三国志は三国志演義として、民間でもとても好まれてきました。そう考えると、三国志演義の存在と言うのは大きいものです。さてこの三国志演義、色々と姿形を変えて広まっていき、京劇などでも楽しまれています。
となると当然実在の人物が演じることになるのですが、そうなると役者の容貌というものが重要になってくる訳でして、イケメン扱いされる武将もいれば、そうでもない武将もおります。
その中で、良くイケメン、コホン、美男子とされる武将として呂布がいることについてお話したいと思います。
元祖美男子・周瑜
ちょっと先に京劇などで美男子として扱われる人物として、周瑜をご紹介しておきましょう。周瑜はご存知、孫呉の人物であり、孫策や孫権を支えた人物でもあります。
三国志演義では魯粛をいびったりといまいちな面が目立ちますが、正史においてはそんな姿はなく、正に智勇兼備にしてパーフェクトなイケメンです。そして周瑜はしっかりと正史にその容貌について「長壮にして姿貌有り」と記されています。
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美周郎
周瑜がその才を発揮したのは軍才のみに非ず、若かりし頃から音楽にも精通していると言われていました。
これは歌にもなり「曲に誤りあれば、周郎が振り向く」とまで言われています。
もしかしたら絶対音感のような才能の持ち主でもあったのかもしれませんね。この音楽にも通じる様は三国志演義にも取り入れられ、雅な美丈夫、美周郎の姿が作り上げられました。このため京劇では周瑜は美丈夫が演じるもの、ともされています。
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もう一人の美男子・呂布
さてさて、この京劇で演じられる際に、もう一人(だけという訳ではありませんが)、美男子として扱われる存在があります。その人物こそ、前述した「呂布」です。
意外だったでしょうか?
呂布は猛将、万夫不当の豪傑としてのイメージが強く、美男子、もうちょっと言うと、一般的に言う線が細いイケメン的な美男子は想像しづらいかもしれません。まあイケメンの全てが線が細いということはないでしょうが。
しかしどうして呂布は美男子扱いをされるようになったのでしょうか?
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呂布の容貌
さて三国志演義では、呂布は猛将、万夫不当の豪傑です。
煌びやかな鎧をまとい、強くたくましい武者……その武勇こそ華々しくも猛々しいものの、謀に弱く、またその時、その時の自らの欲望にのっとって動く人物であり、軽はずみな面もあるために配の心は離れていき……と、武勇は間違いなく一級品でありながら、どこか猪武者であるように描かれています。
事実、呂布は曹操に敗れ、命乞い空しく処刑されてしまいました。
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間違いのない豪傑・呂布
正史において呂布は
「弓馬に優れている」
「腕力が強い」
「董卓にいきなり武器を投げつけられてかわす」
などなど、その武勇の優れっぷりが間違いでないことが書かれています。間違いなく、三国志演義の誇張などでなく、呂布は万夫不当の豪傑であったのです。しかしどうにも呂布の容貌に関しての資料は見受けられません。ではどうして呂布は京劇などで美男子として扱われるに至ったか?
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貂蝉という存在
ここで思い出して欲しいのが、貂蝉という存在です。三国志演義で登場する貂蝉は、あくまで董卓と呂布の間を裂く存在です。叡智と度胸、美しさを兼ね揃えているにも関わらず、間を裂いた後は殆ど出番がありません。
しかしこんな良い登場人物がそこで終わりではもったいない。と思われたかどうかは分かりませんが、貂蝉のその後は色々な伝承が残されています。そしてこの貂蝉の存在こそが、呂布の容貌に影響を及ぼしたのではないかと思います。
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美女に相応しきもの
作品によっては、呂布はあくまで貂蝉に利用された人物です。万夫不当の豪傑の豪傑が、一人の美女に良いように扱われたのです。しかしこれは逆に、呂布に親しみがわかないでしょうか?
戦場において敵なしの名将が、一人の女性への慕情に狂い、利用されて主を殺してしまいます……ものによってはそこから美女との本気の愛情が生まれたりして!
これは物語として民衆受けの良いものではないかと思います。それを考えた場合、董卓はまだしもまだまだ若い猛将・呂布を、美女・貂蝉と釣り合うように美男子として扱ったのではないかと思うのですが……どうでしょうか?
周瑜も小喬という美人妻がいるし、恋愛物として描いた場合は主人公格が美男美女の方が面白い、と昔の人も考えたのかな、と思った筆者でした。
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三国志ライター センのひとりごと
現代では多様化も多様化で、貂蝉が寧ろ美女ではなかったり、寧ろ董卓がカッコ良かったりと色々ありますが、どれもこれも色々な解釈があって面白いものです。
ただ三国志演義ではそこまで恋愛が重要視されていない、寧ろ下手すると失敗の原因のように描かれることが多いので、貂蝉という存在は省かれたのかな、と思います。個人的に呂布が貂蝉への思慕に染まっていく様は、逆に呂布の人間味を感じて好きなのですが……皆さんはどうですか?
どぼーん。
参考文献:呉書周瑜伝 魏書呂布伝
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