三国志の時代は、賄賂が横行していました。賄賂と言うとイメージとして、どうしても「この政治は腐っている!」みたいなイメージを抱かせますね。
とは言っても、三国志の時代、後漢末期の時代が特に政治腐敗していた、という訳ではありません。常々、どんな時代のどんな国でも、賄賂と言うのは暗部として存在していたと思われます。
そして今回はそんな賄賂と言えば、なお方、楊松についてちょっとお話しましょう。
この記事の目次
賄賂を受け取るのが生き甲斐の楊松
さて楊松は三国志演義を読んだ方ならば知らない人は殆どいないと思われます。余り出番がある訳でもないけれど、覚えている、という感じではないでしょうか。
と言うのもこの楊松、賄賂が大好きで主君も祖国もたぶん自らの魂もを賄賂で譲り渡した挙句、最期はその首を奪われて終幕、という爽快なエンディングを見せてくれるキャラクターなのです。はじ三アンケートでは「賄賂の擬人化」とまで言われた人、楊松。
ではこの楊松が三国志演義でどんな役回りをしているのか、見ていきましょうか。
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架空の人物だが演義では張魯の配下です
楊松は三国志演義では、張魯の配下として出てきます。重要なことなので繰り返しますが、三国志演義の、張魯の配下です。
さてそもそも張魯は蜀の劉璋とは敵対関係にありましたが、劉璋は劉備に蜀を取られそうになり、張魯に援軍を要請するという驚きの作戦を見せます。
という訳で張魯の元から派遣されてきたのが馬超、ここで馬超と張飛の対決が始まります。
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劉備から賄賂をもらい馬超を張魯の下から追い出す
馬超も、そして張飛も万夫不当の豪傑です。早々に決着など着くはずもなく、、かと言って、決着がついた時にはどちらかの英傑がこの乱世から姿を消すことになるでしょう。もちろん劉備軍としては張飛が失われるなどあってはならないことですが、しかしこのまま馬超を失うのは惜しい。
そこで出てくるのが「張魯に信頼されている楊松に賄賂を渡して馬超を離反させよう」作戦です。
賄賂が大好きなことを敵である劉備軍にすら知られていた楊松は嬉々として「このままだと馬超が蜀の地を奪っちゃいますよ!(意訳)」と言いだしたので、楊松を信じた張魯は馬超を疑うようになります。
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楊松に追い出された馬超が劉備軍に入る
そこに一説では関羽のとこと子供同士で縁談があったと言われる李恢が馬超の元にやってきて、立場を失っていた馬超を説得、馬超は従弟の馬岱を連れて劉備の元に身を寄せることになりました。この後に判明することですが、この時に病気だったホウ徳は置いていかれたそうです。
ともあれ張飛も馬超も失わず、馬超も馬岱も手に入れて、後々にどうせ敵対するであろう張魯の戦力も削いだ、正に見事なサポートをしたのが楊松ということです!
まあ欠点として楊松は張魯サイドなんですけども。
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曹操からの賄賂でホウ徳を降伏させる
そして楊松渾身の活躍の場は、すぐに次がやってきます。曹操が漢中へとやってきたのです。ここで色々あってホウ徳が夏侯淵、許チョと見事な戦いを繰り広げるのを目の辺りにした曹操は
「何という名将だ、ぜひ我が軍に欲しい!きっと後々樊城とかその辺で奮戦してくれる!!」
ということで名前が挙がったのがやはり張魯に信頼されているけど賄賂が大好きという楊松。ここで楊松はホウ徳のないことやないことを張魯に吹き込んだのでホウ徳は止む無く曹操に下り、更には内応して曹操軍を引き込むという売国奴になり下がります。
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パーフェクトだよ楊松さん
流石に最早これまでと思った張魯は曹操に降伏。この際に張魯は正史と同じく「これは国のものである」と宝物庫を焼かずに封印するに止めました。
この振る舞いを曹操は大変評価し、張魯たちは取り立てられることになります。そしてそこに国も主も味方も売った楊松がのこのこと報奨を求めてやってきました。
それを見た曹操は「おお楊松がおったぞ」と笑い顔を浮かべ「斬れ!」と主君を裏切った罪で処刑しました。全てを賄賂で売り渡した人物に相応しい、完璧な幕切れとなったのです。
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