86話:張松という男が劉備の運命を左右する 

2015年6月27日


赤壁の戦い

 

曹操(そうそう)が赤壁の戦いに入る直前、

益州の劉璋(りゅうしょう)は、漢中との国境で起きた

張魯(ちょうろ)との争いに悩まされていました。

 

前回記事: 85話:曹操を油断させた潼関(どうかん)の大勝利

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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五斗米道の存在が邪魔な劉璋

五斗米道 はじめての三国志

 

五斗米道(ごとべいどう)という新興宗教の3代目の教祖である張魯は、

死をも恐れぬ強力な信徒を擁して、なかなか強力であり

実戦経験の少ない劉璋軍を脅かしていたのです。

 

このまま、軍事衝突を続けていても不利になると考えた劉璋は、

配下の張松(ちょうしょう)を曹操に派遣して救援を求めようと考えます。

 

しかし、この使者に立った張松は、とんでもない喰わせ者でした。

 



張松の思惑と誤算

張松

彼は、劉璋が自分を優遇しない事に失望し、曹操に益州を獲る事を勧め

水先案内人になって、曹操配下として出世しようと企んでいたのです。

 

ところが、タイミングの悪い事に、この頃の魏は天下統一間近という事で

多忙であり、同時に軍も慢心し切っていました。

 

遥々、益州から来た張松は、3日もの間、何の音沙汰もなく待たされます。

 

「無礼な、、これが一国の使者に対する扱いか」

張松は憤慨しますが、兎も角待つしかありません。

 

3日後に曹操と面談が出来た張松

現実主義曹操

 

ようやく、3日目に面会が叶った張松ですが、

曹操は張松の容貌が醜く、小男である事で人物を軽くみてしまいます。

 

カチンと来た張松は、曹操が注釈を付けた孟徳新書を揚脩(ようしゅう)

から借りてその場で丸暗記して見せ曹操を驚かせると同時に、

その内容を酷く批判してしまいます。

 

曹操を批判した張松

裏切りは許さぬ 曹操

 

怒った曹操は、張松を掴まえて、百叩きの計に処しました。

痣だらけの身体で魏から追い出された張松は、曹操に幻滅します。

 

張松:「曹操は、もう少し大人物かと思っていたが、これでは駄目だ、、

こんな狭量では、益州を獲らせてもワシが出世する目は無さそうだ、、」

 

 

劉備を頼る張松

劉備 人望

 

そこで、張松は江夏城に居た、劉備(りゅうび)を頼る事にするのです。

 

劉備に招かれた張松は、曹操の時とは打って替わり、大歓迎を受けます。

劉備は自ら、孔明(こうめい)、龐統(ほうとう)を引きつれて

張松に会い歓迎の意を示します。

 

以前、曹操に袖にされていただけあって、劉備の対応は、

張松の心を感動させるには充分でした。

 

劉備軍の対応に感動する張松

 

「流石に劉備は、大人物だ、これは益州を売るなら劉備かも知れぬ」

 

張松は、劉備の態度に満足して、曹操に渡すつもりだった、蜀の地図を

劉備に渡して、劉備に蜀を獲らせる為に尽力するようになります。

 

張松は、自分勝手で私心を優先する人でしたが、一方で

優れた智謀も持っていました。

 

劉備は、張松を厚遇する事で、益州攻略の第一歩を記す事になります。

 

次回記事:87話:劉備、蜀への侵攻を決意

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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