龐統(ほうとう)を殺され、蜀の張任(ちょうじん)に
押しまくられる劉備(りゅうび)ですが、伊達に長年、
負け犬をやっているわけではありません。
根拠地の涪水城に戻ると、張任の攻撃に耐えながら、
反撃の準備を着々と整えます。
張任の罠にはまる劉備軍
張任の軍が長らくの包囲に疲れて士気が低下したのを見計らい、
劉備は反撃を開始、魏延(ぎえん)を右、黄忠(こうちゅう)を左
そして、劉備が中央に展開する布陣を展開して、
蜀軍を圧倒して、張任を敗走させました。
しかし、これは張任の罠でした。
張任は雒城に入ると、籠城し劉備軍を散々に攻めさせます。
ところが、雒城は堅城で、どんなに攻撃してもビクともしません。
疲れが見えた劉備軍に張任は再び、罠を仕掛けます。
城から、夜密かに兵を出して、劉備の中央軍の背後に伏兵させ、
さらに、魏延と黄忠の軍の左右にも伏兵を配置します。
そして、翌日、張任は、城を開いて打って出ました。
劉備は、喜び勇んで、張任に立ち向かいますが、
この時に、中央軍の背後と、黄忠、魏延の左右に伏せていた
伏兵が一斉に立ちあがり、劉備軍を分断したのです。
劉備軍、またまた大ピンチ
劉備軍は、いきなり軍の左右が敵兵になったので大混乱、
軍は、総崩れになり、劉備は兵士とも魏延、黄忠ともはぐれて、
たった一騎で逃げる羽目になります。
「見つけたぞ!あれが劉備だあ!追えーッ、殺せーっ!!」
張任は、故郷を蹂躙された恨みを晴らすのは今とばかりに、
たった一人で逃げる劉備を執拗に追いかけます。
劉備:「いよいよ、ここでワシもお仕舞いか、、」
疲れて勢いが落ちてきた馬を見つめながら、
劉備が諦めかけた、その時です。
援軍の張飛がタイミングよく合流
張飛:「劉兄ぃ、無事かああああああ!!!!」
山の間道から、張飛(ちょうひ)の軍勢1万が飛び出してきました。
張飛:「てめえらぁ!!戦がしたいなら、この張飛様が相手だあ
かかってきやがれィ!!」
張飛は蛇矛を振り回し、劉備に追いすがろうとする蜀軍を威圧します。
張任:「何!!あの長坂橋の勇者の張飛だと、、
やっと、ここまで劉備を追い詰めたと言うに、、
ちっ分が悪い、者共っ退けっ!」
張任は、部下に号令を出して、雒城に向かって引き返しました。
劉備:「張飛、よく来てくれた、今度ばかりは、流石にワシも駄目かと
観念しておったぞ、、」
劉備は、九死に一生を得て、座り込んでしまいました。
孔明と趙雲も劉備軍に合流
その内に、散らばっていた、魏延や黄忠の軍勢が結集し、
軍勢が入ってきます。
涪水城に戻ってきた劉備軍は、4万人に膨れ上がり、
ようやく、張任を攻略するのに、充分な軍勢が整いました。
劉備:「蜀の武将は、戦争に慣れておらぬので、
ここまでは楽勝であったが、あの雒城の張任だけは、違うようだ、、
わしは、これまでにも何度も煮え湯を飲まされてきた。
知勇兼備の武将だけに、追い詰めても城に逃げ込まれれば、
手が出せない、、孔明、何かよい知恵はないか?」
劉備に相談されると、孔明は、暫く考えてから言います。
孔明:「では、敵将の張任を雒城からおびき出し、二度と戻れないように
致しましょう、私にお任せ下さい」
孔明は、こうして、劉備に張任をおびき出す策を授けました。
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