男だらけでむさ苦しい『三国志』の世界ですが、
それでも幾人かの美女が登場します。
曹操もはべらせたいと詠ったと言われる
しかし、『三国志』の美女はそれだけではありません。
ちょっと影が薄いものの、
絶世の美女と称された女性が
『三国志』にはもう一人あったのです。
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張済の妻・鄒氏
董卓が献帝を傀儡とし、
暴政をふるって民を苦しめていたことに
心を痛めていた王允。
王允は何とか董卓を討ち取りたいと考えますが、
董卓はあの猛将・呂布をボディガードにつけていたため、
とてもではありませんが手を出すことができません。
そこで王允は義理の娘である美女・貂蝉を使って
董卓と呂布を仲違いさせ、
見事董卓を討ち取って見せました。
ところが、王允が董卓の元配下を無下に扱ったため、
董卓の元配下である張済らは
董卓の敵討ちと称して王允を討ち取ったのでした。
これにて一件落着と思われましたが、
今度は献帝をめぐって仲間割れが発生。
間に挟まれ困り果てた献帝から
和睦の使者になるように頼まれた張済は
2人の仲を取り持ち、
献帝をひとまず自分の領地・弘農へ連れ帰ろうとします。
ところが、献帝をうまいこと奪われたと思った郭汜が暴れ始めます。
これを楊奉がうまいこと撃退してくれ、
やれやれと思ったら、
今度は楊奉が献帝を洛陽に連れ去ろうとするではありませんか!
これを受けて今度は郭汜と手を組み、
陽奉らを撃破した張済でしたが、
献帝の命で和睦を結ぶことに。
献帝を失った張済は力を失い、
食料不足に悩まされるようになって
荊州で略奪行為を繰り返すほど落ちぶれます。
しかし、そんなことがいつまでも許されるはずもなく、
穣県を襲っていたところで
張済は命を落としてしまったのでした。
そんな張済には、
鄒氏という美しい妻がありました。
その美しい妻も、
張済に先立たれてしまったことにより
路頭に迷うことになります。
甥っ子・張繍の元へ身を寄せる
頭である張済を失った軍勢もまた路頭に迷うことになりましたが、
張済の甥っ子である張繍がその軍勢を引き継ぐことになりました。
ついでに、未亡人となってしまった鄒氏も
張繍の元に身を寄せることになります。
張繍は鄒氏のあまりの美しさに虜になってしまいますが、
夫に先立たれたばかりの女性、
それも、叔父の妻だったということで我慢…。
張繍は悶々とした気持ちを抱えながら
鄒氏の世話をしていたのでした。
曹操に見初められた鄒氏
伯父・張済を失ってそれほど経たないうちに、
今度は曹操が攻め入ってきます。
張繍は負けじと何度か攻防を繰り広げますが、
曹操相手では歯が立たないと
配下の切れ者・賈詡に諭されたため、
一旦曹操に降伏を申し入れます。
ところが、人妻ハンター・曹操の目に
鄒氏がとまってしまうのです。
その美しさに一目惚れした曹操は、
鄒氏を妾にしてしまいます。
それを知った張繍は激怒!
「伯父の妻に手を出すとは、何たること…!」
それは建前で、
本音では鄒氏を曹操に奪い取られたことに
地団太を踏んで悔しがっていたであろう張繍は
曹操を討ち取ってやろうと息巻いたのでした。
夜襲をかけられた曹操
張繍は曹操を討つべく、
その腹心・賈詡にアドバイスを求めます。
すると、賈詡はヒソヒソ…。
一方その頃、
鄒氏との甘~い時間に酔いしれていた曹操は
息子・曹昂にたしなめられても馬耳東風。
情欲に耽って完全な腑抜け状態になっていました。
その日の夜も、
曹操は鄒氏の体に溺れ、
疲れ果てて眠っていました。
すると突如、城内のあらゆる箇所から火の手が上がり、
あちらこちらから悲鳴が聞こえてきたのです。
この異変にいち早く気づいた曹昂は、
すぐに曹操の元へかけつけます。
曹昂の形相を見て
曹操もすぐに事態を把握。
しかし、生まれたままの姿の曹操はあたふたするばかり。
そんな父に自分の服と馬を差し出す曹昂。
それでもモタモタしている父を急かします。
「父上の息子は数多くおりますが、
父上はただお一人だけ。
ここで死んではなりません!」
曹操を寝所からなんとか追い出した曹昂は、
ふと鄒氏の存在に気がつきます。
悲しい最期
父親を腑抜けにしてしまった鄒氏。
鄒氏さえいなければ、
張繍にしてやられることもなかった…。
そう考えた曹昂は
鄒氏を斬り殺してしまったといいます。
ところが、鄒氏は曹昂に殺されなかったとも言われています。
では、生き延びることができた彼女はどうなったのか?
なんと、張繍によって
曹操に体を許したことを咎められ、
処刑されてしまったと言われているのです。
美しさ故に非業の死を遂げた鄒氏。
佳人薄命とはまさにこのことなのでしょう。
※この記事は、はじめての三国志に投稿された記事を再構成したものです。
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