94話:成都を陥落させ李厳を得る劉備軍

2015年7月4日


劉彰

 

張任(ちょうじん)が戦死した事で、雒城はあっと言う間に陥落しました。

いかに堅城と言っても、張任あっての雒城だったのです。

 

 

雒城を陥落させた劉備軍は、いよいよ、成都の最期の関門である

綿竹関(めんちくかん)に軍を進めてきます。

 

 

張任が戦死し、雒城が落ちた事で、劉璋(りゅうしょう)は驚き慌てます。

これで、成都を守るのは綿竹関だけになってしまったからです。

 

前回記事:93話:名将 張任、遂に堕ちる

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


【誤植・誤字脱字の報告】 バナー 誤字脱字 報告 330 x 100



【レポート・論文で引用する場合の留意事項】 はじめての三国志レポート引用について



劉璋は李厳と費観を綿竹関に派遣

 

劉璋は、ここで武将の李厳(りげん)と費観(ひかん)を綿竹関に派遣します。

 

劉璋:「なんとしても劉備を入れるな、分かっておろうな!」

 

 

劉璋に激励されて、二人は、綿竹関に入ります。

 

 

流石に決死の防戦だけあり、劉備(りゅうび)が

魏延(ぎえん)と黄忠(こうちゅう)を投入すると

李厳は、3000の兵を率いてこれに応戦し奮戦します。

 

 

ここでは決着がつかず、両軍は、兵を引き上げました。

 

黄忠と李厳の一騎打ち

黄忠

 

次に劉備軍からは、黄忠が一騎で出てきます。

 

 

黄忠:「我が名は黄忠漢升、我が槍を受けられるものはおらぬか!!」

 

 

それに対して、李厳が進み出てきます。

 

 

李厳:「我が名は、李厳正方、お相手つかまつろう!!」

 

両者は、馬上で激しく槍で打ち合いますが、

腕前は全く互角で一歩も譲りません。

 

 

孔明:「まだ劉璋には、このような臣が残っていたのか」

 

劉備軍も蜀軍も、どちらが勝つかと硬唾を飲んで

勝負の行方を見守りました。

 

孔明に不満を持つ黄忠

 

しかし、ここで、孔明(こうめい)は銅鑼を鳴らすように命じて、

黄忠を引き上げさせました。

 

 

押し気味に戦を進めていた黄忠は不満ながら、軍命なので

従わないわけにはいかず、陣に戻ってきます。

 

 

黄忠:「軍師殿!どうして、私を引き上げさせたのです?

こう言えば、強がりと思われるかも知れぬが、李厳は、

もう一歩で討ち取る事が出来ましたぞ」

 

 

負けず嫌いの黄忠に、孔明は、やんわりと話し掛けます。

 

 

孔明:「黄将軍落ち着いて下さい、、私の見る所では、

一騎打ちでは、李厳を討ち取るのは無理です、、あれは、中々に強い武将です。」

 

 

孔明に言われて黄忠は下を向きました、、

自分の手で討ち取れない事に悔しさを感じたのです。

 

黄忠に策を授けた孔明

孔明 劉備の剣とハンコ

 

孔明:「黄将軍、そう落胆なさるな、、今は、個人の武勇より

一刻も早く、成都を落す事が先決です、、

 

私に策があります、黄将軍にそれを授けますので、

李厳を生け捕りにして下さい、、」

 

 

黄忠は承諾して、策を受けました。

 

 

翌日、黄忠は、李厳に昨日の決着をつけようと呼びかけます。

すると、李厳も兵を率いて出てきました。

 

 

しかし、今度の黄忠は、大して戦わない間に、

馬首を返して、軍を退却させてしまいます。

 

 

李厳:「自分から誘いだしておいて、逃げるのか!」

李厳は、これはチャンスと黄忠を追いかけますが、

黄忠は、どんどん、寂しい山の中に逃げてゆきます。

 

 

これはオカシイと李厳が気がついた頃には、李厳の兵は、劉備軍の伏兵と

戻ってきた黄忠軍に挟まれていました。

 

 

そう、孔明の仕掛けた罠にまんまと掛かっていたのです。

 

李厳は全滅を回避する為に降伏

 

 

李厳は、このまま全滅するのもつまらないと考えて、武器を捨て、

劉備軍に降伏しました。

 

 

劉備軍の陣営に引き立てられると、劉備は、自ら李厳を迎えて

縄を解いて歓待し、その立派な戦いぶりに賞賛を惜しみませんでした。

 

 

劉備軍を苦しめた自分だから、きっと罵倒され、首を斬られると覚悟した

李厳ですが、一転して丁重な扱いに感動します。

 

(なんと、、劉備とは何と器の大きい御仁か、、

これは、劉璋様とは比較にはならぬ、、)

 

李厳という武将を得た劉備

 

まだまだ生き延びて手柄を立てたいと思っていた李厳は、

降伏勧告を受け入れて、劉備の将になります。

 

 

李厳:「劉備様、これ以上、軍を煩わせる事はありません、、

費観は、古くからの同僚、私が説得してみせます」

 

こうして、李厳は、劉備軍の旗を立てて、綿竹関に向かいます。

 

費観を説得しに行く李厳

 

費観:「その旗はなんだ李厳、貴様、裏切ったのか!!」

 

 

李厳:「そうだ、裏切った、だが費観よ、、よく考えてくれ、、

すでに、天下は、南の孫権(そんけん)、北の曹操(そうそう)

により大半が纏められ残るは、我が蜀ばかりではないか?」

 

 

費観:「それがどうしたと言うのだ!!」

 

 

李厳:「我らが主君の劉璋様に、これらと対抗する力があるだろうか?

そもそも、劉備様を蜀に招き入れたのも、、

漢中の張魯(ちょうろ)を恐れ、これを討伐させたいが為であった。

 

何と情けない、、張魯程度を恐れるなら、曹操や孫権には、

戦わずして降伏する外はあるまい」

 

 

費観:「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、」

 

 

李厳:「我等は武人である、せめて、曹操や孫権と

一戦交えてからでないなら、死んでも死にきれぬ、、

だからこそ、ワシは劉備様に降伏したのだ、、

決して死を恐れたのではない!!

 

劉備様は、敗れたワシを歓待し、その奮戦を褒めて下された

我々のような武人が真に仕えるべきは劉備様である。

費観よ、お前もそうは思わないか?」

 

 

費観は、一度城内に引き下がると、城門を開きました。

 

費観も納得し劉備を迎え入れる

 

費観:「李厳よ、そなたの言う通りだ、、

もう、劉璋のような臆病な君主に仕えるのはうんざりだ」

 

 

こうして、綿竹関は開城し劉備軍は、いよいよ、

成都に迫る事になったのです。

 

 

次回記事:95話:馬超と張飛の一騎打ち

 

  • この記事を書いた人
  • 最新記事
kawauso

kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

-全訳三国志演義
-, , , , , ,