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三国志怪奇談「曹丕、受禅台の怪」

2015年7月18日


曹丕

 

220年、乱世の奸雄、曹操(そうそう)の死を受けて

息子の曹丕(そうひ)が跡を継ぎ、魏(ぎおう)に即位しました。

 

疑り深い曹丕は、同母弟の

曹彰(そうしょう)曹植(そうしょく)、曹熊(そうゆう)らの

動向が気になって仕方ありません。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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【レポート・論文で引用する場合の留意事項】 はじめての三国志レポート引用について



曹丕は弟達を誅殺する

曹丕 残忍

 

父曹操の葬儀に兵を連れて現れた曹彰と緊張状態に陥ったり、

葬儀を欠席した曹熊を咎めて、死に追いやったりします。

また、曹植をも殺そうとします。

 

このように、曹丕の即位には、最初から不穏な影がつきまとっていました。

 

架空の動物が現れたと報告

 

 

その年、

鳳凰(ほうおう)が現れた、との報告が上がりました。

すると、申し合せたように各地から、

「うちの村には麒麟(きりん)がやってきただ!」

「黄龍(こうりゅう)が空から降りてきただよ!」

との声が聞こえてきます。

 

鳳凰、麒麟、黄龍はどれも、想像上の動物です。

めでたいことがあると人々の前に現れる、という言い伝えがあるので

 

曹丕はこれをもって、

「俺が魏王についたからだネ。もしかして、皇帝になった方がいいのかも!」

と結論付けます。

 

……言ってしまえば、「やらせ」です。

自分の即位を正当化するために、うその報告をさせたわけです。

 

献帝は帝位を曹丕に譲る事を決意

 

 

曹丕に仕える40人の文官たちが、献帝(けんてい)に詰め寄ります。

「曹丕さまに皇帝位をお譲りなさい!」と。

献帝が抵抗すると、今度は兵士たちがものものしい装いで取り囲みます。

 

献帝はがっくりとうなだれ、

ついには曹丕に帝位を譲ることを承諾しました。

 

とはいえ、曹丕も、無理矢理帝位を簒奪したと思われたくないので、

体裁を整えようとします。

 

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遂に献帝から皇帝位を譲り受ける曹丕

 

 

受禅台(じゅぜんだい)という儀式の台をつくり、

そこで、人々が見守る中で、献帝から皇帝位を譲り受けるという形をとります。

 

受禅台の上で、

献帝は曹丕に玉璽(ぎょくじ)を渡しました。

玉璽は皇帝の証ですから、これによって、曹丕は皇帝となりました。

 

満面の笑みを浮かべた曹丕は、

天地の神々に拝礼をします。

 

そのときです。

 

一陣の風が台上を吹き抜けました。

台上に赤々と灯されていた火が、突然すべて消えてしまいます。

 

ざっと暗雲が立ち込め、辺りが真っ暗になりました。

真冬のような冷たい空気が曹丕を突き刺し、

全身が氷で覆われたように凍えて、がたがたと体が震えました。

 

受禅台の下で曹丕を見守っていたはずの人々の姿が忽然と消えてしまっています。

目の前にいたはずの、献帝の姿も見えません。

 

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曹丕の黒い影が近寄ってくる

曹丕

 

かわりに、ひたひたと黒い影が近寄ってきます。

 

影はひとつではありませんでした。

イモリのように地を這い、

おぞましい動きでじわりじわりと曹丕を包囲していきます。

 

凍えるほど寒いのに、

曹丕は体中の汗腺から汗が拭き出しました。

 

それは足元に池のようにたまり、

まるで赤黒い血の海でおぼれているような錯覚さえしました。

 

恐怖のあまり、

とうとう曹丕は失神してしまいます。

 

許都(きょと)の宮殿に寝かされた曹丕は、

目覚めても、自分の周りを妖怪たちがうごめいているのを見て、

何度も何度も気を失います。

 

曹丕が遷都した理由

曹丕

 

曹丕の帝位簒奪は、こうして天からの咎めを受けたのです。

 

「こんなところには住んでいられないよ~、ブルブル!」

というわけで、曹丕は遷都を決意します。

 

以降、許都は許昌(きょしょう)と改称されました。

曹丕は洛陽に宮殿を建て、移っていきました。

 

 

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東方明珠

東方明珠

中国は上海の雰囲気が好きなので、テレビ塔の「トンファンミンジュ」を名乗っています。もともと『水滸伝』の大ファンで、『三国志』に興味を持ったのは、アーケードゲーム「三国志大戦」がきっかけです。当時はゲームセンターに通いつめました!まだまだ中国史について勉強中ですが、精いっぱい面白いことを探してお伝えしたいと思っています。

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