中原の大半を勢力下におさめた曹操(そうそう)は、
晩年になり、権力に執着を見せるようになりました。
自らの丞相(じょうしょう)という地位が、
権力に見合っていないと考え、さらなる上の位につくことを
求めたのです。
まずは魏公になる
「公(こう)」という位は、「公・侯・伯・子・男」という
五つの位の一番上で、
臣下としては最上位ということになります。
212年、曹操は「公」に封じられ、
同時に「九鍚(きゅうしゃく)」を授けられます。
九鍚というのは、皇帝から忠臣に贈られる特権で、
具体的には
車馬、衣服、楽即(楽器)、朱戸(朱塗り)、納陛(階段)、
虎賁(従者)、弓矢、鈇鉞(おのとまさかり)、秬鬯(酒)
を指します。
このとき、魏公即位に反対した荀彧(じゅんいく)は、
曹操より、からの文箱を贈られ、
「もう、わたしは無用ということか……」
と悟り、自殺をしてしまいます。
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ついでに魏王になろうとするけれど……
「王」というのは、「公」よりもさらに上の位で、
皇族が封じられるものでした。
曹操は、ついに臣下の枠を超えて、王になることを望みます。
214年、曹操は魏王に即位しようとします。
そこへ、荀攸(じゅんゆう)が待ったをかけます。
曹操は怒り、
「荀彧と同じ目に遭いたいのか!?」
と怒鳴ります。
すると荀攸もぷんぷん怒ってそのまま憤死。
(『三国志演義』での演出であり、正史では死にません)
さすがの曹操も、寝覚めが悪いと思ったのか、
このときは魏王即位を思いとどまりました。
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怯えた献帝が取った行動は……
これを見ていた献帝(けんてい)は、
「次は僕の番だ……、殺されちゃうよ、ガクブル」
と思います。
そんなとき、献帝の妃である伏皇后(ふくこうごう)が立ち上がります。
「陛下、先手を打ちましょう!
劉備と孫権に密詔を出すのです」
以前にも、「曹操を殺せ」と劉備に命じたことがばれて大変なことになったのに
献帝の行動は、またしても曹操に見つかってしまうのです。
怒りくるった曹操は、伏皇后とその一族を殺害し、
献帝には、代わりに自分の娘を妃としてあてがいました。
曹憲(そうけん)、曹節(そうせつ)、曹華(そうか)、
三人も、じゃんじゃんと後宮に送りつけられた献帝は、
「もう無理っす! 勘弁してください、曹操さんっ!!」
と、さぞかし怯えたことでしょう!
曹操の三人娘の中でも、一番性格がよかったのか、
献帝は二番目の曹節を皇后に選びました。
とうとう魏王になっちゃいます
216年、曹操の娘、曹節が献帝の皇后に冊立されました。
これを機に、曹操は「魏王」に封じられます。
鄴(ぎょう)に魏王宮を造り、
とうとう臣下から、王になったのでした。
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この記事を書いた人:東方明珠
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通称「はじさん」のはじっこライター東方明珠です。
普段は恋愛系のノベルやシナリオを書いています。