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曹操が中国北部でなく南部を優先して統一する戦略を採用したら三国時代はどうなった?

2024年3月23日


 

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曹操に立ち向かう劉備と孫権

 

曹操(そうそう)孫権(そんけん)劉備(りゅうび)という三英雄が、魏呉蜀に分かれて覇権を争った三国時代。この三名で一強は曹操、残る孫権と劉備が曹操の後を追うという構図となっておりました。

 

三国志の地図

 

地図で確認すると、中国の北部を曹操が制圧しており、中国の南部を孫権と劉備が分けているような形になっています。これには経緯がありまして、もともと曹操は中国北部で袁紹を始めとするライバルを続々と打ち破り、まずは中国北部の統一を固めてから、一気に南下して天下を目指したのです。ですが、ここでひとつ、イフ展開を考えてみましょう。

 

赤壁の戦い

 

曹操が先に中国北部を固めて、それから南下してきた時には、孫権と劉備が待ち構えていた。

 

赤壁の戦いで敗北する曹操

 

それゆえに、曹操、孫権、劉備の三国志が始まった。ではその史実と違う行動を曹操がとったら、どうなっていたか?

 

キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問)

 

つまり曹操が先に中国南部を固める戦略に出ていたら、三国時代はどうなっていたのでしょうか?

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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曹操が先に中国南部に手を出していたら起きていた大問題

橋瑁が決起文を送り反董卓連合軍結成

 

具体的に言えば、曹操が反董卓連合軍から離れた後、史実とは異なり、袁紹(えんしょう)とは戦わずに荊州方面に南下する戦略です。このシナリオでは、群雄達の運命はどうなりますでしょうか?

 

後継者を決めずにダラダラする袁紹

 

 

まず、袁紹が安泰となります。史実と異なり、曹操と対決する日がそうとう先延ばしになるため、袁紹が中国北部で勢力を順調に拡大し、一強状態になるでしょう。

 

三国志の主人公の劉備

 

劉備の状況も変わってきます。曹操との対決がなくなるため、劉備の拠点は陶謙(とうけん)から譲り受けた徐州となるでしょう。かつ、このシナリオでは徐州の経営に長年取り組むことができ、しっかりと拠点を構築できます。

 

後継者を決めるのに困っている劉表

 

危険なのは、劉表(りゅうひょう)劉璋(りゅうしょう)です。史実では彼らの土地が覇権争いに巻き込まれるのはもっと後になりますが、曹操が早めに南下してくることで、彼らが真っ先に曹操の野心の矛先となります。おそらく太刀打ちはできないでしょう。

 

呉の小覇王・孫策

 

 

ただひとつ、曹操にとって問題になりそうなのが孫策です。この時期、孫策(そんさく)は凄まじい勢いで江南に勢力を築き上げており、曹操が劉表や劉璋と戦っている間に、江南の構えを固めてしまうでしょう。というわけで、中国南部の統一を固めようとした曹操の最大のライバルは孫策となります。

 

 

袁紹と曹操

 

 

史実では曹操と袁紹が激突していた時期に、このシナリオでは、曹操と孫策の激突が起こりそうですね。そして、曹操にとって、孫策は袁紹よりも手ごわい相手となり、この対決は長引くことでしょう。

 

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中国北部では劉備に追い風が吹く?

三国志の武器 重戦車 曹操

 

こうなると、中国南部は、西側を曹操が取り、東側を孫策が取って、がっぷりと戦い合う構図となり、中国北部の袁紹はまことに安泰に勢力を拡げられます。つまり、北に袁紹が、南東に孫策が、南西に曹操が、という三勢力状態が生まれます。ですが、ここでひとつ、不安がよぎりませんか?

 

 

曹操にコテンパにされる袁紹

 

 

 

史実でも、曹操に攻められたらガタガタと内部崩壊を起こしていった袁紹軍。この時期、曹操との戦いを避けられたとしても、その統治能力の弱さが問題になってきたのではないでしょうか?つまり、袁紹の配下の間では、いつかは来る曹操との直接対決の日を見越して、より強くより安定したリーダーを求める気運が高まるのではないでしょうか?

 

 

二刀流の劉備

 

 

となると、既に徐州を中心に勢力を構築していた劉備が、袁紹にとって最大のライバルとなりそうです。

 

 

龐統

 

 

 

さらに、荊州が曹操に荒らされたことで、諸葛亮(しょかつりょう)徐庶(じょしょ)龐統(ほうとう)といった荊州の名士たちが、続々と亡命してくるかもしれません。

 

龐統と孔明を手に入れた劉備

 

彼らを劉備が取り込み、徐州に強力な家臣団を置けば、袁紹軍の中に、人望の高い劉備に寝返る人々が現れ、中国北部では袁紹と劉備の力関係が逆転、なんと、中国北部では劉備対袁紹の直接対決が勃発しそうです。

 

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なんと劉備に有利な天下三分の計が完成する?

諸葛亮孔明の天下三分の計に感化される劉備

 

しかも、このシナリオでは、荊州から脱出してきた諸葛亮孔明が劉備の陣営に入っています。孔明ならば当然「曹操が南部で孫策と戦っているうちに、袁紹と決戦してこれを倒し、中国北部に勢力を築く」という戦略を進言していたでしょう。これもまた、「天下三分の計」です。

 

天下三分の計を唱える諸葛亮孔明

 

ただし、史実で諸葛亮孔明が提案した「天下三分の計」とは異なり、魏呉蜀の地理関係上、曹操と劉備の立場が入れ替わります。

 

郝昭(かくしょう)は陳倉城で孔明を撃退した

 

袁紹を倒してその勢力を吸収した劉備が魏を、劉璋と劉表を倒した曹操が蜀を、そして孫策の早世後にその後を継いだ孫権が呉を建国し、劉備と曹操が入れ替わった三国志が始まります!

 

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まとめ:袁紹軍や馬騰軍にとっては待望のシナリオ?

悪役の曹操、正義の味方の劉備

 

こうして成立した三国時代では、曹操と劉備の立場が違うだけで、いっけん他は変わらないように見えます。ですが、個々の武将たちの運命は激変します。

 

文醜と顔良

 

まずは袁紹軍にいた優秀な人材は、劉備に降伏することで、劉備軍として大活躍できるチャンスが生まれます。袁紹というボスが微妙だった為に中途半端にしか登場できなかった田豊や審配が活躍するかもしれませんし、顔良や文醜も関羽に殺されることなく、むしろ関羽の有能な配下となるかもしれません。

 

五虎大将軍の馬超

 

しかも劉備が中国北部をおさえるなら、史実では曹操と利害が衝突した馬騰馬超の親子も、劉備となら良好な同盟関係になります。馬騰馬超親子自体、もしかするとすんなり劉備旗下になるかもしれません。

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

なによりこのシナリオでは、劉備が長安や洛陽など、中国の重要な都市をすべておさえている!

 

ポイント解説をするYASHIRO様

 

これほど劉備に有利なシナリオ・・・になりますが、やはりそんなことを曹操が許すとは思えません。

 

王芬のクーデターが失敗すると見抜く曹操

 

曹操が中国北部統一を無視して、まず南下するというシナリオ自体、戦略的にはあまりに曹操にメリットが少ないため、どうやらそもそも無理がありそうです。曹操でなくとも誰でも、重要な都市を無数に抱えた中国北部を優先にするところでしょうし。

 

三国志を楽しく語るライターYASHIRO様

 

ですが、劉備ファンと、そしてもしかすると袁紹軍や馬騰軍の武将のファンにとっては、「曹操が何をトチ狂ったか、突然南下してくれた」奇跡のシナリオは、まさに夢拡がるシナリオといえるのではないでしょうか?

 

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YASHIRO

とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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