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82話:呉の提督、周瑜は荊州争奪戦に散る

2015年5月15日


曹操軍

 

曹操(そうそう)は、赤壁の戦いに敗れたものの、

ここは賢明さを発揮して、無血で攻め取った荊州を奪われまいと

配下の武将を配置して強力に守備していました。

 

 

南郡には曹仁(そうじん)、襄陽に夏候惇(かこうとん)、

合肥には張遼(ちょうりょう)、李典(りてん)、楽進(がくしん)を置き

防衛ラインを敷いていたのです。

 

前回記事:81話:赤壁の戦い後の劉備と孫権の関係はどうなったの?

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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天下二分の計を考えていた周瑜

周瑜 孫策

 

赤壁で勝利しただけで満足としない周瑜(しゅうゆ)は、

ここで積極攻勢に打って出ます。

 

曹操軍が動揺している間に、荊州を飲みこんでしまおうというのです。

 

 

元々周瑜には、荊州を握り、益州の劉璋(りゅうしょう)を倒して、

曹操と天下を二分して覇を競うという天下二分の計とも呼べる

プランがあり、今がそれを実現する好機という思いがあります。

 

 

しかし、攻略準備に取り掛かる周瑜に情報がもたらされます。

 

それは、劉備(りゅうび)と孔明(こうめい)が油江口に

駐屯してきているという情報でした。

 

油江口に向かう周瑜と魯粛

魯粛

 

「劉備め、、曹操の勢いが衰えた今を狙い、

荊州を奪おうとしているなそうはさせんぞ、、、」

 

 

周瑜は魯粛(ろしゅく)と共に、精鋭3千騎を率いて

油江口に急行しました。

 

もちろん、「荊州を取るな」と釘を刺すつもりです。

 

 

この時、孔明は隠れていて、応待に当ったのは劉備でした。

 

 

「やけに、ものものしい装備でのお越しですが、、

さては劉備殿は南郡を奪い取りにきたのですか?」

 

 

短刀直入な周瑜のモノ言いに劉備は、動ぜず首を横に振ります。

 

 

「とんでもありません、我々は、

周瑜殿の加勢をしようと出て参ったのです」

 

 

(ふん、白々しい、、劉備め、

乱世を生き抜いただけありなかなかの狸親父よ、、)

 

劉備の裏の顔を知っている周瑜

劉備主役

 

周瑜は見た目の謙虚さの裏にある劉備の強かさを

見透かしています。

 

 

「お気持ちは有り難いが、荊州は我が軍だけで充分に落とせます。

あなた方の援軍など、必要ありませんよ」

 

 

「いえ、周都督、それは違います。

曹操の今回の敗戦は、彼の慢心に端を発するものです、

今や、曹操は手負いの獅子、部下も必死になっております。

私は、彼と何度も戦い、逆境での底力には難儀をしました。

いかに周都督と言えども、その攻略には苦労しますぞ」

 

 

劉備のモノ言いに周瑜はカチンと来ました。

 

 

赤壁の大勝利は、周瑜の描くプラン通りに進み、

彼は曹操であろうと自分の軍略には遠く及ばないと

大きな自信を持っていました。

 

 

(なんだと、じゃあ赤壁の敗戦は曹操の油断であって、

この周瑜の手柄ではないとでも言うつもりか!!)

 

 

自分を過小評価された周瑜は、

プライドを傷つけられ不愉快な表情を見せます。

 

 

「ふっふ、、では、劉備殿の顔を立てて、

あなたには、我が軍の後詰に入って頂こう、、

もし、この周瑜が荊州を取れなかったら、

劉備殿で獲ってもらって結構にございます」

 

 

「ええっ、それでよろしいのでございますか?」

 

 

「ええ、結構ですとも、、無論、

そんな事は万に一つも起きはしませぬが、、」

 

(見ておれ、劉備、孔明、見事に荊州を奪い取り、

赤壁は曹操の油断だったなどと二度と言わせぬぞ)

 

 

周瑜は、より強く、荊州攻略に意欲を見せますが、

これは、孔明により劉備に授けられた入れ知恵でした。

 

周瑜対曹仁

曹仁 三国志 ゆるキャラ

 

この事により、荊州は周瑜が獲れなければ劉備が獲ってもよい

という言質を劉備は、周瑜から引き出したのです。

 

 

周瑜は、勇んで甘寧を派遣して曹洪の守る夷陵城を抜き、

さらに勢いを駆って、曹仁の守る南郡を攻めます。

 

 

しかし、ここで不運にも周瑜は計略に掛かり

毒矢に脇腹を貫かれてしまうのです。

 

周瑜は毒矢に倒れる

 

 

重傷を負い自陣に引きかえす周瑜ですが、

流石に転んでもただでは起きませんでした。

 

 

病床を押して立ち上がると、曹仁の陣営に

周瑜が死んだと偽の情報を流させるのです。

 

 

曹仁は、これを信じて、偽装撤退をする呉軍を追撃して

反撃に会い、曹仁は城を放棄して逃げ去ります。

 

 

ところが、周瑜が空になった、南郡に軍を進ませると

そこには、すでに趙雲の旗が翻っていました。

 

智略で南郡を取った孔明

諸葛孔明

 

「周瑜殿、約束通り、城を落とせなかったようなので、

この趙雲が南郡は頂く、、」

 

 

さらに、荊州の城は張飛、そして襄陽の城は関羽によって

周瑜が、曹仁や曹洪と激闘をしている隙に奪われていました。

 

 

孔明に謀られたと知った周瑜は激高し、わき腹の傷が開き

血が噴き出して、その場に倒れてしまいます。

 

周瑜ブチ切れて劉備軍と戦う事を決意

周瑜くやしい 呉

 

治まらない周瑜は傷を押して、劉備軍と一戦交えようとしますが、

それを聞いた魯粛が飛んできて止めます。

 

魯粛「周都督、お気持ちは分かりますが、今、劉備と喧嘩しては、

曹操に復活のチャンスを与えるようなものです。

ここは、辛抱して劉備に荊州を貸したと思ってくだされ」

 

 

周瑜は地団駄を踏んで悔しがりますが、折角、赤壁で掴んだ勝利、

ここで、劉備と断交して捨てたくはありません。

 

 

何の手土産もないまま、呉に帰還する周瑜ですが、、

失意の周瑜は傷が悪化して床に伏せてしまいます。

 

周瑜の名言

周瑜逝く

 

そして、いまわの際に、、

「天とは無情だ、どうして同じ時代にこの周瑜ばかりか

孔明まで、生まれさせたのか、、」

 

 

という有名な台詞を吐いて、36年の生涯を閉じました。

 

正史の周瑜はどうだったの?

周瑜 美男子

 

もっとも、正史の周瑜は、孔明の挑発に乗って、南郡を奪われるような

失態もなく、曹仁を撃退して、江陵城を落とし自身も南郡太守の職に

就くなど、劉備にも孔明にも曹操にも軍略の才を畏怖されました。

 

 

ただ、惜しむらくは、曹仁の毒矢のせいではないにしても、

遥々、馬超と同盟を結び、益州を攻める遠征途中に死んでしまい、

結局、孔明に嫉妬して寿命を縮めたという引き立て役にされた

という事でしょう。

 

耳で聞いて覚える三国志

 

次回記事:83話:劉備は荊州四郡をゲット!怒涛の快進撃

 

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この記事を書いた人:kawauso

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どうも、kawausoでーす、好きな食べ物はサーモンです。
歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。

もちろん、食べるのはサーモンです。

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

-全訳三国志演義
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