦の才能はピカイチでしたが、蜀へ移っても彼の戦の才能は錆びれることはありませんでした。
蜀の大将軍・姜維は北伐を行う際は夏侯覇を参加させて、一緒に闘っていたそうです。そんな夏侯覇は戦の才能にも秀でていましたが、人を見る目も持っていました。
夏侯覇はある時、蜀の将軍・張嶷と仲良くなろうと色々と話しかけたそうです。しかし張嶷は「あまり君のことを知らないから、少しづつ仲良くなっていこう」と言って急に仲良くなることを拒否してしまいます。夏侯覇は張嶷の言葉にちょっとショックを受けてしまいますが、この話のどこが彼の人を見る目があるのでしょうか。それは夏侯覇は蜀に降伏してから日が浅く、一人一人の将軍がどれくらいの力量を持っているか知らない状態でした。
夏侯覇は蜀へ降って日が浅いながらも、人をしっかりと見ていた事が上記の張嶷との絡みで分かると思います。陳寿も正史三国志の評価で「古の武将に匹敵するほどの将軍」と張嶷を評価しており、夏侯覇も人を見る目をしっかりと持った将軍であることの証左と言えるのではないのでしょうか。
三国志ライター黒田レンの独り言
今回は夏侯トリオの夏侯淵・夏侯惇・夏侯覇の三人を紹介しましたが、この三人の他にも夏侯一族には優秀な人材がたくさんいます。例えば夏侯玄は夏侯一族の中でも優秀な文官として活躍し、夏侯尚も一軍を率いて戦で活躍した人でした。多くの優秀な人材を輩出することになった夏侯一族で、魏の政権の中でも重きをなした一族でした。
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