日の出の勢いで、勢力を拡大する曹操(そうそう)に対し、一時は曹操にライバルと目された劉備(りゅうび)は踏んだりけったりの毎日を送っていました。
折角、手にいれた徐州太守の地位は、呂布(りょふ)を信用した為に奪われ、袁紹(えんしょう)に加担して、曹操の隙を突いて、徐州で反乱を起こすも、袁紹がグズで援軍を出さない為に曹操に敗れて、妻子や、関羽(かんう)そして張飛(ちょうひ)ともはぐれてしまう始末です。
「どうして私だけがこんな目に、、」逆境をはねのけて、ドンドン強大になっていく曹操を見つつ人の世話になるしかない劉備には、情けないやら、腹立たしいやらの毎日が続きます。
前回記事:49話:許攸の寝返りが曹操を勝利に導く
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劉備にも幸運が訪れる
しかし、捨てる神あれば、拾う神ありで、どん底の劉備に僅かながら、希望の光が差してきます。
それが、曹操の元を去って戻ってきた関羽との再会でした。この万人力の勇者との再会は、どれだけ劉備を元気づけたでしょう。
そして、袁紹の支配地である鄴で、劉備は、もう一人の豪傑と再会します、趙雲子龍(ちょううん・しりゅう)です。趙雲と言えば、三国志ではお馴染みの有名武将、曹操の大軍の中を赤ん坊を懐にいれて、たった一騎で駆け抜けた勇者です。
元々、趙雲と劉備は、今は亡き公孫瓚(こうそん・さん)の下で、出会い意気投合し、お互いに認め合う間柄でした。ところが、趙雲の身内に不幸があり、喪に服す為に趙雲は、公孫瓚の下を離れる事になります。
「名残惜しい、ここで別れたら、もう会う事もないかもな、、」
劉備は趙雲の手を握り、涙を流して別れを惜しみます。
「ご心配なく、私は、あなたの好意を忘れる事はありません」
趙雲は、劉備にこう返事をして再会を期して別れたのです。
再開を果たす二人
それから、数年、趙雲と劉備は再会を果たします。劉備は趙雲と寝食を共にし、袁紹の命令で曹操の支配地で反乱を起こすように言われた時には趙雲に密かに兵を集めさせて、共に袁紹の下を去っていきました。さて、このように、主従の関係を結んだ二人ですが、その絆がいかに深いものであったかを示す話を一つ、、
ある戦で敗北した劉備、その時、配下の武将が、劉備に対して、趙雲が、劉備を捨てて、北に敗走したと伝えました。すると、劉備は顔色を変えて、その者に手槍を投げつけて言います。
「無礼な事を言うな!子龍は、私を見捨てて逃げる男ではない!」
暫くすると趙雲は、劉備の陣営を探しあてて戻ってきました。
このように劉備は趙雲を信用し切り、趙雲もその信頼を終生裏切る事はなかったのです。こんなにも深い絆で結ばれた二人、羨ましい限りです。