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73話:孔明、大論陣を張り呉の降伏派を叩き潰す

2015年4月25日


孔明と魯粛

 

魯粛(ろしゅく)に付き添い、船で長江を下る間、

孔明(こうめい)は呉の家臣達の殆どが、曹操(そうそう)に降伏して、

呉の民を無益な戦火から守るべしという降伏論である事を魯粛から聞かされます。

 

現時点で、曹操と戦うべしと言っているのは、魯粛位のもので、

重臣達は、皆、降伏論を日夜説いて孫権を説得していました。

 

もちろん、孔明としては、その大多数の降伏論を退けないといけません。

 

前回記事:72話:劉琦の恩返し、劉備江夏城へ入る

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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呉に行った孔明はやる気満々、その理由は?

諸葛孔明

 

もし、孫権(そんけん)が曹操に降伏すれば、もはや劉備(りゅうび)が

頼る勢力はどこにもなく曹操に首を打たれるしか道は無くなるでしょう。

 

 

「この一戦は、武器を使わずに行う戦争だ、、主君の為に何としても

孫権を曹操と戦わせなければならぬ、、」

 

孔明はクールな表情に強い決意を滲ませていました。

 

呉でも蜀の天才軍師が訪れる事に警戒していた

孫呉(孫権黄蓋陸孫周瑜周泰) 

 

一方の呉でも、降伏派の重臣達は、孔明を待っていました。

 

 

諸葛瑾(しょかつ・きん)の弟らしいが、何ほどのものか、、

瀕死の劉備を助ける為に呉が曹操と戦うなど馬鹿馬鹿しい」

 

 

彼等は、彼等でやってくる孔明を論破して、魯粛を孤立させ、

孫権に曹操に降伏する事を決意させようとしていたのです。

 

孫権を前にした孔明はどのような印象を受けたのか?

遅れて来た孫権 英雄

 

さて、孫権を前にした孔明は、孫権が100年に1人の英雄であると

見抜きますが、27歳の若さゆえに誇り高さと自信の無さが

半分、半分で揺らいでいると見て取ります。

 

 

孫権は、孔明に尋ねました。

 

孫権:「曹操が我が呉国に対して降伏せよ、さもなくば戦場でまみえようと

申してきている、その方の意見を聞きたい」

 

 

すると、孔明は、このように答えました。

 

 

孔明:「そうですな、、曹操は強大であり、戦上手です。

戦うなら早く行動を起こすべきですし、降伏するのなら、

それも一刻も早い方がいいでしょうな、、」

 

 

てっきり、徹底抗戦を唱えると思っていた孔明が、

降伏するなら早い方がいいと言ったので孫権も呉の家臣達もビックリします。

 

 

孫権:「それは異な事を言う、劉備殿は、曹操とは徹底抗戦の構えだと言う

どうして、そちは、自分の主君には降伏を勧めぬ?」

 

 

孫権が不満顔で質問すると孔明は笑いました。

 

 

孔明:「はっはっは、、我が主君劉備は、

卑しくも前漢景帝(けい・てい)の血筋を引く漢室の末裔で御座います。

曹操の如き狗(いぬ)の子にどうして龍の子が降伏せねばならぬのでしょう」

 

 

 

孫権:「なんだと!!無礼な、では、余は狗の子であるから、

曹操に降伏を勧めたと言いたげではないか!」

 

 

 

孫権は、色をなして孔明に反論しました。

 

 

孔明:「とんでも御座いません、、これは、言葉のアヤとして申したまで、

決して、呉君を卑めたつもりは御座いません、、」

 

 

孔明は涼しい顔をして、澄ましています。

 

孔明は何でこんな挑発的な態度をとったの?

孔明バージョン 三国志 軍師

 

しかし、これは孔明の計算でした、、

プライドが高い孫権は、戦わずして降伏するのは狗の子と

暗に非難された事で発奮し、曹操への憎しみを増加させていました。

 

 

 

(まずい、、このままでは孔明の思う壺だ、、)

 

 

呉の降伏派の重臣達は、孫権が色をなして孔明のペースに、

飲みこまれたのを見て反撃に転じます。

 

 

呉の重臣:「諸葛殿、、一つお聞きするが、では、曹操について、あなたは、

どのように考えておるのでしょうや?」

 

 

 

孔明:「曹操は、漢を私物化して、主君の天下を乗っ取ろうとする奸賊です」

 

呉の重臣の質問に孔明は、即座に答えました。

 

 

すると、呉の重臣は首を横に振って言います。

 

 

呉の重臣:「諸葛殿、あなたも、天下は一人の天下ではない、万民の天下である

という言葉を聴いた事がおありでしょう、、

考えてもご覧なされ、上代の(いん)は、周(しゅう)に滅ぼされ、

周は秦(しん)によって滅ぼされ、漢(かん)は秦の天下を受け継いで、

現在に至っています。

 

 

どのような王朝であっても徳が衰えれば、別の英傑によって、

王朝が滅ぼされるのは天の摂理というものでしょう。

 

 

それがしの見る所、後漢の命運はすでに尽きています。

すでに万民は、曹操を次の天子と見定めておるのではないでしょうか?」

 

 

 

重臣達は、いかにも正論というように頷きます。

 

 

しかし、孔明は険しい顔をして、鋭い声を飛ばします。

 

 

 

孔明:「おだまりなさい!! あなたの意見は、人の子として生まれ、

少しでも恩や義理を知るものなら、決して吐いてはならぬ言葉ですぞ!」

 

 

呉の重臣:「なんと!そ、それがしをひとでなしと言われるか!!」

 

 

 

重臣は孔明の剣幕に色を失ってたじろきます。

 

 

孔明:「この乱世であっても、人の財物を盗めば、それは罪になる事は、

誰でも知っている道理で御座いましょう。

 

ましてや、人が人を殺せば、それが大罪である事は、どんな子供でも

親から教わるまでもなく知っている事です。

 

それが、あろうことか、家臣の身でありながら、主君の天下を奪う事を

徳が衰えたから仕方がないとは、一体、どの口が言われるのか?」

 

 

 

呉の重臣:「そ、、それは、う、、しかし、」

 

 

 

孔明:「では、あなたは、呉の国の徳が衰えたからと言って、呉君を

差し置いて、呉の天下を握ろうとする家臣が現れたら、

今、言ったように呉君を見捨て、その者に忠義を尽くすのですか?

さあ、どうです、返答を願いたい!!」

 

 

 

孔明の剣幕に、重臣は落ち着きを失い、滝のような汗をかいて

立っている事しか出来ませんでした。

 

 

 

他の重臣も、うかつに助け舟を出せば、同じ質問をされるので、

皆、水を打ったように静まり返ります。

 

 

 

呉の重臣:「諸葛、、では、仮に曹操と戦うとなったとして、

我が軍に勝機はありやなしや?」

 

 

 

しばらくの沈黙を破り、孫権が重い口を開きました。

 

 

 

孔明:「曹操は、自軍を100万だと号していますが、事実は80万がいい所です。

 

そして、その80万の内の70万人は北方の兵士で船に慣れていません、、

残りの10万人は、最近吸収した荊州兵で、確か水戦に熟達していますが、

曹操には不信感を持っており、また曹操も全面的には信用していません。

 

従って、曹操の実質の兵力は、せいぜい5万人と見ます。

 

それに比較して、呉国は、三代に渡って賢君に国が運営され、

士気が高く、熟練した水兵が7万人、いずれも呉君の為には、

命も惜しまぬ強者ばかりです。

 

 

それに加えて、我が主君劉備と江夏城の劉琦(りゅうき)の

水軍3万人を合わせれば連合軍の兵力は10万であり、曹操の倍になります。

 

呉君と我が軍が心を一つにして戦えば、曹操を撃ち破るのは不可能ではありません。」

 

 

 

孔明の戦況分析に、孫権は立ちあがり満足の意を見せます。

 

 

降伏派の重臣達は、それでも強行に降伏を主張しますが、

 

孫権は、呉の水軍提督であり、先代の孫策の義兄弟である周瑜を呼び出します。

 

周瑜も賛同し遂に孫・劉の同盟が成立

劉備 孫権 ゆるキャラ

 

周瑜(しゅうゆ)は、孔明や魯粛の主戦論に賛同、

ここに、さしもの降伏派の抵抗も終息して、孫権は、

劉備と同盟を結ぶ事を決意します。

 

 

ここに、三国志の立役者、劉備、孫権、曹操の名前が揃い、

赤壁の戦いの火ぶたが切られました。

 

耳で聞いて覚える三国志

 

次回記事:74話:孔明に嫉妬する周瑜

 

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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。

もちろん、食べるのはサーモンです。

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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