もし後漢王朝が乱れていなかったら三国志の皆さんはどんな人生を送ったのか?

2022年3月16日


 

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曹操に立ち向かう劉備と孫権

 

三国志(さんごくし)の壮大なドラマ。その幕開けは「長きに渡る後漢王朝の権威もおおいに腐敗し、乱世に民衆が苦しんでいる時代」という背景説明から、となります。

 

魏王に就任する曹操

 

そんな乱世を終息させ民衆を救うためには、新しいリーダーが必要だ!

漢王朝の血を引く人格者の劉備(りゅうび)がふさわしいのか?

それとも旧秩序を破壊する革命児曹操(そうそう)がふさわしいのか?

 

悪役の曹操、正義の味方の劉備

 

というのが、三国志のドラマのポイントと相成りますが、野暮を承知でいうと、こんな問いを発してみましょう。「でも、もし後漢王朝が順調に安定していたら?三国志のキャラクターたちはどんな人生を送ったのだろう?」と。今回はこのような問いを掘り下げてみたいと思います。

 

すなわち、「そもそももし後漢王朝が乱れていなかったら、得をしていた人、損をしていた人!」大整理、となりましょうか!

 

 

後漢王朝が乱れていなかったら得をしていた人

曹操と対峙する于毒(うどく)

 

まず「乱世でなければ得をしていた人」というのは、三国志の登場人物の中にどれだけいるのでしょうか?

 

いきなりですが、このグループには三国志に登場する「凡庸なキャラ」のほぼ全員が該当する筈なので、大量の人名が入ってきてしまうことでしょう!その中でも、とりわけ「乱世でさえなければよかった」キャラクターといえば、後漢王朝下では何もしなくても安泰な身分だった人たちとなりましょう。

 

美化された袁紹に羨む袁術

 

その代表格は、袁紹(えんしょう)袁術(えんじゅつ)ではないでしょうか?

というのもこの二人、もともと袁家という後漢王朝の名家の出身。

 

袁術

 

それが「後漢王朝が乱れた今こそ、名家である俺たちの出番だよね?」と勘違いをしたために、ボロボロの負け戦人生を送る羽目になりました。もし後漢王朝が安泰だったなら?

 

曹操

 

彼らは変な野心を抱くこともなく、有能な将軍ないし政治家として、生涯安泰なリッチ生活を送れていた筈です!もちろん歴史に名前を残すような活躍もしなかったでしょうが、「かませキャラ」扱いで歴史に名を残していたよりも、そのほうがはるかに幸せだったのでは?

 

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後漢王朝が乱れていなくても、別に損も得もしない人

劉備と同盟を組む孫権

 

では、曹操・孫権(そんけん)・劉備といった、三国志の主役級たちはどうなのでしょうか?

彼らこそ、「三国時代が来なければ不幸だった」と言えるのではないでしょうか?

 

曹操

 

と思いきや、よくよく考えてみると、少なくとも曹操と孫権には、それは該当しない気がします。曹操は「宦官(かんがん)の子」としていじめられていた、というハナシがありますが、別の見方をすれば「せいせい、いじめられていただけ」のハナシ。

 

曹操

 

もともと曹操は詩文に通じ、リーダーシップも持っており、人材を集める才能がある、ということで、この人は乱世でなくても出世できるタイプだったのではないでしょうか?

 

曹操

 

まさに「治世の能臣(のうしん)、乱世の奸雄(かんゆう)」と言われていた通り。むしろ治世に生まれていた場合、大好きな詩文のほうに集中することで、中国文学史のほうで巨名を残していたかもしれません!

 

海賊時代の孫堅と孫策

 

孫権の場合はまた事情が違いますが、実際の三国志の乱世において活躍したのは、父親の孫堅(そんけん)や兄の孫策(そんさく)のほう。孫権本人は既に「呉」がある程度成立した際に、かつがれて登場した人物だったという背景があります。

 

孫策が亡くなり呉を継ぐ若き孫権

 

こういうタイプの人は、乱世の中でも「かつがれやすい」ということは、乱世でなくとも「名家のお坊ちゃん」として周りにかつがれ、悠々自適な暮らしを送ることはできた筈なのです。

 

曹操と異なり、こちらについては、歴史に名を残すこともない「ただの地方の名家のお坊ちゃん」人生で終わってしまったでしょうが、それなりに楽しく長寿を全うしたのではないでしょうか。

 

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後漢王朝が乱れていたら損かもしれない人

髀肉の嘆の劉備

 

もう一人の主人公格、劉備玄徳はどうでしょうか?

こちらは、なんとも、乱世であってくれないと厳しい立場です。

 

劉備

 

彼は三国志の物語の中では、「漢王朝の復興」という壮大な理想を掲げて、一歩一歩地歩を固めて出世していく人物。もし後漢王朝が乱れていなければ、「漢王朝の復興」を掲げて旗揚げする理由もない。だから、そもそも立身出世の意志を固める必要がないかもしれない。

 

土いじりをする劉備

 

かつその場合、曹操や孫権のように最初から恵まれた地位にいるわけでもない劉備は、へたをすれば田舎で百姓仕事をしているうちに人生を終えていたかもしれません。

 

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まとめ:「義賊」化した桃園の三義兄弟という展開もあり得る?それはそれでぜひ見てみたい!

蜀志(蜀書)_書類

 

ただし!

劉備玄徳については、「正史」のほうに、いささか気になる記述があります。

 

黄巾の乱時に劉備を配下に加えて戦っていた鄒靖

 

黄巾(こうきん)賊の鎮圧に功績があったために地方の役人に採用された劉備。そこで上役と折りがあわず、ある日ついにキレて、上役を木にぶらさげてボコるという事件を起こしてしまっています

 

劉備の黒歴史

 

(『三国志演義(さんごくしえんぎ)』ではこれをやったのは張飛(ちょうひ)ということになっていますが、『正史』では劉備自身がやらかしたと明記されています)。もしかしたら劉備という人は、いつの世の中にもいる、「とにかく現状の権力が不満」な人なのではないでしょうか?

 

劉備

 

もし劉備がそのタイプの人だったとすると、別に後漢王朝が乱れていなくとも、「今の政府はなっちょらん!」と義憤を起こし、乱世でなくても「漢王朝の復興」を掲げて旗揚げする可能性があります。

 

三国志の主人公の劉備

 

その場合、カリスマ性に優れた劉備は、けっきょくは関羽(かんう)や張飛とも出会い、私兵団を結成して、後漢王朝を脅かす反乱軍になったかもしれない。これではむしろ黄巾賊の頭領のような立場ですが。

 

張飛と劉備

 

ただ劉備のことだから、民衆からは人気を集め、それなりに大活躍したかもしれません。

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

三国志ライター YASHIRO

 

この場合、「三国志」というドラマは生まれていなくとも、「劉備玄徳とその義賊一味の華麗な生涯」という民衆説話は出現していたかもしれません。

 

関羽、劉備、張飛の桃園三兄弟

 

これでは『三国志』ではなくて、まるで『水滸伝(すいきょでん)』のようですが、特に乱世というわけでもないのに、「世直しをしたい」という情熱で突然義賊集団として登場する劉備・関羽・張飛というのも、なかなかそれはそれで大暴れしてくれそうで、そんな物語も、ちょっと読んでみたいな、と思うところなのでした。

 

日本に目指さした孫権

 

ただしその物語では、曹操も孫権も、まったく関わりなく悠々とした出世生活を送っているでしょう。

 

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とにかく小説を読むのが好き。吉川英治の三国志と、司馬遼太郎の戦国・幕末明治ものと、シュテファン・ツヴァイクの作品を読み耽っているうちに、青春を終えておりました。史実とフィクションのバランスが取れた歴史小説が一番の好みです。 好きな歴史人物: タレーラン(ナポレオンの外務大臣) 何か一言: 中国史だけでなく、広く世界史一般が好きなので、大きな世界史の流れの中での三国時代の魅力をわかりやすく、伝えていきたいと思います

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