漢寿亭侯とは?曹操が関羽に贈った称号「漢寿亭侯」その意味を探る!

2022年1月9日


 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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三国志小説での「漢寿亭侯」

三国志演義_書類

 

小説「三国志演義」や吉川英治(よしかわえいじ)三国志」ではこの「漢寿亭侯」を贈るエピソードにアレンジが加えられています。曹操はもともと関羽に「寿亭侯」を与えるはずでしたが、関羽はそれを拒否。関羽はいずれ劉備の下に帰るつもりであり、曹操から何かをもらう事は拒否していたのです。

 

ヒゲが美しい関羽

 

そこで曹操は知恵を働かせ、「寿亭」の上に「漢」の名前を付け「漢寿亭侯」を贈ることにしたのです。これは「漢の寿亭侯」という意味で、「漢王朝から与えられた侯ですよ」と示すことにより、漢王朝に忠誠を誓う関羽もこの位を拒否できないことになるのです。

 

顔が赤い関羽

 

その後は関羽自身も「我は漢の寿亭侯関羽である」と名乗ったりすることになるのです。しかしこれらのエピソードは小説のオリジナルで、「寿亭侯」という爵位は存在しないと思われます。

 

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三国志とお金の話

 

 



死後にたくさんの「諡」を貰った関羽

関羽の青銅像

 

関羽の生前の爵位は「漢寿亭侯」ですが、死後たくさんの「(おくりな)」が贈られました。「諡」とは貴人を称え、その人物に生前より上位の爵位を与えることです。関羽は蜀からの公式な諡は「壮繆侯(そうびゅうこう)」ですが、死後神格化されたため、中国歴代王朝から様々な諡を貰っています。

 

北宋「忠恵公(ちゅうけいこう)」から「武安(ぶあんおう)」そして「崇寧真君(すうねいしんくん)

南宋「義勇武安王(ぎゆうぶあんおう)

明「協天護国忠義関聖大帝(きょうてんごこくちゅうぎかんせいたいてい)」から「三界伏魔大帝神威遠震天尊関聖帝君(さんがいふくまたいていしんいえんちんてんそんかんていせいくん)

清「忠義神武関聖大帝(ちゅうぎしんぶかんせいたいてい)」から「忠義神武霊佑仁勇威顕開聖大帝(ちゅうぎしんぶれいゆうじんゆういけんかんせいたいてい)

 

これらは「神号」ともいわれ、時代が進むにつれてどんどん皇帝を超えるような大げさな諡になっていき、もはや関羽が神として称えられえていることが良くわかりますね。

 

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民間伝承の三国志

 

 

三国志ライターみうらの独り言

みうらひろし(提供)

 

「漢寿亭侯」には曹操の関羽に対する思いが込められており、関羽の評価の高さがよくわかる爵位ですよね。中国でも「寿」という言葉は縁起がよいらしくいろんな場所に使われていますよね。これから中国の地名にも注目していきたいですね。

 

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みうらひろし

歴史が好きになったきっかけはテレビの再放送で観た人形劇の三国志でした。そこから歴史、時代小説にはまり現在に至ります。日本史ももちろん好きですよ。推しの小説家は伊東潤さんと北方謙三さん。 好きな歴史人物: 呂蒙、鄧艾、長宗我部盛親 何か一言: 中国で三国志グッツを買おうとしたら「これは日本人しか買わないよ!」と(日本語で)言われたのが思い出です。

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