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陸遜の人柄は地元の民間説話でも高評価!完全無欠の性格の良さが滲み出る陸遜

2019年5月8日


 

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荀攸と荀彧

 

 

歴史上の人物というもの、あまりにも「素晴らしい人だった」「完璧な人格者であった」と強調されていると、私などは「実際には何か悪いところがあったのではないかな」とむしろ邪推してしまうものです。

 

劉備の黒歴史

 

 

歴史好きな人なら、そんな気持ち、わかってもらえるかと。著者や評者が変わった途端に、評価がガラリとひっくり返る人物なんて、歴史上にたくさんいますからね。

 

 

孟節(南蛮討伐)

 

 

そんな私すらも、「これはきっと本当に人柄がよかったのだろうな」とスナオに納得してしまう人物が、『三国志(さんごくし)』において一名います。

 

陸遜

 

()陸遜(りくそん)です。

 

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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こういうタイプの「異常に性格のいいやつ」、中学・高校にたしかにいたよね!

 

この陸遜(りくそん)という人物がスナオに「いいやつ」に見えてしまう理由は、まず何といっても、「いいやつぶりがとてもリアル」だからです。

「こういう意味での異常に性格のいいやつ、たしかに実際にもいるよね」と思ってしまう。

 

周瑜と陸遜

 

この陸遜という人、初登場から夷陵の戦い(いりょうのたたかい)での活躍まで、

「誰かの引き立てで出世している」のですよね。

 

呂蒙のお見舞いにかけつける陸遜

 

「あいつは使えるから!」と呂蒙(りょもう)魯粛(ろしゅく)に見いだされ、

「たしかに使えるな」と孫権(そんけん)に目をかけられ、

「えこひいきだ」と反発していた諸将(しょしょう)も、最後には一目おいてしまった。

 

陸遜と孫権

 

本人がしゃしゃり出ることなく、周囲の評判から、リーダーに推薦されるタイプ。それでいて本人が天狗になることもなく、かといって「いえいえ僕なんか若輩ですから」とヘンにへりくだることもない。

 

陸遜

 

「皆さんが推薦してくれる以上、全力でがんばります」と礼儀正しく登場して、本当にマジメに誠実に仕事に取りかかり、優秀な実績をコツコツ積み重ねるので、誰も嫌ったり妬んだりできない。

 

周瑜と陸遜

 

たしかに、こういうタイプの「愛され優等生」って、中学や高校のときにいませんでしたか?

男子にも女子にも、先生にも生徒にも、進学組にも不良組にも、等しく「あいつはいいやつだから何も言えねえな」と評価されるタイプです。

 

陸遜

 

実社会でもそういう人にはたまに出会うことがあるので、そのリアリティが、「陸遜の高評価はきっと本当だろう」と思わせてくる所以なのかと思います。

 

 

 

中国民間説話でも陸遜の好感度は揺るがない!

陸遜

 

そればかりではありません。陸遜の性格のよさは本物だと私が認める、もうひとつの根拠があります。

 

水滸伝って何? 書類や本

 

湖北省(こほくしょう
)
群衆芸術館が出している「三国志外伝―民間説話にみる素顔の英雄たち」(徳間書店)という本があります。

 

これは中国の各地でフィールドワークを実施し、正史三国志(せいしさんごくし)でも三国志演義(さんごくしえんぎ)もなく「中国の田舎に民間伝承(みんかんでんしょう)として口伝されている三国時代の説話」をインタビューで集めてきた本となります。この本が、かなり面白い。

 

貂蝉

 

なぜか貂蝉(ちょうせん)関羽(かんう)に斬られて亡くなっているし、

 

3000人の配下で孔明の庵を包囲する武闘派な劉備

 

諸葛亮孔明(しょかつりょうこうめい)は、三顧の礼(さんこのれい)劉備(りゅうび)に迎えられる前に、実は曹操(そうそう)の訪問も三回受けていたことになっている。(曹操の場合は劉備そっくりの三顧の礼をプロセスをたどりながらも、最後の最後で「こんなになかなか会えないやつ、面倒くさくて、もういいわ!」とキレて帰っちゃった為、孔明(こうめい)の登用に失敗したというわけですね。

 

悪い表情をする司馬懿

 

むかしばなしでいう「正直じいさんといじわるじいさん」のごとく、同じことをやったようでも、正直者は報われ、性格の悪いほうは果報を取り逃がした、というパターンです)この本に、湖北省(こほくしょう
)
嘉魚県(かぎょけん)で採集された、孫権(そんけん)陸遜(りくそん)に関する説話が収録されています

 

陸遜

 

ここで描かれている陸遜が、実に誠実マジメで、頼れるお兄ちゃんという雰囲気の人物になっている。民間説話でもまったくイメージがぶれていない、ということは、やはり陸遜の「いいやつ」イメージは本物なのでは!と思っている次第です。

 

陸遜特集

 

 

 

湖北省に伝わる陸遜伝説とは?

陸遜

 

この説話は、以下のような展開をたどります。

 

嘉魚県には陸渓口という地名があるが、ここは昔、六口という地名だった。名前が変わったのは、あの陸遜がここを拠点に駐屯したことがあったから。そのとき陸遜はまだ二十歳の若者だったが、すでに大軍の大将となっていた。

 

陸遜

 

呉の諸将は「あんな若造」と批判していたが、陸遜はそれにめげず、兵士たちと寝食をともにし、日々の訓練に励んでいた。ある日、陸遜の部下が、あやしげな密偵が陣中にまぎれこんでいたのをとらえた。陸遜が見にいくと、それは変装をしてお忍びで訓練を視察しに来た孫権だった。

 

あわてて詫びる陸遜に、孫権は「わしが簡単に捕まってしまったのは、むしろお前のところの訓練がよく行き届いている成果ではないか!」と笑って誉めてくれた。

 

孫権

 

その言葉に、陸遜の部下たちも万歳で大喜び。こうして孫権と陸遜、および陸遜隊の兵士たちの絆は、ますます固くなりましたとさ。

 

孫呉(孫権・黄蓋・陸孫・周瑜・周泰) 

 

スポーツ青春マンガのように、さわやかで、いい話ではないでしょうか?部活の顧問(孫権)と、部のキャプテン(陸遜)と、ちょっとドジだが熱いメンバーたちの交流エピソードみたい。

 

 

まとめ:人材としての陸遜は、やはり熱い!

陸遜 剣と刀

 

こんな熱さでしっかりと信頼ができている地盤から出発した陸遜が、このマジメさと誠実さを持ったまま出世し大都督になっていくのですから、呉が長持ちした理由もなんだかわかりますね。

 

孫権に煽られて憤死する陸遜

 

残念ながら、孫権と陸遜の仲は、晩年がちょっとおかしなことになったようですが、それはまた別の話。

 

 

三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

どちらかといえば口の悪くなりがちな「民間伝承」の世界においても、陸遜が清楚なキャプテン気質で描かれているということは、「陸遜のいいやつぶりは本物なんだろうな」と私が思うところの、重要な根拠となっているのでした。

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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