曹丕の残忍さがよく分かる曹丕の妻、甄氏の悲劇




鄒氏

 

冀州中山郡の甄逸(しんいつ)の末娘は、

絶世の美女として知られていました。

 

名前は後世に残っていませんので、甄(しん)氏とここでは記します。

 

甄氏は、三国志に名を残す4人の男性から想いを寄せられました。

その4人というのは、

袁熙(えんき:袁紹の息子)、曹操(そうそう)

曹丕(そうひ:曹操の息子)、曹植(そうしょく:曹操の息子)という

豪華なメンバーです。

 

しかしながら、彼女の送った人生は、

豪傑に愛された華々しいものとは言えませんでした。

 

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名家、袁家に嫁ぐ

曹操&袁紹花嫁泥棒

甄氏はまずはじめ、

三公を輩出した名家であり、今をときめく袁紹の次男、

袁熙に嫁ぎます。

袁家に嫁ぐのですからもちろんのこと、

甄氏も高名な名家出身の令嬢でした。

美しいだけではなく、聡明で慎ましやかな女性だったといいます。

 

袁熙は甄氏をたいへん寵愛しましたが、

まもなく幽州に赴任することになります。

甄氏は姑の劉氏の世話をするために、鄴(ぎょう)に残りました。

 

時代が時代であれば、優雅な暮らしができたのでしょうが、

義父の袁紹(えんしょう)が、天下取りの戦で曹操に敗北してしまいます。

そこからの袁家は落ちぶれていくばかりで、

城内からは曹操に寝返るものが続出。

 

そのため、鄴の城は、攻め込んできた曹操軍の手に落ちてしまいます。

甄氏の運命は、曹操軍の手に握られることになりました。

 

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曹操は甄氏を自分の妾にしようと企む

抜き出た曹操

 

曹操は城に攻め込むにあたり、袁家の妻子に危害を加えないようにと

厳命しておきました。

 

というのは、甄氏がたいへんな美女であるという噂を聞いていて、

「絶対に俺のものにしちゃうもんね、ハハッ」

と計画していたのです。

 

しかし、この戦に、曹操は息子の曹丕と曹植を伴っていました。

ここで、曹操の思いもよらないことが起こるのです。

 

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曹丕が甄氏にひとめぼれ

曹丕

 

我先にと城に踏み込んだ曹丕は、

奥の部屋で怯えている女たちを見つけます。

甄氏と姑の劉氏でした。

 

曹丕はこのとき、甄氏の美貌にひとめぼれしてしまいます。

震えて命乞いをする劉氏を引きはがし、

曹丕は甄氏を連れて陣へ戻りました。

武将たちは

「どうする、どうする!?」

と慌てましたが、曹操の嫡男である曹丕のしたことには逆らえません。

 

曹操はあとからこの話を聞き、内心悔しがりましたが、

息子と女性を取り合うわけにはいきません。

甄氏を諦め、曹丕の嫁にすることを承諾しました。

 

最初の夫袁熙がまだ存命だというのに、

曹丕の嫁にされた甄氏の胸中は計り知れませんが、

曹丕は強引に手に入れた甄氏を熱愛しました。

 

翌年には二人の間に男児が誕生し、

のちにこの子供が曹丕のあとをついで魏の皇帝となります。

 

まだ漢王朝で消耗してるの?

まだ漢王朝で消耗しているの  

 

少年曹植、兄嫁に初恋を抱く

曹植

 

しかし、そんな甄氏を熱い眼差しで見つめる人物がもう一人いました。

曹丕の弟、曹植です。

 

このとき曹植12歳。

10ばかりも年上の美しい甄氏に、強いあこがれの気持ちを抱きますが、

父曹操でさえ、どうすることもできなかったのですから、

曹植には何もできることはありません。

 

曹植は陰ながら兄嫁を慕い、彼女の幸せを祈りました。

 

甄(しん)氏は、袁熙(えんき)、曹操(そうそう)、曹丕(そうひ)、

曹植(そうしょく)という時代を代表する男性たちから想いを寄せられた

絶世の美女でしたが、

彼女の人生は、決して幸せといえるものではありませんでした。

 

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長男誕生のときに、もと夫が殺される

 

奪われるようにして曹丕の妻となった甄氏は、

その1年後に男児を産み落とします。

このちょうど同時期に、もとの夫であった袁熙が

遠い遼西の地で殺されたという知らせが入ります。

 

喜びと悲しみが同時にやってきた甄氏は、

自らの数奇な運命を嘆いたのかもしれません。

 

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曹丕の寵愛は一時的なものだった

曹丕皇帝

 

13人の妻を愛し、大切にした曹操と違って、

息子の曹丕はたくさんの女性を愛しましたが、寵愛が薄れたあとは

その女性に対して非情なところがありました。

 

曹丕は、美しい甄氏に一時的には熱中しましたが、

美人は三日見れば飽きる! とばかりに、

すぐに甄氏のことは見向きもしなくなります。

 

曹丕は洛陽に遷都を決めますが、

このとき、他の妃たちには同行を許しておきながら、

甄氏のことは、鄴に取り残して行ってしまいます。

 

さらに、曹丕から死をたまわる

曹丕

 

このとき、曹丕が寵愛していた女性は、郭(かく)氏といいましたが、

彼女は召使いという低い身分から曹丕の妻となった身の上だったせいか、

名家出身の令嬢だった甄氏を目の敵にしていました。

 

曹丕の耳に、あることないことを吹き込み、甄氏を誹謗中傷し、

さらには彼女を殺すようにもちかけます。

 

曹丕は郭氏にめろめろでしたので、すっかり信じ込み、

甄氏に使者をおくり、自殺するようにと命じます。

 

すでに離れて暮らしているのですから、

放っておいてあげればいいのに。

このあたりに、曹丕の残虐さが垣間見えます。

 

甄氏は突然のことに驚き、激しく抵抗しました。

暴れて使者をののしり、

あまりに手が付けられない様子だったので、

使者は甄氏の口の中にぬかをつめこんで殺したそうです。

 

こうして、数々の男性をとりこにした絶世の美女、甄氏は、

あまりにも残酷な最期を迎えることになったのです。

 

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