関羽は生前の功績によって儒教、仏教、道教それぞれの宗教で神様としての地位を獲得しました。特に道教の神様として祀られることが多い関羽ですが、台湾では道教信仰が盛んであるため様々な関羽像が存在します。
しかし、関羽像の姿勢や手にしているものによってご利益が変わることはご存知でしょうか。かつての筆者がそうであったように、そのあたりを理解しないまま参拝をしている人もいるかもしれません。
そこで今回は関羽像に込められたご利益や面白い関羽像を祀っている場所を紹介していきたいと思います。
台湾にある関羽像の特徴
関羽像は種類が豊富で、座っているものや立っているもの、さらに手にしているものによってご利益に違いがあります。例えば関羽が立った状態で青龍偃月刀を携えているものは武神なので主に守護神的なご利益となり、座った状態で巻物(春秋左氏伝と言われている)を手にしているのは文神なので、学業成就や出世に関係します。
中には片手に青龍偃月刀、もう片方に巻物や印綬を持っている関羽像もありますが、これは文武どちらのご利益もあるということです。また、青龍偃月刀の向きによっても意味は異なります。
刀身が真上に向いているものは厄除けや土地を守る、刀が横薙ぎ(刀身が外側に向く)に構えられると商売繁盛や金運上昇という意味です。刀を上にして立つのは相手を威圧しているので、邪なものを家に入れないという考え方。
横にするのは人を斬る体勢ですが、これは「切貨(商品を安く購入するという意味)」や市場を切り開く(開拓)という考え方からこのようなご利益となっています。
また、屋外に立てられる関羽像は赤兎馬に騎乗しているものもありますが、この場合は五関六将破りの故事から物事が上手く運ぶ、成功するという意味合いになります。
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道教関連の関羽像
台湾では道教の神様として関羽を祀るケースが大半ですが、道教の神様にはランクがあり、格付けによって神像の造形や信仰内容が変わります。関羽は格付けが曖昧で、玉皇大帝という非常に高位の神様になったという説もあれば、比較的低位の神様であるという説もあり、廟ごとに扱いが違うこともしばしば。
高位の神様になると主に万能の神として祀られ、低位の神様の場合は商売繁盛や土地の守護神という祀られ方になることが多いです。中には天子の「冕冠」を戴いているものや「玉旨」という札のようなものを持っている関羽像もありますが、この場合は高位の玉皇大帝として祀られています。
家庭用の関羽像
台湾では置物サイズの関羽像が多く売られていて、特定のタイミングで人に贈ったりするのですが、昇進祈願やお子さんの学業成就を祈願する場合は巻物を持った関羽像を贈ります。
その際に巻物が開かれた状態のものは不吉とされていて、完全に巻かれた状態のものを送るのがマナーです。台湾語では「開かれた巻物」と「元手を失う」という単語の発音が似ているので、巻物が開いていると悪いことを招く考えられています。
また、赤兎馬に乗り青龍偃月刀を横薙ぎに構えた関羽像は「成功する」と「商売繁盛」が一緒になっているので、新規事業を始めた人に送ると縁起が良いです。ただ、刀を家庭に持ち込むとケンカの元になるとも考えられるので、家に置く関羽像は刀ではなく巻物を持っているものにするのが良いでしょう。
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規格外の大きさを持つ関羽像
関羽像はご本尊として廟の中に安置されるものが大半ですが、それとは別に屋外に巨大な関羽像を立てている廟も少なくありません。
金瓜石という山間部にある勧済堂の銅像もその一つ。高さは10.5mの巨大な関羽像が鎮座していて、現地の守護神として祀られています。巨大な関羽像はこれだけではありません。
新竹の古奇峰普天宮、台中の南天宮にはもっと大きなものがあり、前者は高さ36m、後者は44mにも達します。こちらは粘土などで作られた塑像呼ばれるもので、銅像とは違って鮮やかな色が着けられているのでひと目で関羽と認識できるでしょう。
他にも新竹にある代勧堂では2017年から関羽像の建設計画が進められていて、2022年始めに高さ24mの青銅製の像が完成予定です。お披露目が楽しみですね。
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