五虎大将軍は史実ではない?その真相に迫る

2022年7月10日


五虎大将軍a 関羽、張飛、馬超、趙雲、黄忠

 

五虎大将軍(ごこだいしょうぐん)」と言えば、(しょく)を代表する5人の武将たちを指しています。蜀の華やかさをイメージさせるこの「五虎大将軍」という名称ですが、実は史実ではないらしいのです。

 

今回の記事ではそんな「五虎大将軍」の紹介と、史実ではないという噂の真相に迫ります。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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五虎大将軍のメンバー

漢中王になる劉備

 

劉備(りゅうび)漢中(かんちゅう)を掌握し、さらに国の軍事を強化する必要に迫られました。そこで諸葛亮(しょかつりょう)は今までの信頼と実績をもとに「五虎大将軍」を任命します。

 

五虎大将軍b 関羽、張飛、馬超、趙雲、黄忠

 

これは蜀の軍事を担う5人の中心武将たちにつけた名誉ある称号だったのです。そのメンバーは「関羽(かんう)」「張飛(ちょうひ)」「馬超(ばちょう)」「趙雲(ちょううん)」「黄忠(こうちゅう)」と蜀を代表する5人でした。

 

五虎大将軍の筆頭には「関羽」が任命され、諸説ありますが張飛が2番手、馬超、黄忠が並び、趙雲は5番手と言った感じでした。

 

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五虎大将軍は史実ではない?

正史三国志_書類

 

その後も五虎大将軍は蜀の戦いで、目覚ましい活躍をします。が、実はこの五虎大将軍、史実ではなく、正史(せいし)三国志(さんごくし)」には五虎大将軍に任命されるようなエピソードは出てきません。

 

三国志演義_書類

 

これは小説「三国志演義(さんごくしえんぎ)」の創作であり、蜀が主役の「三国志演義」を盛り上げるためにぶち上げた称号なのです。この「五虎大将軍」という称号があることによって蜀の5人が正義のメンバーのようなかっこいい印象をうけますよね。

 

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五虎大将軍の元ネタは?

蜀志(蜀書)_書類

 

では五虎大将軍の5人はどのように選抜されたのでしょうか。他にも蜀には有名な武将はいたはずです。これには正史「三国志」にヒントがあります。

 

正史「三国志」は各勢力、何人かの武将のエピソードが巻数に分けて記載されているのですが、「蜀志」第6巻にて「関張馬黄趙伝」として五虎大将軍メンバーの経歴がまとめられているのです。小説「三国志演義」の作者はこれを参考にして「五虎大将軍」のエピソードを構築したと考えられます。

 

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実際の5人の地位はどうだったのか?

北方謙三 三国志を読む桃園三兄弟 劉備、関羽、張飛

 

「五虎大将軍」のエピソードがフィクションとはいえ、5人が蜀の中心武将として活躍したのは間違いありません。正史「三国志」により五人の地位を確認してみましょう。

 

関羽は「前将軍」

張飛は「右将軍」

馬超は「左将軍」

黄忠は「後将軍」

に任命されています。

 

これらの将軍職はまとめて「前後左右将軍」といい、軍事をになう将軍たちを指しています。

 

阿斗を劉備まで届ける趙雲

 

一方趙雲はかなり古参のメンバーにも関わらず、将軍職に昇進したのは劉禅(りゅうぜん)が即位した後で「鎮東将軍(ちんとうしょうぐん)」に任命されています。

 

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五虎大将軍そろい踏み?

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小説や漫画などのイメージですと、五虎大将軍が勢ぞろいし、軍議などで語り合っているイメージですが、実際はどうだったのでしょうか。調べてみると実は「五虎大将軍」のメンバーが一堂に会したことはないようなのです。

 

五関六将破りを行う関羽

 

それは五虎大将軍任命の際、関羽以外のメンバーは劉備の元にいましたが、関羽は荊州(けいしゅう)にいました。しかもそのあとすぐに成都(せいと)(蜀の首都)に帰ることなく亡くなってしまいます。そのことから五虎大将軍が勢ぞろいしたことはなかった、と考えられます。

 

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関羽

 

 

五虎大将軍メンバー紹介1:関羽

五虎大将軍の関羽

 

ここからは簡単に五虎大将軍のメンバーを紹介していきましょう。

 

ヒゲ袋にヒゲを大切に保管する関羽

 

まずは筆頭の関羽。彼は劉備の旗揚げから付き従い、美しい髭を持っていたことから「美髭公(びぜんこう)」という名でも知られていました。忠義に厚く、武勇に優れ、多くの人の尊敬を集めていました。しかし、人を見下す癖があり、それが彼の命を縮めました。

 

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みうらひろし

歴史が好きになったきっかけはテレビの再放送で観た人形劇の三国志でした。そこから歴史、時代小説にはまり現在に至ります。日本史ももちろん好きですよ。推しの小説家は伊東潤さんと北方謙三さん。 好きな歴史人物: 呂蒙、鄧艾、長宗我部盛親 何か一言: 中国で三国志グッツを買おうとしたら「これは日本人しか買わないよ!」と(日本語で)言われたのが思い出です。

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