正史「三国志」や小説「三国志演義」を読んでいると数々の英雄たちが目に浮かぶはずです。そんな三国志好きに実写で「三国志」の世界を楽しめる映画をいくつか紹介します。
すべて本場の中国で作られた映画たちで、本国での三国志の見方をうかがい知ることもできますよ。
この記事の目次
三国志映画:趙雲が主役「三国志(2008年)」(原題・三國之見龍卸甲)
中国・韓国合作映画
監督-ダニエルリー
出演-アンディ・ラウ、サモハンキンポー、マギーQなど
蜀の「趙雲」が主役の映画です。趙雲が劉備の配下になり、最後に引退するまでの約50年間を描いた物語で、香港のスーパースター、「アンディ・ラウ」が若年から老年までの趙雲のすべてを演じています。一応「三国志」に沿ったストーリー展開ですが、趙雲の兄貴分「羅平安」や魏の大軍を指揮する曹操の孫「曹嬰」(女性)などオリジナルキャラクターが多数登場します。
物語は趙雲の生涯を2時間以内にまとめているため、駆け足で進み、主に「長坂の戦い」と最後の北伐がメインとなるのでタイトルの「三国志」は大げさかもしれません。「サモ・ハン・キンポー」(出演も)が指揮したアクションシーンは迫力があり、多くの兵士を投入した戦争シーンや曹嬰と趙雲の一騎打ちが見どころです。
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三国志映画:赤壁を再現!「レッド・クリフ2部作(2008年、2009年)」(原題・赤壁)
中米韓日他合作映画
監督-ジョン・ウー
出演-金城武、トニー・レオン、ヴィッキー・チャオほか
「赤壁の戦い」を映画化した2部作です。前半では「長坂の戦い」や「八卦の陣」を駆使した合戦シーンと張飛、関羽などの大活躍がメインで、後半で「赤壁の戦い」を描きます。
曹操の悪役ぶりが強く、赤壁の戦いのきっかけが周瑜の妻であった小喬を手に入れるため、だったりもします。周瑜と諸葛亮の知恵比べがメインで、彼らが競い合いながらも尊敬を深めていく描写が目を惹きます。
趙雲、張飛、関羽など蜀の主役級メンバーや呉の陸遜、周瑜などほぼオールスターの三国志武将が登場し、三国志好きにはたまりません。また、小喬、大喬、孫権の妹尚香など女性陣のエピソードもあり、男ばかりが活躍しがちな三国志に華を添えます。圧巻はなんといっても合戦シーンです。
前半の「長坂の戦い」では趙雲や張飛の一騎当千を描き、後半の「赤壁」では迫力の炎に包まれていく兵士たちや焦る曹操が完全再現されています。
今もバラエティ番組などでよく聞くテーマ曲など音楽は日本の「岩代太郎」さんが担当し、中村獅童さんも「甘寧」をモデルとした「甘興」というキャラで出演しています。
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三国志映画:関羽が無双する「三国志英傑伝・関羽(2011年)」(原題・関雲長)
中国映画
監督-フェリックス・チョン、アラン・マック
出演-ドニー・イェン、チアン・ウェインほか
関羽の有名な「関羽千里行」「五関突破」がテーマの映画です。曹操と関羽の関係にテーマを絞り、他の三国志の武将は殆ど登場しません。
最大の見どころは「宇宙最強」と言われるアクションスター、ドニーイェンのアクションで、五つの関を様々な手段を使って戦い突破していく様が素晴らしく、特に狭い場所でのソードアクションは必見です。
曹操を演じたチアン・ウェインは監督としてもカンヌで受賞している名優で、後に「スターウォーズ・ローグワン」でもドニーイェンと共演しています。
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三国志映画:荊州をめぐる争いを大胆アレンジ「SHADOW/影武者(2018年)」(原題・影)
中国映画
監督-チャン・イーモウ
出演-ダン・チャオ、スン・リーほか
三国志の時代における魏呉蜀の「荊州」をめぐる争いをアレンジし、架空の時代に設定した映画です。あまり三国志とは関係なさそうな映画ですが、衣装などはその時代に近く、男たち、そして可憐な女性たちが国をめぐり知略や武力を競い合うさまは「三国志」好きならば楽しめるはずです。
映像はまるで水墨画のような様式美にあふれており、特殊な傘を使ったアクションシーンなど、芸術的な画面からは目が離せません。ストーリーは全体的に重苦しく、陰謀が渦巻いていますが難しいことはなく、あまり見られないアクションシーンの数々と相まって最後まで飽きずに楽しめることでしょう。
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三国志ライターみうらの独り言
「三国志」をテーマにした映画は実に幅広く、史実のアレンジも大胆な印象がありますね。頭で想像していた武将が実際に動くのは見ていて楽しく、今後も三国志の映画化には注目していきたいものです。
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