関羽の一騎打ちの謎に迫る!実は一騎打ちは殆どなかった?

2019年7月12日


 

五虎大将軍の関羽

 

関羽(かんう)と言えば様々な戦いでその強さを見せつけ、劉備(りゅうび)の手助けをしてきた歴戦の勇士。三国志演義(さんごくしえんぎ)で描かれた関羽の様々な一騎打ちのシーンは、どれも本当にカッコ良くて素敵です。

 

周瑜、孔明、劉備、曹操 それぞれの列伝・正史三国志

 

しかし三国志で読んで見ると、実は一騎打ちのシーンは殆どないって知っていますか?そこで今回は関羽に焦点を当てつつ、演義の一騎打ちの多さの謎についても迫っていきたいと思います。

 

 

 

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監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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三国志演義での関羽の一騎打ち

関羽

では三国志演義の方から、関羽の一騎打ちを見ていきます。その回数はなんと20回以上、黄巾の乱に始まり、最後は麦城の戦いまで華々しい一騎打ちを繰り広げていきます。

 

顔良と関羽

 

個人的な好みを挙げますと、白馬の戦い(はくばのたたかい)曹操(そうそう)への義理を返すために袁紹(えんしょう)軍の武将顔良(がんりょう)を一太刀で切り捨てるシーン、それと老将軍で有名な黄忠(こうちゅう)との一騎打ちでお互いに相手の武勇を認め合うシーンが好きですね。

 

どれもこれも関羽の強さ、そして何よりも高潔さを表すかのような、華々しさの中に清廉さも感じられる一騎打ちのシーンとなって描かれています。ではこれが三国志になるとどうなっているのでしょうか?

 

 

 



三国志での一騎打ち

関羽

 

さて三国志の一騎打ち、こちらになるとだいぶ話が変わってきます。というのも三国志はまず歴史書で、箇条書きのように何があったか、誰がいたか、どうなったかが羅列されているようになっているんですね。その中で一騎打ちの記述はほぼ出てこないと言っても過言ではないのです。

 

三国志の数少ない一騎打ちの記述として、関羽と顔良の戦いが挙げられています。しかし三国志の記述を見ると、戦いの中で顔良を見かけた関羽は敵軍の中にただ一騎で分け入って顔良を刺し殺した……となっています。

 

その後、関羽は顔良の首を手土産に戻っていきますが……これは、イメージの一騎打ちとかなり違いますよね。理想かもしれませんが、一騎打ちというとお互いに名乗りを上げた上での戦い、という感じがしてしまいます。

 

こちらの記述になると、どうしても戦場でたまたま出会ったから討ち取った……というイメージになってしまいます。

 

 

あの名シーンの数々は、あくまで演出

強くなる関羽

 

繰り返しになりますが、三国志には一騎打ちというシーンは殆どありません。良く考えて見ると戦場で武将同士が打ち合いをするというのは、かなり特別な状況です。リアルに自分たちの命運がかかっていますから、言い方は悪いですが綺麗事で戦争はできないでしょう。

 

しかしそれでは読み物として盛り上がりに欠けます。そこで三国志演義では、一騎打ちのシーンを多く描いているのでしょう。民衆に受けるための演出です。だからこそ三国志演義は多くの人たちに楽しまれて来たと思います。

 

 

どうしてこんなに一騎打ちのシーンが描かれたのか?

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

ですがどうしてこんなに一騎打ちのシーンが描かれたのか、ちょっと気になりますよね。そこで三国志に比べて三国志演義で一騎打ちのシーンが多い理由を、考察をしてみました。

 

もちろん一騎打ちのシーンが多い方が盛り上がって面白い、というのはあるでしょう。しかしそこに「戦いの美学」があると思うのです。皆さんもご存知の通り、三国志では病死した武将が、三国志演義になると敵に討ち取られて死亡してしまうというのは珍しいことではありません。

 

病死する張羨

 

これはつまり「病死」よりも「戦いで死ぬ」ことの方が、武将としての誉れと考えられていたのではないでしょうか?

 

それと例えば関羽に一騎打ちで討ち取られてしまう、これはただの関羽カッコいい演出ではありません。関羽という武将によって討ち取られた、関羽と一騎打ちをすることができた、あの関羽が一騎打ちをした武将なんだよ!という表現も加えられていると思います。

 

その例として討ち取られてはいないものの、黄忠が挙げられますね。関羽と一騎打ちで引き分けるだけでなく、お互いの能力を認め合うというシーン……この演出を加えていったのが、三国志演義という物語のミソなのかもしれませんね。

 

三国志ライター センの独り言

三国志ライター セン

 

三国志演義を見てから三国志を見ると、盛り上がった戦いもサラリと書かれていてちょっと驚きます。しかしだからこそ、三国志演義は面白いのだと思います。三国志と同じく、三国志演義もまた面白い読み物です。

 

どちらか一方ではなく、両方の差異を楽しんでみて下さいね。

 

参考記事:

関羽 wikipedia

顔良 wikipedia

 

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三国志平話

 

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セン

両親の持っていた横山光輝の「三国志」から三国志に興味を持ち、 そこから正史を読み漁ってその前後の年代も読むようになっていく。 中国歴史だけでなく日本史、世界史も好き。 神話も好きでインド神話とメソポタミア神話から古代シュメール人の生活にも興味が出てきた。 好きな歴史人物: 張遼、龐統、司馬徽、立花道雪、その他にもたくさん 何か一言: 歴史は食事、神話はおやつ、文字は飲み物

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