張任(ちょうじん)が戦死した事で、雒城はあっと言う間に陥落しました。
いかに堅城と言っても、張任あっての雒城だったのです。
雒城を陥落させた劉備軍は、いよいよ、成都の最期の関門である
綿竹関(めんちくかん)に軍を進めてきます。
張任が戦死し、雒城が落ちた事で、劉璋(りゅうしょう)は驚き慌てます。
これで、成都を守るのは綿竹関だけになってしまったからです。
前回記事:93話:名将 張任、遂に堕ちる
この記事の目次
劉璋は李厳と費観を綿竹関に派遣
劉璋は、ここで武将の李厳(りげん)と費観(ひかん)を綿竹関に派遣します。
劉璋:「なんとしても劉備を入れるな、分かっておろうな!」
劉璋に激励されて、二人は、綿竹関に入ります。
流石に決死の防戦だけあり、劉備(りゅうび)が
李厳は、3000の兵を率いてこれに応戦し奮戦します。
ここでは決着がつかず、両軍は、兵を引き上げました。
黄忠と李厳の一騎打ち
次に劉備軍からは、黄忠が一騎で出てきます。
黄忠:「我が名は黄忠漢升、我が槍を受けられるものはおらぬか!!」
それに対して、李厳が進み出てきます。
李厳:「我が名は、李厳正方、お相手つかまつろう!!」
両者は、馬上で激しく槍で打ち合いますが、
腕前は全く互角で一歩も譲りません。
孔明:「まだ劉璋には、このような臣が残っていたのか」
劉備軍も蜀軍も、どちらが勝つかと硬唾を飲んで
勝負の行方を見守りました。
孔明に不満を持つ黄忠
しかし、ここで、孔明(こうめい)は銅鑼を鳴らすように命じて、
黄忠を引き上げさせました。
押し気味に戦を進めていた黄忠は不満ながら、軍命なので
従わないわけにはいかず、陣に戻ってきます。
黄忠:「軍師殿!どうして、私を引き上げさせたのです?
こう言えば、強がりと思われるかも知れぬが、李厳は、
もう一歩で討ち取る事が出来ましたぞ」
負けず嫌いの黄忠に、孔明は、やんわりと話し掛けます。
孔明:「黄将軍落ち着いて下さい、、私の見る所では、
一騎打ちでは、李厳を討ち取るのは無理です、、あれは、中々に強い武将です。」
孔明に言われて黄忠は下を向きました、、
自分の手で討ち取れない事に悔しさを感じたのです。
黄忠に策を授けた孔明
孔明:「黄将軍、そう落胆なさるな、、今は、個人の武勇より
一刻も早く、成都を落す事が先決です、、
私に策があります、黄将軍にそれを授けますので、
李厳を生け捕りにして下さい、、」
黄忠は承諾して、策を受けました。
翌日、黄忠は、李厳に昨日の決着をつけようと呼びかけます。
すると、李厳も兵を率いて出てきました。
しかし、今度の黄忠は、大して戦わない間に、
馬首を返して、軍を退却させてしまいます。
李厳:「自分から誘いだしておいて、逃げるのか!」
李厳は、これはチャンスと黄忠を追いかけますが、
黄忠は、どんどん、寂しい山の中に逃げてゆきます。
これはオカシイと李厳が気がついた頃には、李厳の兵は、劉備軍の伏兵と
戻ってきた黄忠軍に挟まれていました。
そう、孔明の仕掛けた罠にまんまと掛かっていたのです。
李厳は全滅を回避する為に降伏
李厳は、このまま全滅するのもつまらないと考えて、武器を捨て、
劉備軍に降伏しました。
劉備軍の陣営に引き立てられると、劉備は、自ら李厳を迎えて
縄を解いて歓待し、その立派な戦いぶりに賞賛を惜しみませんでした。
劉備軍を苦しめた自分だから、きっと罵倒され、首を斬られると覚悟した
李厳ですが、一転して丁重な扱いに感動します。
(なんと、、劉備とは何と器の大きい御仁か、、
これは、劉璋様とは比較にはならぬ、、)
李厳という武将を得た劉備
まだまだ生き延びて手柄を立てたいと思っていた李厳は、
降伏勧告を受け入れて、劉備の将になります。
李厳:「劉備様、これ以上、軍を煩わせる事はありません、、
費観は、古くからの同僚、私が説得してみせます」
こうして、李厳は、劉備軍の旗を立てて、綿竹関に向かいます。
費観を説得しに行く李厳
費観:「その旗はなんだ李厳、貴様、裏切ったのか!!」
李厳:「そうだ、裏切った、だが費観よ、、よく考えてくれ、、
により大半が纏められ残るは、我が蜀ばかりではないか?」
費観:「それがどうしたと言うのだ!!」
李厳:「我らが主君の劉璋様に、これらと対抗する力があるだろうか?
そもそも、劉備様を蜀に招き入れたのも、、
漢中の張魯(ちょうろ)を恐れ、これを討伐させたいが為であった。
何と情けない、、張魯程度を恐れるなら、曹操や孫権には、
戦わずして降伏する外はあるまい」
費観:「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」
李厳:「我等は武人である、せめて、曹操や孫権と
一戦交えてからでないなら、死んでも死にきれぬ、、
だからこそ、ワシは劉備様に降伏したのだ、、
決して死を恐れたのではない!!
劉備様は、敗れたワシを歓待し、その奮戦を褒めて下された
我々のような武人が真に仕えるべきは劉備様である。
費観よ、お前もそうは思わないか?」
費観は、一度城内に引き下がると、城門を開きました。
費観も納得し劉備を迎え入れる
費観:「李厳よ、そなたの言う通りだ、、
もう、劉璋のような臆病な君主に仕えるのはうんざりだ」
こうして、綿竹関は開城し劉備軍は、いよいよ、
成都に迫る事になったのです。
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