はじめての三国志に住む歴史好きネコ・廉です。
前回献帝の青年期を紹介したにゃ。
今回は彼が成人になってどんな人生を歩んだか皆に教えてあげるにゃ。
前回記事:献帝(けんてい)とはどんな人?後漢のラストエンペラーの青年期
曹操に擁立される
献帝は曹操(そうそう)に保護され、許へ移動し、平穏な暮らしを送る日々を手に入れました。
表面は曹操が必死に後漢王朝を安定させるため、群雄を討伐していくと共に様々な政策を実施していきます。
曹操は王朝内を安定させるとともに献帝の臣下達を減らしていき、自らの臣下を献帝の近くに置くことで王朝内の実権を彼が掌握していきます。
献帝は自分の臣下達が減っていく状況に不安を感じ、
曹操が宮中にきた際に「朕(ちん=皇帝が自分を呼ぶときの呼称)を大切に思うのなら、しっかりと補佐してほしい。
しかし、そうでないなら朕を退位させるがよい」と曹操に自らの意思を伝えます。
しかし曹操は献帝の言葉を聞くほど忠実な臣下ではありませんでした。
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曹操暗殺計画は失敗
献帝は曹操に後漢王朝の実権を奪われていく状況を憂慮しておりました。
そこで彼は一大計画を企画します。
その計画とは、曹操暗殺計画です。
献帝は董承(とうしょう)に「曹操を殺害せよ」と密勅を与えます。
董承は献帝から密勅をもらうと、協力者を探していきます。
しかし曹操暗殺に加担してくれる人物は中々見つかりませんでした。
そんな中董承は曹操の元に逃れてきた劉備(りゅうび)に目をつけます。
董承は劉備に接触し、曹操暗殺計画に協力してくれるよう説得します。
劉備は最初あまり協力的でありませんでした。
董承は劉備に協力してもらうため、献帝の密勅を見せて、必死に説得します。
劉備は董承の説得を受けて、曹操暗殺計画に加担する事を決意します。
ですが劉備は曹操暗殺計画を実行する数日前に、曹操から袁術討伐を命じられ、許から離れてしまいます。
実行犯だけではなく献帝の奥さん達も処刑
董承は、軍事力を持つ劉備が暗殺計画に加担できなくなったが、朝廷の臣である王子服や呉碩(ごせき)ら朝廷の臣下を集め、曹操暗殺計画を決行。しかし彼らの計画は失敗に終わります。事前に計画の内容を知っていた曹操は彼ら計画を事前に知ることができたため、董承をはじめとする暗殺計画の実行者を捕え、処刑します。
曹操は実行犯を処刑するだけではなく、献帝の奥さんである董貴人や伏皇后も殺されてしまいます。
献帝は後漢王朝の権力を手に入れるために計画した曹操暗殺計画は大失敗に終わります。
今回の事件以降、後漢王朝は形骸化(けいがいか)し、曹操が後漢王朝を実質的に運営していくことになります。
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献帝は曹丕に皇帝の位を譲る
献帝は曹丕(そうひ)が曹操の跡を継ぐと、献帝に皇帝の位を譲るよう強要してきます。
献帝は皇帝の位を曹丕に譲ることを決意。
献帝は曹丕に皇帝の位を譲るため、曹丕に皇帝になるように使者を送りますが、献帝の申し出を拒否します。
しかし献帝は18回も曹丕に使者を送り、曹丕はようやく皇帝になる決意をするという壮大な茶番劇を行いました。
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激動の時代を生き抜いた劉協
献帝は皇帝の位を曹丕に譲ることで後漢王朝は滅び、彼は献帝から劉協へ戻ることができました。
余談としてこの時に皇帝の位を譲る形式は禅譲(ぜんじょう)と呼ばれ、後世の王朝交代の儀式として踏襲されて行く事になります。
激動の時代を生き抜いた劉協はこうして後漢王朝の幕を閉じる事になるのです。
曹丕は劉協を山陽公に任命。
また皇帝のみが使うことが許される「朕」の使用を認め、漢王朝の暦の使用も認められます。
劉協は山陽公に任命された後は、奥さんである曹節と共にのんびりと平穏な時間を過し、曹叡の時代に亡くなります。
三国志ライター黒田廉の独り言
後漢王朝のラストエンペラーである献帝をご紹介してきました。
彼は皇帝でありましたが自ら考えた政策は一切できず、董卓(とうたく)や曹操のお飾り皇帝として過ごす厳しい状況でした。
楽しい事は何もなく毎日権力者たちにおびえながら過ごす日々は精神的にかなりつらい状況であったと思います。
劉協の血筋は魏が滅んだ後も続き、なんと五胡十六国の乱まで続いていたそうです。
今回のお話はこれでおしまいにゃ。
次回もまたはじめての三国志でお会いしましょう。
それじゃまたにゃ~♪
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