70万の袁紹(えんしょう)軍は、隊列を整え悠然と官渡城に前身してきます。一方の曹操(そうそう)も、兵糧に不安がある以上は、短期決戦を行わざるを得ず、兵力を前面に並べて対峙します。
曹操は、張遼(ちょうりょう)、徐晃(じょこう)、許褚(きょちょ)、李典(りてん)というような名だたる武将を押し立てて、進撃していきます。
しかし、7万対70万、海に呑みこまれる、小川の流れのような、曹操(そうそう)軍の数の少なさが目立ちます。同じく、正攻法で曹操を踏み砕く事に執着している袁紹も、猛将、張郃(ちょうこう)を出して来ます。
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張遼(ちょうりょう)対 張郃(ちょうこう)
最初は、張遼(ちょうりょう)と張郃(ちょうこう)の一騎打ちになりますが、張郃は強く、張遼が負けそうになったので、曹操は慌てて、許褚(きょちょ)を援軍に出します。これを見た袁紹(えんしょう)は、高覧(こうらん)を援軍に出してきました。
この間隙を突いて、曹操は、夏候惇(かこう・とん)そして、曹洪(そうこう)に兵3千名を与えて袁紹軍の本陣に斬りこませました。しかし、袁紹は、後方に巨大な櫓(やぐら)を組んで、上部に石弓(いしゆみ」部隊を配置して備えていたのです。
石弓(いしゆみ)って何?
石弓とは、機械仕掛けのウインチ式の弓矢で、トリガーを引いて、矢が飛び出すので、ブレず、素人の兵士でも命中率が高くなる、当時の中国のハイテク兵器でした。
袁紹軍の武将、審配(しんぱい)は、石弓に火を付けて飛ばしたので、曹操軍の真上からは、火の雨が降り注ぎ夏候惇(かこう・とん)と曹洪(そうこう)の兵力は大混乱に陥って撤退します。
勢いづいた袁紹は、曹操軍に突撃を開始したので、壊滅を恐れた曹操は、退却を指示し、曹操軍は命からがら、官渡城に逃げ込んで、城門を閉じてしまいました。こうして、曹操(そうそう)軍は、袁紹(えんしょう)軍の櫓(やぐら)と石弓(いしゆみ)の前に大惨敗を喫します
三国志の戦いのハイライト、官渡決戦の第一ラウンドは、袁紹軍の勝利でした。