無残な有様で、許都に戻ってきた曹仁(そうじん)と
李典(りてん)ですが、曹操は(そうそう)は最初から小手調べの
つもりだったので、敗戦を不問にしました。
それ以上に曹操が気になるのは、劉備(りゅうび)軍についた軍師の存在です。
前回記事:61話:曹仁が繰り出した高度な陣形 八門金鎖の陣を繰り出す。劉備軍はどうやって攻略したのか?
この記事の目次
曹操(そうそう)は劉備(りゅうび)の軍師が異常に気になって仕方がない
曹操:「皆、劉備についている単福(たんぷく)という男を知っているものはおらぬか?」
幾人かが首を捻る中で、手を上げたのが陰険な策謀では、
曹操軍随一と噂に名高い程昱(ていいく)でした。
「単福とは、昔、人を殺した為に名乗っている偽名で、
彼の本名は徐庶と言います、、」
曹操:「ふうむ、、徐庶(じょしょ)か、相当のキレ者と見たが、
どうにかして、排除する方法はないものか?」
「ははっ、、徐庶の軍略の才能は、軽く私の10倍はありましょう、
ただ、徐庶には、非常な親孝行という弱点があります。
幸いにして、徐庶の母は許都に近い場所に住んでいますから、
それをこちらで手厚く保護して、曹操様に帰順するように手紙を
書かせれば、徐庶はこちらに降るでしょう、、」
曹操は、程昱の鬼畜な計略を採用して、徐庶の母を強引に拉致して、
許都で何不自由のない生活をさせました。
程昱(ていいく)の計略を採用したが・・・
ところが、いざ程昱が、徐庶に曹操に降るように手紙を書けと言うと、
老母は、激しく反発します。
「息子は、漢の天下を回復させようとしている
天下の忠義の人である劉備玄徳様に仕えています。
それを、捨てて、あなたがたのような欲まみれの俗人に仕えよなどと
恥知らずな事が書けますか!!」
程昱は、カチンと来てしまいますが、老母が手紙を書かない限りは、
徐庶をこちらに呼び寄せる事は出来ません。
程昱は作戦を変更する
そこで、程昱は、ひとまず手紙の事は忘れたフリをして、
徐庶の母に特別に親切に接するように配下に命令します。
仁義に厚い、徐庶の母ですから、いかに拉致されたとはいえ、
他人に親切に扱われるのは嬉しいものです。
そこで、幾通か曹操に宛てて、お礼の手紙を出すようになりました。
程昱は、この手紙を集めると、人の字を真似る事が得意の部下に
命令して、その筆跡を完璧に真似て、母の手紙を偽造します。
まあー何と汚く、悪知恵が回る男でしょうか、、
人の善意を利用して、それを悪用するとは!!
ともあれ、程昱が偽造した手紙により、徐庶は母が曹操の世話になり
息子である自分に帰ってきて欲しいと思っている事を知ります。
徐庶は劉備軍から離れる事を決意する
徐庶:「劉備様、老母は、曹操の庇護を受けているようです。
かなり年老い、心細さが募り、私に曹操に帰順するように勧めています。
誠に名残惜しいのですが、私は母の言いつけに逆らえませぬ、、」
徐庶が涙ながらに別れを告げると、劉備も涙を流して言いました。
劉備:「それは残念だが、たった一人、君を頼りに思う母の事を思えば
無理に引きとめる事は出来ない、、
私も母一人子一人だった、、どうか、親不孝な私の分も母上に
孝養を尽くしてもらいたい、、」
そう言って、盛大な別れの宴を開いて餞別まで与えたのです。
ガッカリされると思って悩んだ徐庶ですが、劉備の人の心を思いやる
懐の深さに、いよいよ、劉備の下を離れる寂しさが募るのでした。
曹操軍の手に落ちた軍師・徐庶
こうして、劉備軍の軍師として入った、徐庶は程昱の計略で、
曹操軍の手に落ちてしまうのです。
因みに三国志正史では徐庶の母は、徐庶と行動を共にしていて、
長坂の戦いで、曹操軍に捕まったと書かれています。
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耳で聞いて覚える三国志
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歴史ライターとして、仕事をし紙の本を出して大当たりし印税で食べるのが夢です。
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