

ここから考察に入ります。まずは、890話の予想の答え合わせから。
予想記事の第1弾では、本命を「雁門の回想が続き、匈奴が攻めてきて不戦逃避が初めて試される」としていました。ここは当たりです。住民が羊を連れて砦へ逃げ込む場面まで、ほぼ読みどおりでした。ドンピシャ!(ドヤ顔)
カイネについても、一度は命令を破りかけ、それを止めるのは李牧なのか仲間なのか、と書いていました。止めたのは李牧。それも、拳で。外れたのは、匈奴は何も得られずに引き上げる、と書いたところです。奪うものがないと分かった匈奴は、集落に火を放ちました。手ぶらで帰る代わりに、家を焼いていく。そこまでは読めていませんでした。第2弾で書いた河了貂の救出ルートは、牢に戻らなかったので答えは持ち越しです。
今回は、久しぶりにkawauso編集長も予想記事で戻ってきてくれました。趙に落ちた雷を大地震の前ぶれと読み、地震で牢が崩れて河了貂が助かる、という大胆な予想!こちらも来週以降に持ち越しです。ただ、雁門編は李牧の「戦わずに逃げる」考え方を見せる話で、匈奴が来たら家財ごと砦に退かせるのが李牧のやり方だ、という読みは、財物まで消えたタタシュの集落そのものでした。
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この記事の目次
キングダム890話考察|不戦逃避の代償。李牧はなぜ兵ではなく木材を出したのか
焼け跡に木材を担いで現れた李牧には、ちょっと驚きました。不戦逃避の結果だけを見れば、完勝です。タタシュの死傷者はゼロ。訓練を重ねたから間に合う、という李牧の読みどおりでした。ただ、890話は、その代わりに失ったものも描いています。家です。人も羊も財物も逃がしたあとの集落は、匈奴の腹いせの的になりました。逃げれば命は助かる。でも、帰る場所が焼ける。不戦逃避の代償が、初めて形になった回だったと思います。
『史記』の李牧伝は、匈奴が来ても砦に入って戦わず、数年のあいだ損失を出さなかったと書くだけで、集落が焼かれた話は出てきません。ここは原先生が足した場面です。史実の守り方そのものは、889話と890話予想の記事で書いたので、そちらに譲ります。
そこで李牧が出したのは、木材でした。救援に兵を出していれば、何軒かは焼けずに済んだかもしれません。そのかわり、兵の命が匈奴の矢にさらされます。家は建て直せるが、命は戻らない。李牧は家をあとから建て直すほうを選び、その穴を自分の肩で埋めにいった。おとぼけは、そう読んでいます。
木材を担ぐ李牧、みなさんには人気取りに見えましたか。
出典:司馬遷『史記』巻81「廉頗藺相如列伝」李牧伝(原文:Wikisource)
キングダム890話考察|李牧はなぜカイネを斬らず、牢に入れたのか
李牧パイセンのあの一撃は、容赦がありませんでした。カイネの怒りは、よく分かります。目の前で殺された家族を、敵に笑われたのです。黙っていろと言われても無理な話でしょう。李牧の側も分かります。門の内側には、逃げてきた女性や子どもがいました。戦えば斬ると決めた本人が、泣いている部下だけを見逃せば、その約束は翌日から誰も守らなくなります。どちらの気持ちも分かるから、読んでいてしんどい。そんな場面でした。
おとぼけは、斬らずに牢へ、という処分は、李牧が最初から用意していた答えだと思っています。根拠は、初めて目を見たときから察していた、という一言です。カイネがいつか怒りで暴れることまで、李牧は見越していたのではないでしょうか。処分に「頭が冷めるまで」という期限がついているのも、そう考えると腑に落ちます。
もう一つ、つながって見えたことがあります。カイネは、焼け跡で木材を担ぐ李牧を、人の心を取り込むためのやり方だと疑いました。ところが888話の現在では、趙備明が引き下がった理由として、民衆の李牧への支持の高さが語られています。カイネが疑った李牧の人気が、何年もたってカイネ自身を守っていたわけです。
李牧派とカイネ派で、意見が分かれるところだと思います。
キングダム890話考察|サブタイトル「辱め」を受けたのはカイネだけなのか
タイトルを確かめてから読み返すと、つらくなりました。
直接の「辱め」は、匈奴がカイネたちの死んだ家族を笑ったことです。カイネが我慢の限界を越えたのは、臆病者と呼ばれたときではありません。家族のことを言われたとき。自分が笑われるのには耐えられても、死んだ家族を笑われるのには耐えられなかったのです。
ただ、黙って笑われていた人は、ほかにもいます。臆病者と呼ばれても門を閉じ続けた李牧も、「雁門の鬼」だった過去を持ち出された馬南慈も、黙って辱めを受ける側に立っていました。辱めを受けても動かない人たちの中で、一人だけ動いてしまったのがカイネだった。そう読むと、タイトルの重さが変わってきます。
思い出すのは888話の牢です。趙兵が河了貂とカイネを辱めると言って襲いかかったとき、現在のカイネは、相手が剣を抜くのを確かめてから自分も抜きました。辱めを前に門へ駆け出した昔のカイネと、牢の中で踏みとどまった今のカイネ。しかも890話の最後でカイネが入れられるのも、牢です。原先生は、同じ言葉と同じ場所を、わざと重ねてきたのかもしれません。
みなさんは、このタイトルをどう受け取りましたか。
キングダム891話予想|雁門の回想はまだ続くのか。牢のカイネに李牧は何を語るのか
来週こそ河了貂の牢に戻ってほしい気持ちもありますが....恐ろしいことに891話も、雁門の回想が続くと読んでいます。
理由は、カイネが李牧の方針を受け入れる場面が、まだ一コマもないからです。890話のカイネは、李牧に刃を向けて倒れたまま。それが888話の現在では李牧の側近になり、河了貂のために自分から牢に残っています。この間を埋めないまま現在に戻ると、888話のカイネに橋がかかりません。
891話で描かれそうなのは、牢のカイネと李牧の対話です。李牧は事情を察しているとは言いましたが、なぜそれでも戦わないのかは、まだカイネに説明していません。馬南慈が口にした、目の前の匈奴を倒しても襲ってくる者はいなくならない、という言葉の続きを、李牧が自分の口で話すのではないか。カイネが李牧を見直すきっかけは、そこにある気がします。
李牧は牢のカイネに、何を話すと思いますか。
キングダム891話はどうなる|河了貂の牢に戻るのはいつ?今のカイネは李牧に叱られるのか
888話の最後から数えて、雁門の回想は3話目に入りました。牢の河了貂は、趙忽が戻るという朝を迎えないまま止まっています。
戻るのは、早くても892話以降と読んでいます。891話で牢のカイネと李牧が向き合い、そのあと、けんかばかりだった二人が主従に変わるまでの区切りが要るからです。対抗は、891話で一度牢に戻る展開。kawauso編集長の地震説が効いてくるのも、そのときかもしれません。
kawauso編集長の予想記事:キングダム890話大予想「落雷と李牧の不戦逃避」に全てのヒントが!
戻ったときに気になるのが、今のカイネの立場です。888話で趙備明は、他軍の牢に乗り込んで暴れたカイネこそ軍律違反だと責めていました。890話の李牧は、事情を分かったうえで、命令に背いたカイネを容赦なく止めています。同じ李牧が、今のカイネをどう扱うのか。かばうのか、もう一度「頭を冷やせ」と言うのか。
第2弾の予想記事では、河了貂の救出の本命を李牧の采配にしました。その読みは今も変えていません。ただ、今週の李牧を見ると、助けるとしても、カイネに甘い顔はしない気がしています。河了貂の牢、何話で戻ると思いますか。
関連記事:キングダム890話ネタバレ予想|河了貂はどうやって牢を出る?救出の4つのルート考察
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みなさんはキングダム890話どう読みましたか?
今週、意見が割れそうなところが二つあります。
一つは、李牧の一撃をやりすぎと見るか、当然と見るか。カイネの怒りにも、李牧の軍律にも、どちらにも筋が通っているだけに、読む人によって答えが変わりそうです。
もう一つは、この回が本当に必要だったのか。河了貂の牢に戻らないまま一話が終わって、もやもやした人もいるはずです。カイネの描かれ方には羌瘣を思わせるかわいらしさがあって、匈奴に備える避難訓練の場面も含め、少しアニメっぽく感じたところもありました。それでも、李牧とカイネの関係を分かってもらうための回だったのだと、おとぼけは受け取っています。ここは原先生を信じて、温かく見守りたいところ。最後に一つ。頭が冷めるまで、という李牧の言葉が、まだ残っています。斬るでもなく、許すでもなく、時間を置く。あの牢で、カイネはどれくらいの時間を過ごしたのでしょう。何年もたって、今度は自分から牢に座り込むことになるのですから、不思議なものです。
コメントで教えてください。次回の記事で紹介させていただきます。
キングダムライターおとぼけの独り言
今日、外食の途中で、妻があるゲームを始めました。最近Xで話題になっている、『80億分の1』という人生シミュレーションゲームです。生まれる国や家庭はランダムで決まり、自分では選べません。病気や紛争で、突然人生が終わることもあります。
▶ 参考:生まれる場所を“選べない”人生シミュレーションゲーム『80億分の1』が話題(電ファミニコゲーマー)
ちなみにおとぼけも遊んでみましたが、倍速で進めて、50歳まで生きたところで飽きてやめています。
ところが妻は、予想以上にのめり込みました。隣で眺めているうちに、画面の中の「誰か」は94歳まで生きて、亡くなりました。その瞬間、泣いていたのは、隣で見ていただけのおとぼけでした(汗)普段はまったく泣かない人間なので、妻のほうが驚いており、店員や他の顧客も少し引き気味。自分の50年は倍速で飛ばしたくせに、人の94年には泣く。我ながら、よく分かりません。
ただ、今週のカイネを読んで、少しだけ分かった気もしています。匈奴に家族を奪われる北の地に生まれたのも、カイネが選んだことではありません。選べないところから始まった人生を、最後まで見届けると、人は泣いてしまうのかもしれません。それでは兄弟たちよ、また木曜にお会いしまっせ!
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