こちらは3ページ目になります。1ページ目から読む場合は、以下の緑ボタンからお願いします。
この記事の目次
諸葛孔明、バカ周瑜を欺き呉を開戦に導く
荊州の東の淵に追い込まれた劉備は
「もう曹操には敵わないから降参して部下にしてもらおう」と弱気な事を言いますが、諸葛孔明は、曹操も劉備も一言多いタイプでキャラが被るから絶対に合わないし部下にもしないと断言。唯一、曹操に対抗しうる呉の孫権を説き伏せて曹操と戦わせるとして、呉に向かう事を進言し許可を得ます。
呉では、主戦論を唱える武官黄蓋と、降伏論を唱える文官張昭や張紘が激論を戦わせていましたが、若き呉の大黒柱孫権(岡田健史)は、主戦論が優勢になると主戦論へ同調し、降伏論が優勢になると降伏論に転向するばかりで方針が定まりません。
そこに孔明がやってきて、降伏するなら早く降伏すべし、戦うなら早く戦うべしと言い、「もっともウチの劉備は、漢王室の末裔なので曹操ごときに降伏はしませんが何か?」と孫権を暗に腰抜けと挑発します。
ここで、賀来賢人演じる周瑜が登場し、諸葛孔明は呉に危ない橋を渡らせようとしていると非難しますが、孔明が「曹操は大喬と小喬を差し出せば戦争は止めると言っているので、そうしてはいかが?」と周瑜に提案。
小喬は周瑜の妻なので、途端に周瑜が大噴火「曹操許すまじ開戦じゃあ!」と決めてしまいます。この映画の周瑜は狭量ではありませんが短気バカで、何度も孔明に騙されては、黄蓋役の矢本悠馬に説得され、孔明に敵愾心を燃やすという設定です。
関連記事:いい加減な三国志『新解釈・三國志』を理解する!なぜ周瑜は諸葛亮が嫌いなの?
関連記事:名将周瑜は政治のセンスもあった?戦に強いだけじゃない周瑜を考察
諸葛孔明、黄月英に泣きつく
魏に対して戦う事を決意した呉では、劉備を招いて同盟の宴が催されました。しかし黄蓋に説得され、孔明に騙されたと知った周瑜は、孔明に無理難題を押し付けて、出来なかったら斬首しようと思いつきます。そこで周瑜は孔明に、呉には矢が足りないので3日間で10万本用意して欲しいと頼み、孔明は安請け合いしてしまいます。
孔明は「では材料を下さい」と周瑜に言いますが、周瑜は「そんなものはない、自分で何とかして10万本の矢を3日間で用意しろ。出来なければざーんしゅ!」と宣言しました。
仕方なく、孔明は劉備軍の兵士を集めて、木を切り倒し必死に矢を作り始めますが、2日間で出来た矢は、たった百本でした。
これには、孔明を呉につれてきた魯粛も絶望の色を隠せません。死亡フラグが立った孔明に対し劉備は関羽や張飛に逃げる仕度をするように命じます。
しかし、孔明には秘策がありました。いっしょに呉までつれてきていた橋本環奈演じる鬼嫁の黄月英です。実は、孔明の計略は全て月英が考え、それをさも孔明が考えたかのように見せていただけだったのでした。
孔明が「ゲツエモーン」と泣きつくと、月英は闇夜に藁人形を満載した船を百隻用意して、曹操軍の陣地に突撃して戻ってこれば10万本の矢は、すぐに調達できると入れ知恵します。孔明は、これを自分が考えた事にし、周瑜から船百隻を借りると、見事に矢を調達する事に成功しました。
関連記事:諸葛亮の妻・黄月英は伝説だらけのスーパーレディな件
関連記事:「十万本の矢」孫権・周瑜・張巡の変遷とパクリ歴史を紹介
魏軍で疫病が大流行し思わぬ展開に
そんな頃、長江の北では魏軍が3日後の出撃準備を整え、曹操が今日はバカ程騒ぐぞー!と大宴会を宣言します。
ここで、曹操のボディーガードである許褚(一ノ瀬ワタル)がお腹に人の顔を描いて腹踊りを開始し、それを魏兵が次々に真似して、全員で腹踊り大会になります。
しかし、翌日になると魏兵のほぼ全員が裸になったせいで風邪をひき免疫力が低下、夏侯惇や荀彧(磯村勇斗)まで疫病に罹ってしまいました。もちろん、これでは総攻撃は出来ないので、曹操は攻撃を中止します。
呉と劉備軍にとっては大チャンスの筈ですが、劉備は「疫病が怖い、俺達はもう帰る」と言い出し、孔明を置き去りにして呉から去ってしまいました。そして、呉はチャンスとはいえ決定的な要素が欠けていました。
曹操の大船団を焼き払うには火攻めしかありませんが、この時期、風は北西、すなわち、魏の陣営から呉の陣営に向かって吹いており、火攻めをすると呉の船団が炎に包まれてしまうのです。これを何とかするには、真逆の東南の風を吹かせる必要がありました。
関連記事:東南の風は吹いたの?吹かなかったの?謎が多い東南の風
東南の風吹かず、孔明いよいよ斬首か?
ここで孔明は、また安請け合いしてしまいます。私が東南の風を吹かせてみせましょうと周瑜の前で宣言してしまうのです。
「言ったな!もしできなかったら、ざーんしゅだからな!」嬉しそうに剣を抜く周瑜。
もちろん、孔明はまた黄月英の元まで行き、
「また安請け合いしちゃったよーゲツエモーン、東南の風を吹かす方法とかないよね?」
と知恵を借りに行きますが、意外にも月英は、ここ数日のうちに1日だけ北西の風が東南の風になる時が来ると言います。再び、強気になる孔明は、祭壇を築かせて風を呼ぶ儀式を行いますが、それから3日経過しても東南の風は一切吹きませんでした。
嘘つき野郎として縄で縛られ、周瑜に斬られそうになる孔明ですが、そんな真夜中も真夜中、突如として風の向きが変わり、東南の風が吹き始めます。
大団円!赤壁の戦い
驚愕する周瑜と呉の面々ですが、さらに驚愕する事が起こります。誰も孔明の予言を信じていないので、曹操軍を追撃する準備が出来ていなかったのでした。
ところが、攻撃を仕掛けていない筈の曹操軍の船から次々に火の手が上がり始めます。不思議に思う呉の面々ですが、これは孔明が劉備と共同で仕掛けた作戦でした。呉から逃げて行った劉備一行の中の趙雲に孔明は作戦を伝えておいていました。それは、野良牛が多くいる所を劉備軍に通過させ、腹が減った劉備軍が牛を捕らえて焼肉パーティーをするように仕向ける作戦だったのです。
こうして、パーティの後、大量に出る脂身を長江に投棄させ、脂が水面に広がった所で、趙雲に火をつけるように指示を出していたのでした。牛の脂身の油に火が付き、それが折からの東南の風に煽られて、曹操軍の船に引火。曹操軍は大敗するというのが諸葛孔明の赤壁勝利のシナリオです。
焼肉パーティーで大量に酒を飲んだ劉備は、酒乱の性癖を発揮し、馬に乗り混乱する曹操軍に突撃し、見事に大戦果を挙げました。ここで、『新解釈・三國志』は、大団円という事になります。
『新解釈・三國志』の感想
史実を茶化しすぎとか、内容が薄いとか、色々酷評された新解釈・三國志ですが、それについては、全くその通りだと思います。
ただ、史実を茶化しても内容が薄くても、キャラクター同士の掛け合いは十分に面白いし、特に、劉備と諸葛孔明を演じた、大泉洋とムロツヨシの掛け合いでは何度も笑えました。なので、純粋に面白いかどうかという点について評価するとkawausoは面白かったです。
ただ、今回の話に魯粛(半海一晃)は必要なかったんじゃないかなーとは思いました。
唐突に登場して、ほとんど出番が無く孔明との絡みも少なかったですしね。
三国志をギャグにする手法は、古くはスウィート三国志やら、STOP劉備君やら、光栄の爆笑三國志シリーズやらがあり、そういうのが好きな人なら『新解釈・三國志』は楽しめるんじゃないかなーと個人的には思いますよ。
関連記事:新解釈・三国志の劉備がかっこよくない理由
関連記事:劉備・関羽・張飛の前半生は「水どう」っぽい?新解釈・三國志のキャスティングを考察