97話:蜀を得た事で呉と荊州の支配問題が再燃する

2015年7月7日


 

成都の劉璋(りゅうしょう)を降伏させて、益州の牧となった

劉備(りゅうび)は、ようやく、一州を支配します。

益州は、一州でも人口100万で土地は肥えていて、

四方を断崖に囲まれる守るに易く、攻めるに難しい土地でした。

 

しかし、根拠地を得たと喜んだのも束の間、呉の孫権(そんけん)からは、

いつ荊州を返還するのか?と矢のような催促が来るようになります。

 

前回記事:96話:孔明の計略炸裂!馬超は劉備の軍門に下る

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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荊州の返還を求める呉の孫権

三国志地図

「蜀を得たら、荊州を返すという約束だった筈だ、早急に荊州を返せ」

 

孫権は、諸葛瑾(しょかつ・きん)を使者にして蜀に送り込みました。

劉備は約束した手前、知らないとはいえないので、

長沙、零陵、桂陽の三郡を返却するという手紙を諸葛瑾に手渡します。

 

諸葛瑾は使者として関羽に会いに行く

関羽 使者

 

諸葛瑾は、この手紙を手に、荊州を守る関羽(かんう)の下を訪れます。

しかし、劉備の手紙を見た関羽は、渋面を作って、これを拒否します。

 

関羽:「いかにも、これは主君の字である、、しかし、荊州は元々は、

漢の領土、、他人に勝手に分け与えるわけにはいかん」

 

諸葛瑾:「そんな、、それでは約束が違います、、

劉備殿も納得されたのです、荊州三郡をお返し下され」

 

関羽:「将軍というものは、例え主君の命令でも、、状況によっては、

それを受けない事もある、いかに兄者の命でも従えぬ!」

 

関羽は、そう言い捨てると、もう諸葛瑾が何と言っても、

聞く耳を持ちませんでした。

 

諸葛瑾は止むなく、引きさがり、孫権に一部始終を報告します。

 

怒った孫権は魯粛に確認をとる

孫権 弔い出陣

 

孫権は、関羽の態度に激怒します、そして魯粛(ろしゅく)を呼び付けました。

 

孫権:「おい、魯粛、貴様は、荊州を劉備に貸し与えておけば、蜀を取り次第、

返却してくれると余に請け負うたな?まさか忘れてはおるまい!!」

 

魯粛:「はい、、確かに請け負いまして御座います、、」

 

孫権:「では、これはどうした事か? 劉備は、益州を得ておきながら、

荊州の関羽は居直り、三郡を返そうともしないぞ!!

魯粛、貴様一体、どう責任をとるつもりだ!!」

 

怒り狂う孫権に、魯粛は言いました。

 

魯粛:「分かりました、私に一計が御座います、、

まず、陸口まで兵を進めてそこで酒宴を開いて関羽を呼びます。

そこで、荊州を返すように説得し、聞きいれればよし、

もし、聞かなければ、間者を放って関羽を討ち、荊州を取り戻します」

 

孫権:「よおおおし、、よくぞ、言うた、、必ず三郡を取りかえせ」

 

魯粛は呂蒙と甘寧を従えて陸口に向かう

甘寧 ゆるキャラ 三国志

 

魯粛は、呂蒙(りょもう)甘寧(かんねい)を従えて、陸口に向かい、

そこで酒宴を開きます。

 

関羽は、魯粛の呼びだしに呼応して、出てきますが、交渉は決裂、

ここで、関羽は魯粛を盾にして、刺客を牽制して、

荊州に悠々と帰還したと三国志演義には書かれています。

 

しかし、実際には、この単刀赴会の故事はフィクションで、

関羽の態度にキレた孫権は、呂蒙を総大将にした大軍を荊州に派遣し、

孫権は陸口で指揮を取り、事態を察した劉備も長江を降って、

公安に駐屯するという一触即発になっていました。

 

ですが、魯粛はいきり立つ、呂蒙と孫権を説得、、

 

魯粛:「ここで蜀と呉が衝突したら、喜ぶのは曹操ばかりではありませんか?

お互いにバカな対立はよしましょうぞ」と進言します。

 

魯粛は関羽と会談を行なう

 

ここで、魯粛は、関羽と会談し、正論でもって関羽をやり込めたので

劉備は、渋々、荊州三郡を返還せざるを得なくなります。

 

実は、一触即発の蜀と呉を止めて、関羽を引きさがらせたのは、

呉蜀平和論者の魯粛だったのです。

 

次回記事:98話:曹操、張魯を降すべく漢中に進軍する

 

 

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kawauso

kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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