漢中に逃げ戻った張郃(ちょうこう)は、曹洪(そうこう)に激怒されます。
しかし、今、張郃を斬った所で士気が下がるだけですので、
曹洪は、再度チャンスを与えて張郃に葭萌関を攻略するように命じます。
葭萌関(かぼうかん)は、孟達(もうたつ)が守っていましたが、
張郃の武勇の前に蹴散らされほうほうの体で、葭萌関に籠城しました。
孟達:「張郃が撃ってでました大ピンチです!援軍を送ってください」
孟達の援軍要請を受けた孔明(こうめい)は葭萌関に
黄忠(こうちゅう)と厳顔(げんがん)の老将コンビを派遣する事に決めました。
この記事の目次
老将コンビを派遣され落胆する孟達
ところが、孟達達は、やってきた黄忠と厳顔を見て落胆の色を隠しませんでした。
孟達:「なんだよ、援軍というから期待したのにジジイが二人か」
それを聞いて、黄忠と厳顔は憤慨します、、
黄忠:「お前達!年寄りだからと馬鹿にしおったな!!
いいだろう明日は目にもの見せてくれるわ!」
黄忠と厳顔の老将コンビは張郃をフルボッコ
黄忠と厳顔は、翌日、張郃の軍勢に二手に分かれて突撃し、
張郃を散々に撃ち破りました。
孟達は、「どうだ顔」をする黄忠と厳顔に
ただ、ひたすら頭を下げるしかありませんでした。
老将コンビを派遣したのは孔明の策略だった
実は、これは孔明の策略でした、、年寄り扱いされると、
激怒する黄忠と厳顔の性格を巧みに利用して発奮させたのです。
再び、漢中に逃げ帰った張郃を今度こそ曹洪は追放しようとします。
曹洪は何で張郃を許したの?
ですが、今、追放したら劉備(りゅうび)に降るだけですと、
配下の将が止めるので、曹洪は、ガマンして、張郃を許し、
交代して夏候尚(かこう・しょう)と韓浩(かんこう)を指名して再び、
葭萌関を攻撃させる事にしました。
ここで出て来る韓浩とは、長沙の太守だった韓玄(かんげん)の弟で、
彼は兄の仇である黄忠を討つべく出てきたのです。
夏候尚・韓浩 対 黄忠・厳顔
韓浩、夏候尚がやってくると、厳顔は、黄忠に言いました。
厳顔:「黄忠殿、、魏は、近くの山に食糧を置いております、、
ここは、負けたフリをして、敵を葭萌関におびき寄せ、
そこで、一網打尽にしましょうぞ」
黄忠:「おお!厳顔殿、それはよい、老いぼれを演じて欺いてやりましょう」
黄忠と厳顔は、それまでの元気はどこへやらで、
少し戦うと、退却して引き上げるという事を繰り返します。
夏候尚:「なんだ、、黄忠、厳顔は勇将と聞いていたが、、
戦えば、直ぐ逃げる老いぼれではないか、、
張郃殿も、よく、こんな老いぼれに破れたものよ」
夏候尚と韓浩は調子に乗って、深追いを繰り返します。
そうして、魏軍は葭萌関に接近していました。
黄忠と厳顔は、いい所なしで命からがら、
葭萌関に逃げこんで門を閉じてしまいました。
夏候尚:「はっ!老いぼれどもめ、口ほどにもない、あすには総攻撃ぞ」
夏候尚と韓浩は大笑いして、その日は宴会して眠りにつきました。
黄忠と厳顔が先手を打つ
そして、夜中、黄忠と厳顔は、手勢を率いて魏軍に突撃しました。
突然の奇襲に夏候尚も韓浩は飛び起きましたが、
もう、大半の兵は、蜀軍に追い散らされて逃げていました。
黄忠:「どうだ?若造共、ワシたちの老いぼれた演技は上手かったか?」
黄忠と厳顔の鬼のような形相に、夏候尚も韓浩も凍りつき、
取るものも取りあえず、逃げのびるのが精一杯でした。
厳顔は、その隙に魏軍が放り出した食糧を山から回収します。
敵を撃ち破り、大量の物資も手に入れた大勝利です。
黄忠は更に魏軍に挑んでいく
さらに、黄忠は天蕩山(てんとうざん)に10万の兵力で
陣取る夏候徳の陣に攻め上ります、この夏候徳とは夏候尚の兄弟です。
ここは魏軍の大食糧庫であり、逃げた夏候尚も韓浩もここで
兵を借りて、再び黄忠に襲いかかります。
黄忠に、韓浩が「兄の仇!」とばかりに襲いかかりますが、
たった一撃で、黄忠に斬られてしまいます。
さらに、天蕩山は、山のあちこちから火の手があがりました。
これは、別行動を取っていた厳顔が火を放ったものでした。
厳顔、あっさり夏候徳を討ち取る
夏候徳は、応戦しますが、厳顔にあっさり討たれてしまいます。
大将を失った天蕩山の魏軍は総崩れになり、敗走しました。
蜀軍は、10万人分の食糧を手に入れる大勝利を得ました。
老将コンビ、黄忠・厳顔の大活躍でした。
お年寄りだからって馬鹿にしてはいけません。
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