司馬懿が蜀に亡命し諸葛亮と手を組んだら？亡命により得する蜀将と人生終了する蜀将とは？

 

 

 

皆さんは司馬懿しばいという人物をどう評価していますか？ほとんどの三国志さんごくしファンが、「司馬懿しばい？憎たらしい！」と反射的に思うのでは？なにせ司馬懿しばいといえば、蜀しょくのファンから見れば諸葛亮しょかつりょうの天敵、魏ぎのファンから見れば、曹操そうそうの家系から権力を奪った簒奪者。

 

 

 

いや、そもそも三国志さんごくしファン全員から見て、司馬懿しばいは「途中から現れてちゃっかり天下を奪って行った男」です。実際に天下を奪ったのは彼の孫の司馬炎しばえんですが、司馬懿しばいの悪役印象が強すぎて、「ぜんぶ司馬懿しばいのせい」と思われてしまう節があります。

 

 

 

そのうえ憎たらしいことに、軍事政治外交ぐんじせいじがいこうすべてにおいて超有能！司馬懿しばいの弱点として伝えられているのは「詩を作るのはヘタだった」という程度。凡人の慰めにはなりません。

 

 

 

司馬懿がまさかの蜀に参入したらどれだけ歴史は変わったか？

 

しかし人材不足が叫ばれる三国志さんごくし後半の時代で、司馬懿しばいは最高級の能力をもった逸材。もし彼が最強国の魏ぎではなく、別の陣営に属したら？たとえば司馬懿しばいが蜀しょくに属したら、三国の勢力図が塗り替わるほどの大活躍をしたのでは？

 

 

 

そこで今回は、やや夢物語的なシナリオかもしれませんが、司馬懿しばいが蜀しょくに加わった場合、三国志さんごくしの歴史がどう変わるかを、蜀しょくの武将で「誰が得をして」「誰が損をするか」の振り分けをしつつ、考えてみましょう。そうです！司馬懿しばいが蜀しょくに寝返ると、敵である魏ぎがどうなるか、よりも、司馬懿しばいを迎え入れてしまった蜀しょくの人々の運命がどう変わるかにフォーカスしたいと思います！

 

 

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司馬懿亡命シナリオは第一次北伐」直前に設定！

 

 

司馬懿しばいが蜀しょくに参入するシナリオとは、どのような設定があり得るでしょう？司馬懿しばいがまさか蜀しょくの漢復興イデオロギーに熱く感動して仲間になってくれるとは思えません。考えられるのは、魏ぎの権力争いで命が危なくなり、身を守るために亡命するというシナリオ。つまり、まだ曹一族の勢力が強い段階で、「司馬一族は危険だ」と目をつけられ、命を狙われた場合でしょう。

 

 

たとえば第一次北伐だいいちじほくばつの直前。

 

 

 

『三国志さんごくし演義』の流れですと、この時の魏ぎの指揮官は曹真そうしん。彼は本来、司馬懿しばいのサポートを受けて諸葛亮しょかつりょうを撃退した人物です。この曹真そうしんが司馬懿しばいの異才に妬みと恐怖心を抱き、「曹一族の未来のため」司馬懿しばいの暗殺を企てた、としましょう。

 

 

 

とにかく判断スピードの速い司馬懿しばいのこと。そうなるとあっけなく息子達と一緒に魏ぎを脱出しそうです。そして「こうなったら蜀しょくで出世し直そう」とドライに判断することでしょう。諸葛亮しょかつりょうもこの段階ならば、司馬懿しばいとの因縁は別に深いものではなく、この亡命をむしろ歓迎するでしょう。

 

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司馬懿参入で得をする蜀将は？

 

 

さて司馬懿しばいの蜀しょく参入で、得をする人は誰でしょうか？まずは諸葛亮しょかつりょうです！このシナリオですと、司馬懿しばいは諸葛亮しょかつりょうの下で北伐を手伝うポジションにつくでしょう。蜀しょく軍の戦力が上がるだけでなく、そもそも「敵に司馬懿しばいがいない」というだけで諸葛亮しょかつりょうの北伐はとても順調になるでしょう。

 

 

 

また馬謖も助かりそうです。「泣いて馬謖を斬る」事件の発端は、北伐遂行にあたって指揮官が足りず、若い馬謖を大抜擢したせいでした。司馬懿しばいが陣中にいれば無理に馬謖を使うこともなく、彼は安泰に温存されたでしょう。

 

 

 

また意外なところでは、孟達が助かります。孟達といえば諸葛亮しょかつりょうの北伐に呼応して魏ぎを裏切る準備をしていた人物、その策は司馬懿しばいに見破られ瞬殺されました。ですが、その司馬懿しばいが蜀しょくに加わった世界では、孟達の裏切りを事前に見抜く慧眼の持ち主は魏ぎに現れません。孟達の寝返りは成功するでしょう。このように北伐は諸葛亮しょかつりょうに超有利な展開となり、長安奪取すら達成できたかもしれません！

 

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これによって人生終了する蜀将は？

 

いっぽう、司馬懿しばいが参入したことで損をする蜀しょく将は誰でしょうか？司馬懿しばいが諸葛亮しょかつりょうの部下をやっている間は、特に困る武将は出ないと思います。しかし、その諸葛亮しょかつりょうは、このシナリオでも司馬懿しばいより先に寿命が尽きることになります。

 

 

北伐は大成功！長安を魏ぎから奪取した！という頃に諸葛亮しょかつりょうが死ぬと、なんと北伐の最大の功労者は司馬懿しばいということになります！そして司馬懿しばいが蜀しょくの政治の中心に躍り出てくることでしょう。

 

 

 

これによって、多くの蜀しょく将が出世の芽を断たれることになります。

 

 

まずは黄皓(こうこう)。史実では劉禅に取り入り蜀しょくの腐敗の元となりますが、司馬懿しばいが取り仕切る蜀しょく政権では、何もできないうちに司馬懿しばいに目を付けられ左遷、ヘタすれば消されます。そして蔣琬(しょうえん)と費禕(ひい)。権力争いとなればとうてい司馬懿しばいにかないません。司馬懿しばいに権力の中枢を握られて活躍の場を与えられないことでしょう。

 

 

続いて姜維。司馬懿しばいとはとうていウマが合わず軍権を譲ってはもらえないでしょう。もっとも姜維(きょうい)の場合は、そんな司馬懿しばいに反発し、蜀しょくを脱出して西涼に独立勢力を築き司馬懿しばいの好敵手として一暴れしてくれるかもしれませんが。そしてもっと危ないのは、せっかく助かったはずの孟達(もうたつ)です。

 

 

 

所詮は裏切者である上に、蜀しょくの中では「関羽の仇」として恨みも買っている人物。司馬懿しばいは何かの折に、自分の人気取りのために、何か理由をつけて孟達を粛清してしまうでしょう。

 

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まとめ：いちばん危ない劉禅

 

しかし、いちばん危険なのは、他ならぬ劉禅(りゅうぜん)ではないでしょうか。司馬懿しばいが蜀しょくに来るということは、彼の息子である司馬師と司馬昭も漏れなくついてきてしまう、ということです！せっかく長安を奪取し全盛期を築いた蜀しょくにおいて、結局は司馬一族による劉一族からの権力簒奪が始まるのでは？

 

 

 

魏ぎが内部から滅ぼされて晋になる、という史実の代わりに、蜀しょくが内部から滅ぼされて晋になる、というシナリオに転じるだけ。しかもその晋が、弱体化した魏ぎと、呉を滅ぼして三国統一。その後の歴史は結局同じになってしまうのではないでしょうか。

 

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三国志ライターYASHIROの独り言

 

これは悲観的な展開ですが、曹一族をすら手玉にとった司馬懿しばいとその子孫たちに、人の好い劉禅とその取り巻きの官僚達が対抗できるとは思えず。この場合の蜀しょくの末路は、史実よりもむしろ過酷な運命になるのでは、と思うのでした。やはり、司馬懿しばい、恐るべし。

 

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